コミック百合姫 2012年3月号

百合度★★★★★(5.5)

新年最初の百合姫!ページ数が一番多くて、一番の老舗百合雑誌ですね。
冬コミのゆるゆりグッズもやはり誌上販売されていますね。コミケではあっという間に売り切れてしまったようで、買えなかった人はこの機会に利用すると良いのではないでしょうか。
赤字覚悟でわざわざ重版をかけた1月号も、もう売り切れてしまったようですね。次号が出る前に在庫がなくなってしまうなんて現象は、百合姫Sの1号と2号を除いて、百合姫ではそんなにある現象ではなかったのですけども。最近の百合姫は品切れになるのが早いです。
2期のニュースも載っていることですし、ゆるゆり2期決定ということで、今回の百合姫も品切れになったりする確率もありそうですね。グッズがほしい人も、グッズはほしくないけど百合姫本誌がほしくて難民になるのが嫌だという人も、とりあえず早めに買っておいたほうが良いでしょう。

表紙はラメが入っていてなんか眩しい。微妙すぎるサプライズがツボった(笑)。

・ゆるゆり大特集

二期のキービジュアルをどこよりも早く掲載、他スタッフ情報やなもり先生の喜びというか困惑の声も掲載されています(笑)。

・特集[百合ヒストリーREWIND]
かなり既視感がある特集なんですが(笑)これは「ゆるゆり」から入った新しい百合好き向けの特集なんでしょうね。悪くないんじゃないですか?しかし年表の上の「マリア様がみてる→各種メディアに百合拡大→ゆるゆり→ゆるいゆり拡大!?」って文句読むと、果たしてこれは進化なんだろうかと首をかしげてしまいますが(笑)。

・「百合男子」(倉田嘘
今回は嬉しいのか嬉しくないのか分からない2本立て!7話、魚屋のおっさんは既婚のため百合雑誌の隠し場所に注意を払わねばならず、偽装冷蔵庫を保管場所にすることに。既婚の人は既婚の人で、苦労はありますやね。自分が結婚してしまったために妻が女の子同士仲良くしていた世界を引き裂いてしまったことに一抹の後悔を感じるおっさん。こちらのストーリーは、倉田嘘先生ご自身の体験も生きているような気がするんですが、なんか深いですね…。個人的には7話が今までで一番良かった。
8話は松岡×藤ヶ谷の黒ロン×黒ロンカップル!

啓介の恐怖の追跡が結果的に2人のキューピッド役になってしまって、名前呼びで距離が縮んだ2人のようですが宮鳥は果たして…。
ビルや電車内の描写は、この作者さん気が狂ってるのかと思うほど緻密。

・「ブラックヤギーと劇薬まどれーぬ」(大沢やよい)
ネットアイドルをやっていた女の子まどれーぬに惚れたヒロインは自らも被り物をして(八木だから山羊w)イロモノ系でネット放送をはじめ、それはそこそこ人気を博すことに。「こんばんはみなさまようこそ我が祭壇へ」という前口上とか、ヤギーの放送のノリが今時っぽいですね〜。
その後本物のまどれーぬに会って、コラボで一緒にネット放送に出演したりする仲になるものの、中傷からまどれーぬを守るために自分は引退することを決める八木さんですが、最終回を放送してる最中に乱入したまどれーぬに「好きです」と言われ、キスも閲覧者たちに見られてしまいそうになる展開が面白いですね〜。


・「裸足のキメラ」(大北紘子
仕えるメイドが親身に接してくれるうちに心を開いたお嬢様は次第にメイドに心を開くようになり、唯一普通に話をすることが出来るようになったものの、実はお嬢様と異母姉妹だったメイドは、血縁もあってドナーとしても最適だったため、父親に言われお嬢様の命と弟の将来のため、体のほとんどの部分をお嬢様に提供してしまい、手術後話をしたいとお嬢様は思うもののもう彼女はこの世にはもうおらず…というお話。
で、タイトルが2固体以上が合体して出来た生物「キメラ」と。ラスト、来れないメイドを待ち焦がれるお嬢様と、表紙でキメラの姿をして寂しげなお嬢様の様子が印象的です。


