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岡田副総理:孤立、トーンダウン 議員歳費・政党交付金削減発言、党内も反発

 消費増税の前提となる政治・行政改革を進めるため、野田佳彦首相の肝いりで入閣した岡田克也副総理兼一体改革・行政改革担当相がトーンダウンしている。国会議員歳費と政党交付金の削減を岡田氏が主張したことに、与野党内からの風当たりが強いためだ。首相らの援護射撃も乏しく、政府・民主党の「身を切る覚悟」は風前のともしびだ。【野口武則】

 岡田氏は15日のNHKの番組で、国家公務員給与を7・8%削減する法案に関連し「国会議員はそれ以上の(歳費)削減をやるべきだ」と表明。政党交付金にも「私は(削減)すべきだと思う」と前向きな考えを示した。

 これに対し、民主党執行部は「党内では何も議論していないからやらない。岡田さんは個人的な見解を言っている」と否定。厳しい台所事情を訴える新人議員が政権批判を強めないようにする配慮だ。首相は18日の政府・民主三役会議で、衆院議員定数削減を優先するとの党方針を了承した。岡田氏に近い藤村修官房長官も「政府がリードする案件ではない」と擁護していない。

 ただ、歳費削減には自公両党も賛成している。自民党の茂木敏充政調会長は17日の講演で「与野党が合意すればすっきり決まる」と強調。民主党内にも「消費増税をお願いしようというのに、手をつけないでいいのか」(中堅議員)との声がある。

 岡田氏は20日の記者会見で「政党間で議論される問題だ。幹事長から副総理に代わる移行期に出た発言だと理解いただきたい」と火消しに回った。「個人としての考えは変わらない」と発言は撤回しなかったが、「原理主義者」の異名をとる岡田氏が沈黙すれば、改革の推進力はますます弱まりそうだ。

毎日新聞 2012年1月21日 東京朝刊

 

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