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福島第1原発:炉内撮影、温度は44.7度、水面は見えず

福島第1原発2号機の原子炉格納容器内壁は、高温多湿な環境に長期間さらされた影響で、表面の塗装がうろこ状に浮き上がり、その右側には作業用の足場が見える。強い放射線のために、画像は小さな斑点が多数発生している=東京電力提供
福島第1原発2号機の原子炉格納容器内壁は、高温多湿な環境に長期間さらされた影響で、表面の塗装がうろこ状に浮き上がり、その右側には作業用の足場が見える。強い放射線のために、画像は小さな斑点が多数発生している=東京電力提供
福島第1原発2号機原子炉格納容器の内視鏡調査のイメージ
福島第1原発2号機原子炉格納容器の内視鏡調査のイメージ

 東京電力は19日、福島第1原発2号機の原子炉格納容器内を、工業用内視鏡などを使って初めて直接調査した。格納容器につながる貫通口から内視鏡を入れ、内部を約30分間撮影。配管や内壁の様子は確認できたが、水面は見えなかった。温度計で温度を計ったところ44.7度で、既設の温度計による温度(42.6度)と大きな差はなかった。

 調査は、廃炉に向けた作業の一環で、炉心溶融(メルトダウン)した燃料が溶け落ちているとみられる格納容器内の様子や汚染水の水位、温度などを調べるのが目的。

 東電は同日、動画から切り取った静止画像7枚を公表した。どれも、放射線の影響で全体に白い斑点が映っている。また、画像に映っていた配管は貫通口出口付近や上部にあるもので、目立った破損は見られなかった。内壁は、高温の影響などで塗料がはがれている。湿気が高く天井部分が結露した状態になっており、上から水滴がしたたっていたという。

 汚染水の水面について東電は当初、格納容器の底から約4.5メートルのところにあると推定していた。今回、底から約4.1メートルの場所を調べたが水面は確認できず、実際にはさらに低い位置にあるとみられるという。

 一方、今回計測した格納容器内の温度は、既設の温度計のデータと大きく変わらなかった。東電は同日の記者会見で「内部を直接調査し、(推定していた)冷温停止状態と大きく違うということではなかった」と説明した。

 調査は東電社員ら34人で実施。原子炉建屋内は高線量だったため、放射線を遮蔽(しゃへい)する小部屋を設置し、中に入って作業をした。被ばく線量は最大3.7ミリシーベルトで、計画線量(5ミリシーベルト)を下回った。

 同原発の1~3号機は事故により、過熱した核燃料が溶け、圧力容器の底を破って格納容器内に漏れ出しているとみられている。しかし詳しい状況は今なお不明で、今後の廃炉に向けた作業や安定冷却を続けるための大きな課題となっていた。東電は今回の調査について「第一歩を踏み出したところ。得られた映像を分析したい。ただし、格納容器底部を内視鏡で調査するのは難しいので、今後どういう方法でできるか検討が必要」と話している。【奥山智己】

毎日新聞 2012年1月19日 21時05分(最終更新 1月20日 0時59分)

 

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