・「ミズイロ・ソライロ」(慎結)
ぼっちでクラスで浮いてる女子同士、分かり合って好きになるお話。相手は転向してしまったものの、ヒロインはクラスの中で群れなくても一人で暮らしていける力をもらう…というお話。

波打ち際でキスを交わすシーンが綺麗。

・「レイニーソング」(百乃モト)

お話自体は、わりとシンプルなバンドものの百合漫画なんですが、画力があるんで迫力が他作品とは全然違う!
エレキギターとかの形もちゃんとしてるのが嬉しいですね。ギターは、形なんて物語の中ではそんなたいした問題ではない…とわかっていつつも、実際に欲しくてあれこれカタログを眺めたことがある人なら形がちゃんとしてるかどうか気になってしまうアイテムですよね。一方文化祭で活躍したバンド少女に憧れを抱くヒロインの水玉模様の傘も可愛い♪

・「私の世界を構成する塵のような何か」(天野しゅにんた)
女子だけで合宿することになり、妖しげな白い粉を飲んで、女子同士次々とエッチしそうになってしまう展開がドキドキしますねv

留希はなんと笙ちゃんと…!って小麦粉だからこれにはオチがつくんですが。しかし薬が効いても効かなくても自分の欲望に歯止めが効かなくなってしまう明日菜はまた、芽流ちゃんとエッチしてしまったようですね。びしょ濡れになってしまっているのがエロい。

・「恋ハナ★バレンタイン」(森島明子)

ようやく恋人になった茜と鈴音の2人、キスをしようとして歯をぶつけてしまうのが新鮮♪森島明子先生の今年の抱負は引き続きJK絵の上達を目指すとのこと。社会人モノが好評な森島明子先生ですが、実は個人的には女子高生百合漫画がめっっっちゃ好きなんですよね〜♪是非読みたいです♪
一方翡色とみゃーこも10年前はバレンタインのチョコをだしにファーストキスをしたりして初々しかったものの、今では朝から下のお口にキスをしてしまうような深い仲に。大人のエロすぎるキスも素敵です♪

・「ゆるゆり」(なもり)
ドキドキ王様ゲーム!しかしあかりへの仕打ちはちょっとひどいんじゃないか…とか言ってみる。冗談が笑ってもらえず真剣に嫌な顔されると悲しいですよね〜。そうは思いませんかなもり先生…('A`)
京子は誰からのキスも受け入れてしまうんですね。結衣、そこは京子の足を舐めてあげなきゃ♪

全体的に百合度が微妙な中でも、ガチ百合なちなつはひとりで頑張って百合度をあげていて健気だなぁ。しかしその姿は京子以上にあひるっぽい(笑)。結衣がちなつにムダにお茶を入れさせるのはもはやお約束展開?

・「love*preparation」(竹宮ジン)
「おぱいよう」良いですね〜。竹宮先生の描くだらしのない顔の百合女子も可愛いです。恋人がいたっぽくて「あたしが男だったら良かった」と思う良子ですが、あーちゃんに昔いたのは彼氏じゃなくて彼女がいたっぽい?
「Q この日常をぶち壊す方程式を求めよ」も格好よい。
竹宮ジン先生は百合な同人誌の再録&描き下ろしも加えた「Seasons」も良かったですよ。こちらも要注目!

・「記憶喪失はじめました」(すこやか)
すこやか先生も参加されています。耳なし芳一ぱんつに笑ったw

・「おわかりいただけただろうか」(黒柾志西)
テレビから抜け出して貞子を演じる幽霊少女ですがまた逆に怖がらされて押し倒されてエッチされてしまうことに。通話中だったので妹にエッチの声も全部聞かれてしまうオチが良いですね。

・「あまいゆびさき」(小説:宮木あや子 挿絵:ロクロイチ)
友達に誘われて行った先の別荘で真淳は照乃と再会してお話をすることが出来たものの、恥ずかしい姿の自分と一緒にいない方が良いと「どんなかたちでも、もう会いたくなかった」と言って手を払う照乃に、真淳が一瞬本気で照乃から心が離れていってしまった…?と思わせる展開が上手い。

