'12/1/19
可部線延伸、遅延の恐れ
JR可部線可部―旧河戸間(広島市安佐北区)の電化延伸で、広島市とJR西日本が予定する2011年度の着工が困難となり、13年度中の完成が遅れる可能性が出ていることが18日、分かった。踏切の扱いをめぐる協議がまとまらないためで、市は11年度計上した関連予算を12年度に繰り越す検討に入った。
可部―旧河戸間は03年11月末に廃止された可部―三段峡(広島県安芸太田町)間の一部。約2キロを電化して復活させる。市は11年度着工を予定した。
この区間に踏切跡は5カ所。国とJRは安全面から一度廃止された踏切の復活を原則認めない。一方、市は住民の利便性や道路の立体交差化に伴う事業費増への懸念から存続を求めている。
これまでの協議で市とJRは、交通量が多く幅員が広い2カ所を踏切として存続させ、最終駅予定地に近い1カ所の廃止で合意。残る2カ所について交渉中だが、JRは復活に難色を示している。
市は現在、この2カ所について地元自治会に意見を聞いている。存続を求める意見が多く、JRと早急に着地点を見いだせるかは不透明な状況だ。合意できない場合、市は立体交差化も視野に入れるが余分に時間とコストがかかる。
市は、11年度当初予算に実施設計費や不要な既存設備の撤去費など7900万円を計上している。12年度にこの予算を繰り越すとみられる。
市都市交通部は「スケジュールに遅れが出ているのは確か。住民の意向を踏まえ、早急に合意したい」とする。一方、JR西日本広島支社の杉木孝行支社長は6日の記者会見で「現時点で合意にいたる時期は見えない」との認識を示した。