窃盗容疑での追跡中に発砲し、殺人罪などに問われた奈良県警の警察官2人の裁判員裁判を巡り、読売新聞の記者が選任された裁判員に取材し、その内容を記事にしたことが18日、分かった。裁判員法102条は裁判員保護などの目的で「選任された裁判員に接触してはならない」と規定しており、奈良地裁は法に抵触する可能性があるとして「経緯を調査した上で対処する」としている。
裁判員の選任手続きは17日、同地裁で行われ、裁判員6人と補充裁判員4人が選任された。初公判は23日で、来月28日に判決が予定されている。
読売新聞は18日付奈良版で、「裁判員に選ばれたという」人物として、匿名にした上で住所(市まで)と職業、性別、年齢を明記し、「『判決が、今後の警察官の発砲の判断に影響すると思うと……』と責任の重さを思い、不安な胸の内を明かした」と紹介している。
読売新聞大阪本社広報宣伝部は取材に対し、「禁止されている裁判員への取材を行い、チェックミスで掲載しました。誠に遺憾で、関係者におわびします」とのコメントを出した。【岡奈津希】
毎日新聞 2012年1月18日 21時48分(最終更新 1月18日 22時27分)