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コンクリート製ポスト 「歴史を語り継ぐ財産」

旧美杉東小から美杉小へ移設


美杉小学校に移設された丸形ポスト

 旧美杉東小(津市美杉町八知)にあった全国的にも珍しいコンクリート製のポストが、約5キロ離れた津市立美杉小(同町奥津)に移設された。金属が不足していた戦時中に造られた「代用ポスト」。現在は使われていないが、「歴史を語り継ぐための財産として残してほしい」との地元住民や愛好者の思いを受け、市が移設した。

 ポストは丸形で、高さ1・3メートル、直径40センチ。情報通信関係の収蔵品を置く「逓信総合博物館」(東京)によると、代用ポストは鉄が供出された太平洋戦争中に多く造られた。1950年代になると、金属製の角柱型が普及して回収され、今では全国でも数が少ないという。

 移設されたポストはもともとは地元の農協支店前に置かれており、70年代後半に役目を終え、旧美杉東小の校庭に移されていた。しばらくは学校のシンボルとなっていたが、同小は廃校となり、新たな市の施設が建てられることが決定。愛好者らから「廃棄しないで」との要望も寄せられており、市が美杉小への移転を計画していた。

 洋服店経営中峯一雄さん(78)(同町八知)は「農協の前にあった頃によく利用した。とても懐かしく、残してくれてうれしい」と喜ぶ。設置を受け入れた美杉小の福井(たすく)教頭も、「児童が戦争や郵政の歴史について知るためのすばらしい遺産」と話していた。

 美杉小は昨年の台風被害で改修中のため、一般の人が見られるのは工事が終わる秋頃になる見込み。


2012年1月20日  読売新聞)
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