国の原子力安全・保安院は、関西電力大飯原子力発電所の運転再開の判断の前提となる「ストレステスト」の結果について、18日夜「妥当だ」とする評価をしました。評価が示された会議は、運転再開に反対する人たちの抗議で開始時間が大幅に遅れるなど「ストレステスト」への批判は強く、再開に必要な地元自治体の了解を今後得られるのか見通しは不透明なままです。
「ストレステスト」は、政府が、停止中の原発の運転再開で地元の理解を得るために導入した安全評価で、原子力安全・保安院は18日夜、専門家の会議を開き、福井県にある関西電力大飯原発の3号機と4号機のテストの結果を議論しました。この中で保安院は、関西電力が提出した、津波は想定のおよそ4倍の11.4メートルまで安全性に余裕があり、深刻な事故には至らないなどとしたテストの結果について、「テストの方法は妥当だ」とする評価をしました。これに対し、参加した専門家から「テストで判明した原発の弱点を少しでも強化できるよう、電力会社は今後も継続的に安全性を高める努力が必要だ」などの意見が出されましたが、大きな異論は出ませんでした。一方で、会議は、運転再開に反対する人たちが会議室に入り抗議を続けたため、3時間半余り遅れて始まったうえ、専門家8人のうち「ストレステスト」を運転再開の判断に使うことに批判的な委員2人が欠席しました。大飯原発の2基については、保安院が、今月23日から月末にかけてIAEA=国際原子力機関の調査を受けてから最終的な評価書を作ります。また、国の原子力安全委員会の検証を経たうえで、最後に政府が運転再開を判断することになっています。再開の前には地元自治体の了解が必要ですが、自治体からも「ストレステスト」への批判があるうえ、福井県は、福島第一原発の事故の検証を踏まえた新たな国の対策が示されなければ、再開の判断はできないという姿勢を示していて、理解が得られるかどうか、見通しは不透明なままです。