Will, Vision, Innovation

大企業を飛び出して起業した元経営コンサルタントの独り言

やらせ・ステルスに対するWillViiの考え方

2012年01月18日 | 起業

各所で話題になり続けているソーシャルメディアマーケティングにおけるステマ問題。流石に純広告は何も言われていないようですが、ソーシャルメディアマーケティングについては、(個人的には驚いたことに)当社も疑念の対象とされ始めました。

ソーシャルメディアマーケティングを実行している会社は多かれ少なかれこうした疑念を持たれ、それを実際の仕事で解消していくという繰り返しをしているものですが、当社は厳格な規定で運営を行っていたこともあり、こうした疑念とは縁があまりありませんでした。しかし、今回はそうではありません。

今回の件、調べたところ批判のポイントは色々と含まれていて、ステマと言っても一概にステルスマーケティングだけを問題視しているのではないようです。あらぬ疑いをかけられるのはとても不本意ですし、これを解消することも我々の大切な責任と考えますので今回はその整理と当社の見解・立位置を再度ご説明したいと思います。

以下長文となりますがお付き合いを頂ければ幸いです。

【整理】
今ネット上での話題の中心は「はちま起稿」さんでしょう。また、当社に関する疑念も主にここから発生しているようですので、先にお話をします。まず、彼のブログに対する批判はステマという言葉にまとめられてしまっていますが、実際は以下の5つが含まれているようです。

1)ステルスマーケティング
2)やらせマーケティング
3)ネガティブキャンペーン
4)著作権法違反
5)アフィリエイト収入

こうした批判の中で、2ch上の議論を拝見していると当社は「はちま起稿」さんを当社主催のイベントにご招待していること、「はちま起稿」さんの親族を紹介されたことがありFBフレンド申請を受けていたこと、みんぽすのランキングが閲覧された方のイメージと異なったこと、更には当社を起業した私がソニー出身であることなどから、1)2)3)に対する疑惑を持たれたようです。

また、「はちま起稿」さん以外の部分では、当社が会社HPで公開をしている資料の中で、スポンジメディアとして2ch等を含むCGMサイトを表記している部分を抜き出して、当社が2ch等でやらせ・ステルスマーケティングをしているという誤解も生じています。

こうした当社が運営に関与していると言うことで、ゲエムノセカイ(各ニュースサイト、及びmk2)についてもやらせ・ステルス疑惑がもたれているようです。

【当社の立位置】
こうした状態は当社設立後初のことですが、前述の通り過去に複数の会社が経験してきました。そして、それらを受けて過去に私の考えを述べたことがありますので、そこで延べた当社の基本スタンスをご紹介させてください。その方が今の状況を見て慌てて考えているのではないと言う証明にもなるでしょうから。なお、4)5)については当社の関与外ですから、当社とは別で議論をしていただければと思います。

 

(以下引用)

当社は「馬鹿じゃないの?」「そこまでやらなくても」と言われるほど、世界一厳しいと言われるクチコミマーケティング規制(WOMMA基準)に準拠した運営を行うことで「やらせ・ステルス防止」に気を使って、真のお客様の声を生かしたマーケティングを実施している会社です。

ここまで拘る理由は、私が元作り手として、「作り手が持っている想いを一人でも多くの方に伝えたい」と考えていて、嘘をついていては、この目標は決して叶わないと信じているからです。

しかし、この目標達成は、やれば良いというレベルでは達成できません。

当社のお客様ではありませんし、どことは申し上げられませんが、何度も直接や色々な経路から、「やらせ・ステルス」と疑われるおそれが高い施策への提案を当社にまで要望されるお客様は実在します。また、当社に提携を申し込んで来てくださる会社の中にも「匿名での書き込み業務」を期待してくるところも実在します。

こうした方々に当社の経営方針をご説明して、柔らかい表現で「出来ません」とお断りすると「意味が分からない?」「こんな小さい会社なのに断るの?」という反応をされることもありました。

また、「やらせ・ステルス」を実施する会社の悪行によりソーシャルメディアマーケティング自体が疑われたり、当社が主体として関与していないために当社のポリシーを徹底できなかったりという事もあります。

更に、そこまでいかなくとも課題はあります。

元作り手の私からすると、「全員が褒める商品なんて存在しない」ことは常識です。(何せ、作る側としてもターゲットを絞っているのですから、全員が褒めたることなんて完全な想定外です。)よって、「やらせ・ステルス」なしでイベントやモニターを実施すれば必ず改良点を指摘されるのは当然すぎる帰結です。

ところが、長く完全に表現をコントロールできる世界(宣伝)を経験されてきた方からすると、極めて軽い改善要望が出ただけで、驚いて怒ってしまう方もいました。(これは良い悪いではなく、慣習とあまりに違うとうことです。また、今は流石に減りましたし、当社のお客様にはいらっしゃいません)

これらの障害を乗り越えながら、良い物が残る社会にするために、当社は社員一同、頑張っています。そして、我々が頑張れているのは、我々の想いに共感をして支援をしてくださっているユーザーの方々や作り手、マーケティング、代理店、株主、及び当社オフィスにまで応援に来てくださる諸先輩のご支援のお蔭です。

(引用終わり)

 

こうした基本姿勢で運営していますので、当社で1)2)にある「やらせ・ステルス」を行うことはありません。そして口で言うだけではなく、当社では、その実現のために上記にもあるように厳格なWOMMA(米国クチコミ自主規制機関)の規定に準拠したモノフェローズ運用ポリシーを公表、更にポリシーに基づいて運営しています。

