東京電力福島第一原発の事故で飛散した放射性セシウムがスギ花粉に乗ってどれだけ運ばれているかを調べる、複数の学会による合同調査が始まった。学会が19日、発表した。スギ花粉に含まれる放射性セシウムの量は林野庁が調べているが、その花粉が実際にどの程度広がり、大気に影響を与えるか、についての大規模な調査はなかった。
調査は、日本地球惑星科学連合など関係学会の調査チームがNTTドコモの協力を得て先週から始めた。
花粉の飛散シーズンが終わる4月下旬まで、福島県内を中心に宮城県や東京都、茨城県、栃木県の11カ所で花粉の飛散量や大気中での濃度などを観測する。対象地域は主に市街地だが、山間地や杉林に近い街も調べる。
これまでの国の調査では事故で飛散した放射性物質が付着したスギの葉だけでなく、事故後にできた花芽や葉、花粉にも含まれていることが分かっている。
学会連携チームの茨城大の北和之教授は「汚染されたスギが伐採されない限り、花粉による汚染は毎年発生する可能性がある。試算だけでなくきちんと実態を把握したい」。速報値は今月末ごろから日本地球惑星科学連合のサイトで公開していくという。(竹石涼子)