政府と東京電力は、家庭向け電気料金の値上げについて調整に入った。原発に代わる火力発電の燃料費が収益を圧迫するなか、企業向けの値上げだけでは東電存続の青写真を描けず、政府も家庭向けの値上げが避けられないとの判断に傾いた。上げ幅は5〜15%の間で調整が進むとみられる。
東電の今年3月期の連結業績は、純損益が6千億円の赤字になる見通し。原発が再稼働しないと、毎年8千億〜9千億円規模の赤字が続き、電気事業が成り立たなくなる。
値上げには経済産業相の認可が必要になる。枝野幸男経産相は昨年暮れ、「値上げは電力事業者の権利という考えを改めてもらいたい」と述べ、値上げに厳しい姿勢を示していた。
しかし、東電が経営破綻(はたん)すると、被害者への賠償や廃炉作業が難しくなるおそれがある。そうした事態を避けるため、政府は徹底したリストラと経営責任の明確化を条件に、値上げを認める方針を固めた。