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【岡田敏一のエンタメよもやま話】音楽がダメになったのはホントにネットのせい? 全世界で昨年1500万枚も売れたアデルのCD
しかし、こうした数千万枚規模の売り上げ記録を誇る作品は、ネット普及前の80年代以前に発売されたものがほとんど。ネット時代には数百万枚売るのも至難の業で、日本以上にCDが売れない米国では「5万枚売れたら万々歳」(業界筋)といったお寒い状況です。
そんなアデルの異常人気ですが、注目すべきは、楽曲の質と、繊細ながらも23歳とは思えぬ堂々とした歌唱力の高さがCDの売り上げに直結しているということに尽きます。米黒人ルーツ音楽である1950年代~60年代のソウルやR&B(リズム・アンド・ブルーズ)を忠実に踏襲した古典的な楽曲群は、電子音にまみれたお子様向けの単調なダンス音楽ばかりの昨今の欧米の音楽シーンの中では異質な輝きを放っていました。
記者が彼女の存在を知ったのは2008年。この年に発売されたデビューアルバム「19」の収録曲でシングルカットされた「チェイシング・ペイブメンツ」を聴いた時でした。端正なバラードですが、最近のヒット曲とは全く異質なコード(和音)進行とメロディーに大いに驚きました。翌年、この楽曲で世界最高の音楽賞、米グラミー賞で最優秀女性ポップボーカルパフォーマンス賞に輝き、将来、必ず無視できない存在になると確信しました。
その後、彼女は米のカントリー音楽やブルーグラスといった白人音楽も研究。ロック系の凄腕プロデューサー、リック・ルービンをプロデューサーに迎えて発売したのが「21」でした。音楽性の幅を広げ、若いロック・ファンにアピールする音作りをめざしたことが大成功につながったようです。
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