福島第一格納容器内を初撮影 2号、水面確認できず ツイート
2012/01/20
2号機の格納容器内部。塗装がはがれ内壁が確認できる。上部からは水滴が垂れている(東京電力提供)
東京電力は20日、福島第一原子力発電所2号機の格納容器内部を工業用内視鏡で事故後初めて撮影した動画をホームページ上で公開した。 19日午前に撮影したもので、動画から切り取った静止画は同日公開した。 格納容器の水位はOP (小名浜湾平均潮位) 10メートル程度と想定していたが、内視鏡で確認できた同9.5メートル付近に水面はなかった。 ただ、内視鏡の先端の温度計で測った温度は44.7度と低かったほか、普段測っている温度計に誤差がほぼないことも確かめた。 内部は高温多湿とみられ、上部から水滴が垂れている状態。 内壁の塗装ははがれていたが、配管などに破損はみられなかった。
福島第一原子力発電所1~3号機は事故によって圧力容器内の燃料が溶け、格納容器に抜け落ちている。 廃炉に向けては格納容器から燃料を取り出す必要があり、格納容器内部の状況を把握する調査は重要なステップに位置付けられている。
今回の格納容器内部調査の目的の一つは水位の確認だったが、水面は映っていなかった。 内視鏡はOP9.5メートルのグレーチング (格納容器1階) まで映し込んでおり、水位は少なくともこれより低い。
格納容器内には、シビアアクシデント対策でOP8.3メートルの位置に取り付けた水位計がある。 水没するとスイッチが入る仕組みで、その信号が確認されている。 このため水面はOP9.5~8.3メートルの範囲という推定も可能だが、東電は 「水位計の健全性が不明なので、この状況はよく評価する必要がある」 と慎重な姿勢だ。
内視鏡の先端につけた温度計からは、格納容器内が高温になっている様子はうかがえない。 東電では燃料が水につかっており、冷温停止状態に変わりはないとみている。 普段使っている温度計の温度は42.6度で、内視鏡の温度計との誤差は小さかった。
撮影した映像には、高温多湿な環境によって劣化が進んだ内壁塗装、配管類などの様子が映っていたが、絶えず水滴がカメラに垂れかかり、放射線ノイズも多いために極めて不鮮明だった。 東電は 「水滴は冷却が進めば改善されるので、放射線対策が今後の重要な課題」 としている。
2号機は予想される水位、作業環境や安全性などを考慮し、内視鏡を入れるのに適した貫通口があったため、最初に内部調査の対象に選ばれた。 3号機も同様の貫通口があるものの、原子炉建屋内の線量が高いため作業は困難な状況だ。 1号機は調査に適した貫通口があるかどうかを調べている。 いずれも内視鏡調査の目処は立っておらず、まずは今回行った2号機の調査結果を詳細に分析する考え。
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