ロクロイチ先生、最近あまりお見かけしないんでイラスト見れるのは貴重ですね〜。微妙に作風も変わってきているような?綺麗なイラストですね。「あまいゆびさき」が単行本になる可能性はあるのですが、イラスト全部再録されることはないので、ロクロイチ先生の百合イラストを逃さないためにも雑誌は買っておきましょう。

・「犬神さんと猫山さん」(くずしろ)
「姫のためなら死ねる」で百合好きにもおなじみのくずしろ先生の作品が、今月号からいよいよ本格的に連載開始!

発情期の2人の妄想がエロい(笑)。犬神さんは中学の時は、秋ちゃんに一目惚れしていたんですね。彼女が今後2人にどうかかわっていくかも注目です。

・「ともだちに、なれたら。」(藤原栄)
ベテランに逃げられて新人頼みの情けない実情を開き直って座談会で「今は最強だね。うちの新人さんは」などとりっちいさんが微妙〜なカテゴリーの中で最強を謳ってるのも笑ってしまったんですが、この作品とか見るとその狭いカテゴリー内での地位も怪しいような気がしないでもない(笑)。

・「きものなでしこ」(八色

プール回!4コマにもお色気を求めてしまう私は単純に嬉しいですよ(笑)。作者さんの大好きな「ストライクウィッチーズ」ネタも出ましたね♪

・「ふ~ふ」(源久也
この作品と「百合男子」が売れたという編集者の自慢話はよく聞くけど、その後に出た「放課後カノン」「レンアイ女子課」「いちばん近くて、とおいふたり」がちゃんと売れたかどうかの話って全然聞かないんで、ひょっとして雑誌の作品をアニメ化するより、単純にテレビCM流したことの方が大きかったんじゃないかと思えてくる。テレビCMを入れてもらう努力も重要かもしれませんね。
それはさておき本編、きななに猛烈に求愛してくる新キャラの桜瀬新(おうせあらた…ってこのネーミングも笑えるw)ちゃんはかななに似ているから好きになったということで、しかもかななのスケコマシ体質は相変わらず。そして恋人になった白雪まで「この人は私のものというエゴは嫌いだから好きなのは自由」などと言い出してしまい、ハーレム百合もありそう?楽しそうな展開になってきましたね。

・「hime cafe」
さかもと麻乃先生の対談のお相手はやっぱりノラさん!初回なので緊張していると話しているのが初々しいんですが、担当作家さんや作品への愛は溢れているのが感じられて、ますます好感を持ちました♪

・「最低女神」(井村瑛)
少女漫画には結構あるいじめモノということですが、作者さん的には珍しいですね。いじめられて学校に行けなくなってしまったヒロイン志乃ですが、一方そんな彼女に優しくしてくれる羽南ちゃんも実はいじめられていたところを助けてもらったことから相手を女神様だと思い、独占欲が芽生えて他の子に志乃をいじめるよう仕向けるようになってしまったんですね。

ラスト、「彼女のいない世界は幸せだったかもしれないのに」と思い、相手の首を絞めつつキスをして離れられない姿が官能的です。

・「スキキライスキ コンプレックス」(ちさこ)
好きな子を独占するため、嘘の悪い噂を流したりする優奈ですが、実はそれを知っていてそれでも「可愛い…ね」と言ってくれる沙希の優しい眼差しが良いですね〜。確かに優奈はウザカワいい!v

・「Cirque Arachne―サーク・アラクニ―」(再田ニカ)
ロッテとデュオを組むことになったテティ。やはり高いところで演技をする演目を選ぶことになって、サーカスにはやっぱり危うさがつきまといますね。それはさておき、鍛えたせいでわりとごっつい手と、運動をしているせいでスタイルの良い胸からお腹にかけてのバランス、柔らかそうなお尻など、やはりこの方の描く女の子の肉付きはこだわりが感じられて良いですね。

