横沢入

            よこさわいり


地   域  東京多摩西部(東京都)

行動年月日  平成18年3月5日

同 行 者  チチくじら、ハハくじら、ヨシくじら(11才)、

       カズくじら(4才)、タカくじら(0才)

コース概要  横沢入南入口〜西の池〜南入口〜看板前〜石切場跡〜看板前〜トンボ池〜南入口

交通アクセス 自家用車(南入口に駐車)



             春のいち日、久しぶりに「里山探検隊」に参加して、東京の里山でのど

            かな時間を過ごしてきました。


             ここ横沢入は東京都あきる野市の一角です。 JR東日本の宅地分譲計

            画以来、紆余曲折を経て、開発をまぬがれた美しい谷戸が今に残ります。

         

             ときどきおじゃましている「里山探検隊」は、毎月第1日曜日に「横沢

            入のクマ」こと映像カメラマンのT氏が、手弁当で、子どもたちを引き連

            れていろいろ遊んでくれるイベント?です。


             今日はまず西にある池に向かいます。休耕田

            のぬかるみの中を、長靴を履いてぐっちゃぐっ

            ちゃと歩きます。 途中でせせらぎの溜まりを

            見つけると、網をつっこんで、ドジョウやヤゴ

            やザリガニを捕りました。

             上の池にはヤマアカガエルの大きな卵塊がゆ

            らゆら漂っています。 今冬の結氷のせいか、

            死んだドジョウがなん匹も白くふやけた姿で沈んでい

            ました。 泥の中に遊ばせた網をあげると、アカハラ

            イモリが入っていました。 さっそくカズが濡らした

            手のひらに乗せていじくります。


             池の近くの枯れ野原には、カヤネズミの空き巣が転

            がっていました。 ヨシはクマさんとネズミ探索です。

            「いた〜!!」という叫び声が聞こえたものの、結局

            逃げられてしまいました。 でも「一匹見つけたよ!」

            と興奮気味に語るヨシでした。


             池を離れて、先ほど捕った水生生物を逃がしてあげ

            ます。 ただし、本来は横沢入にいてはいけないアメリカザリガニだけは

            生態系保護のため、駆除を兼ねてお持ち帰りです。


             次に向かったのは沢沿いにある榎の木の根元です。 落ち葉を裏返して

            オオムラサキの幼虫を探してみます。 「いないな〜」と言い始めたとき

            さすがクマさん、一匹発見です。 男の子がもう一匹見つけて、今回は越

            冬幼虫を2匹観察できました。 オオムラサキにとっては、東京に残され

            た数少ない生息地でしょう。


             ふと気がつくと、ハハとカズとタカがいません。 目を移すと、草を刈

            った原っぱで、屈んでなにかしています。 野草を摘んでいるおばさんに

            教わって、セリを摘んでいたのでした。 「これもいいの?」とおばさん

            に尋ねながら、カズも上手に摘んでいました。

             摘んだセリは天麩羅にしてこの日の夕食に添えました。 春の味覚をヨ

            シもカズも「美味しい!」と口にしていました。


             お弁当を食べて、寒くもなく暑くもない陽気に包ま

            れていると、時がゆっくりと流れるようです。

             さて、今度は、山の中にフクロウの巣箱を見に行く

            ことにしました。

             看板前から新しくできた階段をあがって、踏み跡を

            たどりながら、ちょっとした山登り気分を楽しみます。

             しばらく登ると「あれぇ、木が切られてる!」とが

            っかりしたクマさんの声。 でもそれは勘違い、さら

            に上に巣箱はありました。 巣箱はありましたが、底

            が抜けてガタガタです。 これじゃ営巣できません。

            「なおさなきゃなぁ」と呟くクマさんでした。


             そこから名もないコブまで直登します。 コ

            ブの頂に立っても、残念ながら展望は得られま

            せん。 そこからトラバース気味に道なき道を

            降ると、石切場跡に降り立ちます。

             竪坑跡の底には水が溜まって池になっていま

            す。 水溜りのような浅い池の底の落ち葉にス

            トックをさし込んでみると、ずぶずぶと沈んで、

            メタンガスの泡がぽこぽこと浮かび、底なし沼のようです。

             かつて伊奈石として利用された砂岩層には、切り出した際のノミの跡が

            くっきりと残り、あちらこちらに石が散らばっています。

             「臼は伊奈石、新町小麦、ひけばひくほど 粉が出る」と唄われた往時

            は、伊奈石は広く多摩全域に出荷されていたそうです。


             しばしの山中逍遙を終えて、最後はトンボ池でひと遊びです。 ここで

            は、先ほどのヤマアカガエルの卵塊に加えて、ニホンアカガエルとトウキ

            ョウサンショウウオの卵塊も見ることができました。 サンショウウオの

            生体を求めて池の底を漁ってみたものの、対面はかないませんでした。


             たっぷり遊んだ探検隊もそろそろお開き、いつものことながら、ヨシも

            カズも本当に楽しそうでした。 遊び疲れて、帰りの車中では熟睡です。

             クマさん、皆さん、ありがとうございました! また遊んでください。                      

             <今日の一匹>


             オオムラサキ(大紫蝶)の幼虫


             国蝶オオムラサキの越冬幼虫です。

             榎木の根元に積もった落ち葉の下で、息を潜めて春を待っています。

             成虫は夏の雑木林の樹液に飛来する美しい蝶です。