English>>
法政大学は、「全学連」や「文化連盟」を名乗る本学に在籍する数名の学生を含む集団によって連日のように繰り返されている授業妨害を始めとする業務妨害に悩まされています。これに係る一連の事件で、両団体の幹部等は、以下に記すように先月から今月の間に逮捕されました。その逮捕者に本学の学生が含まれたことは、たいへん遺憾なことであります。迷惑行為は、なお連日続いていますが、逮捕者が勾留されている現在、迷惑行為に及ぶ者の中に本学の学生は含まれていません。
すでに彼らの求めに応じて署名したり、彼らに対して安易に手を振ったために写真を撮られた学生から、思わぬところで彼らに利用されるなどの被害が届けられています。ここに一連の事件の経緯をお知らせするとともに、あらためて皆さんの注意を喚起いたします。
法政大学は、「自由と進歩」の精神に基づき、自立的で個性豊かな人材の育成を通じて社会の進歩に貢献するという使命を果たすべく、思想・信条・表現の自由を尊重しつつ、教育・研究活動の良好な環境整備に努めています。学生の自主的な活動にも積極的な意義を認め、学生センター(旧学生部)を中心にこれまでさまざまな支援活動を行ってきました。
●学生自治会費の代理徴収廃止と「全学連」を名乗る集団
かつての学生自治会に対する会費の代理徴収もそのような学生支援の1つでした。第二次世界大戦後の学園の再生や学生生活の窮乏に端を発した自治会の会費を各学部の自治会執行部に代わって大学が授業料等と併せて全学生から徴収したのも、学生の総意に基づく民主的で自主的な学生自治会の活動を全面的に支援するためにほかなりません。
しかし、残念なことに、本学の学生自治会は、歴史的変遷を重ねるなかで形骸化したばかりか、外部の政治セクトがほしいままにするに至り、彼らの手による暴行傷害事件までもが学内で発生しました。学外者が学生会館に常駐したり、自治会費の使途が不明になるなど、本来の自治会活動から大きく逸脱するに至りました。そのため、本学の各学部教授会は学生自治会が正式な手続きを経て成立していないことを確認したうえで、自治会費の代理徴収を停止する措置をとりました。その結果、2002年までに全ての学部で学生自治会そのものが消滅しました。
とはいえ、一部の者はそれからもしばらくは学生自治会を名乗り続けました。ときにはデモ行進さながらに多数の学外者を引き連れて事務室を占拠するなどの行為を繰り返しました。また、学内ルールを無視した学外団体の巨大看板や教室内の置きビラもなくなりませんでした。とりわけ市ケ谷キャンパスにおいては、学生自治会の連合組織(全学連)を名乗る者による校舎に向けた大音量の演説や登下校を妨げるビラ撒き・署名活動といった迷惑行為が、連日のように繰り返されてきました。
彼らの迷惑行為は、自ら設置した巨大立て看板が排除されたことに対する抗議をその出発点とするかのように装っています。確かに、2006年3月14日には、学外団体によって設置された巨大看板を撤去する際にそれを妨害した容疑で本学の学生5人を含む29人が逮捕されるという事件が発生しました。そして、その5人は後にいずれも退学ないし無期停学処分になり、現在なお入構が禁止されています。しかし、その事件を引き起こしたことだけを理由として処分されたわけではありません。かつて定期試験を妨害して懲戒処分を受けた者がさらに大学の業務妨害を繰り返したり、教室や事務室の度重なる占拠や職員に対する暴行等の行為が、各学部教授会の審議により学生の本分に悖ると判断され、処分されたものでした。
●学友会改革と「文化連盟」を名乗る集団
また、本学は、学友会を通じてサークルや体育会等の課外活動も支援しています。この学友会費も大学が全学生から学友会に代わって代理徴収していました。しかし、精査した結果、学友会サークルへの学生の加入率は25%に過ぎず、予算配分の硬直化、会計処理の不手際など学友会費が有効に処理されていないと判断せざるを得ない事態が発覚しました。そこで、2008年度からは代理徴収をやめて、大学がその一般予算から個別サークルに補助金を支出することに改めました。
2007年度までの学友会には、文化連盟、学生団体連合など本部団体と総称された10団体がありました。それらは、代理徴収された学友会費を分配する役割を担っていましたが、この変更により学友会のあり方を大きく変えることになりました。2008年度は、新しい学友会のあり方を学生と教職員が共に模索する期間でもありましたが、サークル登録制度やCSK(サークル支援機構)が学生主導の下で新設されるなど、新しい仕組みが生み出され、定着しつつあります。
ところが、こうした改革に不満を抱き実力で抗議をしようとした学生が、新しい方向を進めている旧本部団体役員を威嚇的言辞で脅迫したうえに暴行を加える事件が起こりました。当該学生は、停学2週間の処分を受けましたが、これに反発した本人と彼に同調した数名の学生が「文化連盟」を名乗り、学内ルールをないがしろにした抗議活動を連日繰り返すようになりました。
