インターバル走で先頭を走るDF浜田(中)=グアムで
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【グアム松岡祐司】今夏のロンドン五輪出場を目指すU−23日本代表は当地での強化合宿6日目となった20日、戦術確認の実戦形式のメニューを中心に午前、午後で計4時間のトレーニングを実施した。午後には始動後2度目となる紅白戦を行い、FW大迫勇也(鹿島)を1トップに据えて2列目の選手の組み合わせなどを試した。前日19日に合流したMF清武弘嗣(C大阪)は別メニューで調整した。
今度のキャンプは「調整」ではなく、即実戦への「仕込み」。オフシーズン明けながら、2日目にはさっそく対人練習を組み入れ、4日目にはフルコートの紅白戦を実施した。ハードなフィジカルトレーニングに多様な戦術メニューも加わり、仕上がり速度はハイペースの上に「超」がつく。
ターゲットとなる2月5日のシリア戦(ヨルダン)から逆算すると、チームに与えられた期間は約3週間。ピッチでの戦いは、時間との戦いでもある。
「(準備期間は)短い。でも、その中で優先すべきものをどんどんやらないといけない」とは里内フィジカルコーチの説明だ。一般的にリーグ開幕を見据えたクラブの準備期間は5、6週といわれる。その半分の約3週でチームを戦う集団へと鍛え上げ、「まずは去年のベースまで仕上げていく」(関塚監督)ため、急ピッチで基本戦術を落とし込む作業が続いた。
苦い教訓がある。昨年2月に中東へ出向いてクウェート、バーレーンと戦った。選手たちは所属クラブで始動直後だったが、想定以上にコンディションにばらつきがあり、関塚監督は「これでは(思うような)サッカーはできないな、とつくづく感じた」と振り返っている。だから、昨年の早い段階からJクラブに対して、「立ち上げキャンプ」への理解を求めていた。
異例ともいえる、代表での始動。GK権田は「クラブじゃなくて、代表でやるのも新鮮でいい。苦しい時に一緒にいたメンバーには連帯が生まれるし、チームメートの新たな面も見えてくる」と、目には見えぬ相乗効果を指摘した。
シリアに勝利すれば五輪出場が事実上、決定する。だが、もし負けるようなことがあれば、帯び始めた熱気は背筋が凍るような冷気へと変わりかねない。グアム合宿の成果は、アンマンでの決戦で問われる。
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