堺屋氏の裏社会発言に弁護士抗議…震災復興で
2012年1月18日(水)14時58分配信 読売新聞
-PR-
東日本大震災の復興に関し、作家の堺屋太一氏(76)が阪神大震災の経験を踏まえ、「裏社会の人に協力を要請しないと突破できない局面も出てくる」と月刊誌で発言したことに対し、暴力団排除(暴排)活動を進める全国の弁護士16人が抗議したことがわかった。
弁護士側は「暴排の機運に逆行しており見過ごせない」としている。
抗議されたのは、「文芸春秋」昨年9月号の「民主応援団長が見た『日本中枢の崩壊』」の中での発言。政府や東京電力の対応について、稲盛和夫・京セラ名誉会長と対談した堺屋氏は、阪神大震災で政府の復興委員を務めた経験から「復興にはスピードが必要」と主張。「平時のように四角四面に法律を適用していては、ことは迅速に進みません。正直なところ、裏社会の人に協力を要請しないと突破できない局面も出てきます」と述べた。
堺屋氏の発言に、日本弁護士連合会の民事介入暴力対策委員会の有志16人が昨年10月、「震災では暴力団など反社会的勢力の関与が許されるかのような発言だ」と文書で抗議し、具体例を示すよう求めた。
これに対し、同氏は「『裏社会』とは極めて広義の意味で使った」などと回答。再質問にも「反社会的勢力の範囲がわかりかねる」と答え、問答がかみ合わなかった。
堺屋氏は取材に「『裏社会』とは、登記も登録もされていない団体を指して発言した。必ずしも暴力団を意味しない」と説明している。