原子力発電所の運転再開の判断の前提となる「ストレステスト」の結果を専門家が議論する原子力安全・保安院の18日の会議は、会議室での傍聴が認められなかったことなどから運転再開に反対する人たちが会議室に入り込んで抗議を続け、予定から2時間半以上たっても開催できない異例の事態となっています。
経済産業省の原子力安全・保安院は、18日午後4時15分から省内の会議室で専門家会議を開き、福井県にある関西電力大飯原子力発電所の3号機と4号機の運転再開の判断の前提となるストレステストの結果について、最終的な議論をする予定でした。ところが、保安院が以前の会議で傍聴者から進行を妨げるような発言があったとして、会議室での傍聴を認めず、別室でモニターでの傍聴としたことなどから、原発の運転再開に反対する人たちなどおよそ20人が午後4時すぎから会議室に入り込んで抗議を続け、予定から2時間半以上たっても開催できない異例の事態が続いています。会議室では、原発の運転再開に慎重な一部の専門家を除いて大半の委員が午後6時までに会議室を退出し、抗議をしている人たちがその場に残り続けています。原子力安全・保安院は今後の対応を検討しています。
これについて、枝野経済産業大臣は、午後5時半すぎから急きょ記者会見し、会議が平穏な形で開催されないのは到底容認できないとして強く非難しました。この中で、枝野経済産業大臣は「原発の再稼働は反対だなどという意見は重く受け止めなければならない。私も大臣という立場を離れ、心情的には、原発の再稼働については限りなく慎重であるべきだと主張している皆さんの信条にかなり近い」と述べました。そのうえで、枝野大臣は「政治的に決めるプロセスなら、デモは政治行動としてありうるが、この会議は科学的、専門的な知見から安全性を議論する場であり、平穏に開催されないのは到底容認できない」と述べ、今回の抗議行動は容認できないという考えを示すとともに、会議の専門家にはいったん会場から退出してもらい、できるだけ速やかに再開したいという考えを示しました。