把瑠都十一戦無敗。ちょっとこの勢いは止めようがないという感じになってきた。
決して自棄気味でこんなことをいうわけではないのだが、異能の力士が今場所、日一日と本物になってきて、どこから見ても立派な大関になりおおせてきたという感じが強い。
ついでに、これも自棄に似ていることを書けば、白鵬のもう一段の活躍があって、それが把瑠都の出世につながり、かねてから待望論がかまびすしい両横綱そろっての番付正常化につながって行く。それが大相撲の正常な形だと考える人もいようと思う。
こんなことを考えるのは、白鵬に土をつけた鶴竜の相撲があまり見事なものであったばかりに、白鵬一人横綱という偏頗(へんぱ)な形はもう終えても良いのではないかという反省がいくらかは加わっているからである。
ついでに、把瑠都が最上位に加わると、どんなラインアップが将来組まれても、非常に内容の濃いものになることを忘れてはなるまい。
こうした変化含みの大相撲の形はこのところ営業不振と聞くに、ひとつの大きな変化を呼ぶことになっては行かないか。そういった変化を大相撲が求めていることは、誰もが感じているところだろう。
今場所に関して、新進二大関が果たしくれた功績は非常に大きい。しかし、やはり疲れが出たものか琴奨菊は正直のところ稀勢の里に追い抜かれてしまったように見えた。こんなことからも、まだ新進大関らにはかなりきわどいものを感じとってしまうのだが、良い方向を指すシグナルは出ていると私は思う。あとはそのシグナルを見間違えないことだ。 (作家)
この記事を印刷する