'12/1/20
林道断念、推進派にも温度差
廿日市市吉和の細見谷渓畔林を貫く幹線林道戸河内(広島県安芸太田町)―吉和区間の建設中断から3年10カ月。県は19日、事業を引き継がないとの結論を出した。建設に反対してきた自然保護団体は「当然」と受け止める。一方、大半が未整備の廿日市市側の林業関係者からは困惑の声が上がっている。
建設予定区間は24・3キロ。安芸太田町側は13・6キロのうち11・5キロで整備が済んでいる。同町の小坂真治町長は「計画が実現されず残念」とした上で「社会状況が変わり、県の判断もやむを得ないだろう」と一定に理解を示す。
これに対し、廿日市市側は10・7キロのうち128メートルが整備されただけ。四輪駆動車でしか走れないような砂利道が続く現在の林道の拡幅舗装は実現されない。地元の西山林業組合の安田孝副組合長は「大きな車は通れない。作業員の安全面からも現状でいいとは思えない」と訴える。
渓畔林にはツキノワグマなどの希少種が生息。日本生態学会なども建設中止を求めてきた。広島フィールドミュージアムの金井塚務代表は「現林道を最低限補修するにとどめ、渓畔林を動物の聖域として保全していくべきだ」と強調する。