2001年08月28日 第374号
ベトナム戦 終戦以後初めて‘謝罪’発言… 300万ドル投じて、民間人虐殺被害地域に病院建設も
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'より一層成熟した関係.' 金大中大統領とチャン・ドク・ルオン ベトナム国家主席が、去る8月23日、首脳会談で握手している.(イ・ジョンウ記者)
“わたしたちは不幸な戦争(ベトナム戦争)に参加し、本意とは違ってベトナム国民に苦痛を与えたことに対して、申し訳なく考え、お詫びの言葉を申し上げます.”
金大中大統領が3年前の‘遺憾’発言よりも一段階進んで, 韓国軍のベトナム戦参戦に関して、ベトナム側に‘謝罪’した.
金大統領は、さる8月23日午前、大統領府で開かれたチャン・ドク・ルオン(Tran Duc Luong)
ベトナム国家主席との首脳会談の席でこのように明らかにして、“雨が降った後に土地がより固まるという韓国のことわざがあるように,
過去の不幸があったからこそ、私たち韓国はベトナムにより深い関心を持って理解と協力をしていく考えだ”と話した.
“一度の謝罪で済むことではありません”
金大統領の今回の発言は、たいそう破格なことだとして受け入れられている. 首脳会談直後、“心より歓迎する”という論評を出した‘ベトナム戦
真実委員会’(常任代表 イ・ヘドン)の関係者たちも、このように早くなされるとは予想できなかった.
保守陣営の反発等、政治的負担が大きいことを敢えてやるとは思えなかったためだ.
それなら、金大統領は、具体的にベトナム戦参戦に関して、何を謝罪したのだろうか. ‘本意と違ってベトナム国民が受けた苦痛’とは、何か.
大統領はこれを明言しなかった. しかし、同日午後、国賓晩餐の席でしたもう一つの発言で, 察することはできる.
大統領はこの席で、チャン・ドク・ルオン主席に、“ベトナム中部5地域に病院を建てたい”という意思を表明した.
‘中部5地域’というのは、クアンウンアイ, クアンナム, プエン, ビンディン,
カンホアロで、ベトナム戦当時に青龍・猛虎・白馬隊がベトコン捜索・掃討作戦を繰広げた所だ.
計300万ドル規模の予算が策定された、この病院建設事業は、来年から約3年にわたって進行される.
政府は既に、昨年にも中部5地域に200万ドルを投じて、40の小学校を建てるようにして、現在20校建設を完工した状態だ.
ベトナム中部5地域は、韓国とベトナムの‘暗い過去史’を象徴する. <ハンギョレ21>が、さる99年5月から執拗に報道し始めた‘ベトナム戦
民間人虐殺’関連記事は、中部5地域の被害者たちとそこで作戦行動をした韓国軍の証言を土台にしたものであった.
その過程で発足した‘ベトナム戦真実委員会’は、平和音楽祭などの多様なプログラムで、‘謝罪世論’を組織しながら政府に圧力を加えた.
大統領の‘謝罪発言’と、中部5地域支援事業は、その延長線上にある.
ホーチミンでも <ごめんなさい ベトナム> レコードが出される
もちろん、限界はある.
聖公会大 ハン・フング教授(韓国現代史)は、“一度謝罪しても、終わるものではありません”と区切って話した.
“わたしたちは日本のように玉虫色な態度はとらないということを外交的に誇示したという点では、称賛することだけのことはあります.
しかし、謝罪をするのなら、私達がどんな苦痛を与えたのかを徹底的に糾明した後にしなければならないのに、その過程がなかったのです.
大統領だけの謝罪ではなく、汎国民的謝罪運動が必要とされます.”
対象点に立った批判もある. ハンナラ党 クォン・チョルヒョン
スポークスマンは、“金大統領の主張は‘米国の傭兵としてベトナム戦参戦’したのだという政治運動圏の主体思想派の論理と似ている”としながら、“枯葉剤の患者たちがどれくらい多いのかということを考えれば軽率な言動だ”という論評を出した.
また
パク・グンヘ議員は、自身のホームページで、“これは、6・25時(註:朝鮮戦争)、大韓民国の自由と民主主義を守るために戦った16ケ国の首脳たちが金正日党書記委員長に、‘不幸な戦争に参加して北朝鮮国民に苦痛を抱かせたことについて謝罪する’と言ったことと同じく、途方もないこと”だと批判した.
ベトナム参戦戦友会等、一部参戦軍人組織も、“妄言”として反発する態勢をとっている.
ともあれ、このような論議沸騰の中でも、国内人権団体等のベトナム行は続いている.
韓国キリスト教協議会(KNCC) 人権委員会(委員長
キム・ジョンミョン)は、10月頃にベトナム中部5地域を訪問して‘民間人被害’実態を調べる予定だ.
ベトナム側も消極的なばかりではない.
ホーチミンの‘サイゴンレコード社’は、韓国の‘ベトナム戦 真実委員会’が1年前に製作した<ごめんなさい
ベトナム>レコードを、ベトナム語に訳して、今年の末に市場に発表する計画だ. ‘サイゴンレコード社’ウエン・カッ・ビ(Nguyen Khat Vi)
社長は、“レコード市場に発表することは、ベトナム社会に大きな共鳴を呼び起こすことです”とし、“韓国の人道主義平和運動が一層発展することを祈願します”という立場
明らかにした.
韓国とベトナムは、今回の首脳会談を契機に、資源開発と情報技術分野の協力を強化する、いわゆる‘21世紀の包括的同伴者関係’を明言した.
両国共同で大規模油田開発に成功して, SKテレコム等の国内移動通信企業等はCDMA事業進出のためのベトナム政府の承認をとりつけた.
‘真の謝罪と許し’がなされるならば, 両国は‘最も親しい友人’になるはずだ.
コ・ギョンテ記者 k21@hani.co.kr
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