この自称「文化連盟」は、かつての学友会本部団体の1つであった文化連盟とは全く別の集団です。上に記した退学ないし停学処分を受けた5名は、授業妨害など大学の業務妨害を繰り返す「全学連」を名乗る学外集団の構成員ないし同調者ですが、「文化連盟」を称する者たちもこの「全学連」を名乗る者たちと共に教室内に立ち入って授業を妨害したり、構内で拡声器を用いて大音量のアジ演説を行ったりしました。
この「文化連盟」を称する者たちに対しては、学内ルールに則って冷静に話をするように説得を繰り返しましたが、全く聞く耳をもたず、多数の学外者を引き連れて学生センターを占拠したり(2008年5月20日)、外濠校舎門の騒擾を扇動するなど(同年10月17日)の暴力行為をはじめ、ブログやアジ演説において本学ないし本学の教職員に対する誹謗中傷や脅迫的言辞を繰り返しました。こうした一連の行為により、昨年末から今年初頭にかけて「文化連盟」のメンバーは無期停学(2名)・停学3カ月(1名)・譴責(1名)といった処分を受けました。
ところが彼らは、反省するどころか、こうした処分の撤回を求める抗議活動をさらに激化させました。2月5日に始まる市ケ谷キャンパスにおける入学試験では、受験生の入構時に大学および教職員個人に対する誹謗中傷が、拡声器を用いて大音量で2月16日まで連日繰り返されました。また、その際に門前ではビラ撒きに加え、しつこく署名を迫るなど、受験生に対する迷惑行為もありました。その激しさは、本学を第一志望とする受験生が恐怖のあまり帰宅時に泣き崩れたと保護者から知らされたほどでした。このように彼らの業務妨害行為が激化していたため、3月26日のオープンキャンパスに際しては、見学に来る受験生に迷惑を及ぼさないようにさせるなど彼らによる業務妨害行為を防止するためのやむを得ざる措置として、そうした行為を繰り返す数名の活動家に対する情宣活動禁止等仮処分命令の発令を東京地裁に求め、認められました。
●幹部メンバー等の相次ぐ逮捕
本年の4月24日には、昼休み前の授業時間から、正門前や外濠校舎の内部にまで踏み込んで大音量のアジ演説を伴う集会が、本学の度重なる警告を無視して強行されました。これには警察官からも止めるように警告が繰り返されましたが従わず、本学の学生2名を含む3名が東京都公安条例違反(無届け集会)の容疑で逮捕される事態となりました。
この本学の学生2名は、5月15日に建造物侵入と威力業務妨害で起訴されたうえ、さらに2月19日午前零時過ぎに発生した本学各門の掲示板損壊事件に関して、「暴力行為等処罰ニ関スル法律」違反容疑で再逮捕されました。この事件については、公務執行妨害の容疑で逮捕されていた「全学連」委員長が、やはり同日に再逮捕されたほか、本学の学生4名、本学を除籍になった者2名、退学処分を受けた者1名が、同日に各地で逮捕されました。さらに、翌16日にも本学の通信教育課程に学籍を有する者が同じ容疑で逮捕され、18日には4月24日の事件について学外者1名の逮捕が加わりました。
●本学の基本姿勢
キャンパスの共有空間(オープンスペース)は、限られた集団による威圧的独占使用は認められるべきではありません。学外の者が勝手にキャンパスに入り込み表現の自由と称し、ビラ撒きや看板を出すことも認められるものではありません。学内ルールは、この共有空間を公平かつ有効に活用し、学生の自由な表現活動を保障するためにこそ定められています。とはいえ、思想や信条の表現行為についても無制限に認められるものではなく、他者に迷惑をかけないために守るべき社会一般のルールがあります。誹謗中傷あるいは脅迫など人格権の侵害にまで及んだり、良好な教育・研究環境を害するなど業務の平穏の侵害にまで及んだりすれば、それは表現の自由として守られるべき範囲を越えた「言葉の暴力」「反社会的行為」と言わざるを得ません。
本学は、正当な批判については、それを真摯に受け止めることにやぶさかではありません。たとえば、共有空間のより良い有効活用方法についても、学友会を通じて学生の意見を聞いているところです。
2月19日の事件と4月24日の事件で逮捕された者には、「全学連」の正副委員長や書記長および「文化連盟」の正副委員長等が含まれています。彼らが逮捕されて以来、市ケ谷キャンパスの各門は全開しています。しかし、なお「全学連」から派遣された学外者は、「文化連盟」の幟までも立てて門前でビラ撒きやアジ演説等の迷惑行為を繰り返しています。こうした行為に対しては、今後とも粘り強く自制を求めるとともに厳正に対処します。
本学は、本学の業務を妨害する違法行為はもちろん、度を過ぎた迷惑行為に対しても毅然とした姿勢を今後とも堅持します。ご理解とご協力をお願いします。