・「in the closet...」(黒霧操)
百合男子の代わりに悪い紙質で巻末掲載ってそりゃ一体何の冗談だ(笑…えねえ!)。それはともかく、今回の作品は非常に良かったですね。
親友のリカを着せ替えてごっこして遊んでいたヒロイン奈緒が、実はリカそっくりのお人形を隠し持っていて、そのクローゼットの中身を見た日以来代わってしまったリカは自分に愛想をつかせた…と思いきや、飽きられないよう姿を変えていただけだったというお話。
「私、奈緒ちゃんの人形になりたいの!!」と告白するリカちゃんや、リカに見立てた人形をこっそり舐めて、リカとそういうことをするのを妄想する奈緒のシーンがエロティックで良いですね。


・表紙(なもり)

表紙の「今日も明日も明後日も、同じ空の下。永遠。」という文句は、百合姫がこれからも以前までやってきたことを継続してやっていく、という決意の表れだと良いのですけども、なにせ表紙のシュシュの女の子の右の子は前号で他の女の子に寝取られていた女の子、左はそれに気づいてないという設定ですからね(笑)。2人をつないでいるイヤホンのコードが運命の赤い糸にだったら良いな…と読者も思ってしまうんですがそれはいつ切れてもおかしくない危うい糸です。
表紙をめくったところにもう一枚あるなもり先生のイラストでは、寝取り子に冷たい目で後ろから見られているのにも気付かず、授業中に寝取られ子からもらった伝言の紙をもらって、何も知らずに喜んでいるシュシュ子が哀れで悲しい。

このイラストはシュシュ子=読者、寝取られ子=なもり先生、寝取り子=りっちいさんと置き換えて読むと面白いかもしれません。
読者はなもり先生を永遠に応援して一緒にいたい…と思いつつ、担当編集でもあるりっちいさんほどなもり先生については知っていて、なもり先生を後ろ盾している人はまずいないでしょう。なので、読者がりっちいさんではなく、ファンである自分がなもり先生と結ばれたい…と思ってもそれが実現されるかどうかは危うい…しかしなもり先生がりっちいさんと永遠に結ばれていくことになるかというとこれまた危うい話で、逆に5年後にはなもり先生抜きで読者とりっちいさんがまだ結ばれている…なんてことも充分ありうるわけです(笑)。もちろん雑誌が廃刊になって、読者がりっちいさんともなもり先生とも縁が切れて結局三者ともバラバラ…という悲惨な展開もあります。

百合姉妹創刊時から百合姫もいろいろ変わりました。百合姉妹創刊時からの作家さんはゼロ。百合姫創刊からいる作家さんはかろうじて森島明子先生がいますが、後はほとんどつい最近加わった新人作家さんばかりです。この調子だと5年後には作家陣がまたガラっと変わっていることは想像に難くないことです。果たしてその時私たち読者は変化を全部受け入れることが出来るでしょうか?
きっと受け入れられない部分もあるでしょうし、意外に受け入れられる部分もあるでしょう。何を受け入れて、何を受け入れないかは人それぞれだと思いますが、なにもかも全部今のままでいるということは、とても難しいことに思えます。
「永遠」という言葉がこれほど危うく、儚いものとして響いたことは今までなかったですね。
よく出来たイラストストーリーだと思います。

ところでツイート情報によると、1月19日発売の電撃大王ジェネシスに、百合姫でも活躍されている藤枝雅先生の「天色くろすおーばー」掲載されるそうです。告知イラストにも女子同士甘そうな雰囲気が漂っていて良い感じですよね。読みきりということで、単行本は当分先…というか執筆ペースを考えるとされるかどうかも怪しい感じ?「猫神さま」や「キャラメル☆スター」も一向に単行本化される気配がないですしねえ。電撃大王ジェネシスは「はしっぽ花星」や「トカレフの危うい城」など、百合的にも良い作品が掲載されているので、これはおさえておくと良いと思いますよ♪

1月18日はさかもと麻乃先生の百合姫コミックス「パイをあげましょ、あなたにパイをね」も同時発売!今の百合姫では一番ノっている作家さんです!

百合姫2012年1月号の紹介はこちら。


Fujisanで注文すると、地方でも数日前(今回は3日だった)に百合姫が届きます。