核開発を続けるイランに対して、欧米諸国が原油を対象にした経済制裁の強化を進めるなか、イランの通貨が大暴落し、33年前のイスラム革命以降で最安値を記録するなど、国内経済への影響が広がっています。
イランの核開発問題を巡っては、アメリカがイラン中央銀行と取り引きする金融機関をアメリカ国内から事実上締め出すことで、各国がイランから原油を輸入するのを難しくする法律を施行したほか、EU=ヨーロッパ連合もイランの原油の禁輸措置に向けた最終調整に入るなど、イランに対する包囲網が狭まっています。こうしたなか、イランでは、経済の先行きへの不安から、年明け以降、現地通貨「イランリアル」から、より安定したドルや金などに交換する動きが相次いでいるため、「イランリアル」が暴落し続け、18日、33年前のイスラム革命以降で最安値を記録しました。首都テヘランでは、通貨の暴落に伴って急激な物価高に見舞われており、市民からは「食料品も何もかも値上がりしているにもかかわらず、政府は何の対策もできていない」など不満の声が上がっています。イラン政府は、ドルなどへの交換を自粛するよう市民に呼びかけるにとどまらず、これまで黙認していた闇市での通貨取引を行えば逮捕に踏み切るなど、通貨のさらなる下落を食い止めるため躍起になっています。