このポリシーにあるように、当社主催のイベントでは、中立性・正確性・公明性を重視して、その担保のために手間をかけています。また、参加者への謝礼は無く、イベントが夜などの食事時に行われるなど止むを得ない場合を除いて基本食事もご提供していません。(ただし、遠方からご参加の方については交通費の領収書をいただき、実費のみ、支給させていただくことや、深夜になり終電がなくなった時にビジネスホテル宿泊代の実費を支給させていただいたことがあります。)

当社の感覚ではこれが当たり前なのですが、一般の方は無償でもPVが多い方は別途お支払いをしているケースや、交通費という名目で謝礼を渡していたケース、会場内で毎回食事やお酒を振舞うケースが業界的にはありました。(これが良いとは言いませんし、現在どうなっているかは知りません)

しかし、当社ではイベント参加の条件をどれだけPVが多いブロガーさんであっても変えていません。今回問題になっている「はちま起稿」さんであっても同じで、彼についても全く他のブロガーさんと同じ扱いとさせていただいていました。

 つまり、「招待は無償。遠距離からの参加時には交通費の実費(領収書付)のみ支払う。万が一深夜に及び終電がなくなった場合はビジネスホテルの宿泊費を実費(領収書付)で支給。記事は事実誤認時の修正を除いて自由。当社が定めた定型文を使って参加条件を記事内に明示」というものです。(例外と言えば他のアクセス数が極端に多い他の方と同様に、当社のブログパーツ配信サーバーが持たないので貼らないでいただいたくらいでしょうか。)

当社のスタンスがこうしたものですから、「無償であっても参加したい!」というレベルの商品、サービス、内容でなければ参加者が集らず当社はイベントを主催できないのが実情です。結果、お客様や代理店様からご相談頂いた案件でもお断りせざるを得ないことが多々ありますし、お受けしても中身をお客様と一緒になって相当に作りこみをさせていただいて参加し甲斐のあるものにしているのです。

こうした当社のあまりのストイックな姿勢に、お客様が驚かれて、参加頂く方に失礼だからと軽食を出したい、お土産を渡したいなどの依頼や、イベントの趣旨として料理を出したい等というお話しもあります。そうした場合、(特に食事時にイベントが重なった時は)たまには食事やお土産をお出しするケースもありますが、これもブログに自由に書いていただいています。

また、稀にイベント後にブロガーさん同士の懇親会として食事行くことはあります。しかし、その場合も基本参加されたブログの中でその事実を自由に記載していただくことで公明性を維持しています。(一部のブロガーさんからは「え?書いて良いんですか?内緒じゃないんですか?」と聞かれたこともありますが、その際には「書いてください。事実ですから」とお答えしています。)

なお、こうしたストイックな取り組みは当社主催のイベントの話で他社様主催のイベントを当社が紹介しただけのケースは含まれません。残念ですがここは当社の力の限界です。これについては今回の問題などを踏まえて議論が起こり、日本国内でもWOMMA レベルの規定が一般的になれば差はなくなるでしょう。そして、広告業界にも志の高い方は多数いらっしゃって、そうした方々が地道に議論をしてくださっているようですからそれに期待をしています。

次に3)ネガティブキャンペーンですが、これについてもありえません。当社は「作り手の想いを伝える。作り手とお客様と共に想いを紡ぐ。」を目指しているのに他社の批判をして一体誰が共感をするのでしょうか?そんなことで想いは伝わるのでしょうか?私はそんなことはありえないと考えています。

他方を誹謗中傷すれば、必ずその反撃は起きるものです。そして結果、非難合戦となり、そこから生まれるものは共感ではなく憎しみであり(悪い意味での)宗教です。こんなもの購入検討をされる方にとって全く無価値であるどころか有害以外の何者でもありません。

こんな私の信念だけでは信じられないという方は、現実的な問題から考えていただければと思います。当社のクライアントは比較的狭い業種(家電、PC、携帯、カメラ、ゲーム等)に絞られています。その狭い中で、ネガティブキャンペーンを行えば当社自体の存続が不可能なことは自明の理でしょう。

次にみんぽす(とそれに連動するプラボ)のランキングについてです。まずこれはレビューのランキングであって商品のランキングではありません。そして、これは閲覧された方の記事のクリック回数、「参考になった」、「大変参考になった」の投票により決まります。こうしたものですから、ここにもやらせ・ステルスの要素は入り込みません。

ご自身のイメージにランキングが合わないようであれば投票してください。バッチ処理の為タイムラグはありますがランキングは確実に変わります。また、投稿されたレビューの内容がやらせ・ステルス・ネガティブキャンペーンなどを含むような問題があるものであれば、当社にご通知ください。投稿を解除させていただきます。

次に当社の資料についてです。スポンジメディアとして2ch等を記載していることが誤解を生んだ原因だと思いますが、そこに広告主や我々を含む代理店が直接手を出して良い訳がありません。それこそ食べログのステルスマーケティングと同じになってしまいます。

その資料は「購入検討者の方々が参考にする情報源としてスポンジメディアが重要になってきているので、ここでの声を真摯に聞いて*、ここにどう受け止められるかも考えて、ここでの反応も視野に入れながらトリプルメディア(マス、ソーシャル、自社)で発信するメッセージを全体で考えましょう。」という説明で使っています。

この資料には含まれていませんが当社はお客様に
「スポンジメディアは罵詈雑言もあり目にするのも辛いことがあると思うが、本音で書かれているからこその声を真摯に聞くべき」
「匿名投稿の場であれば、誰が言ったかではなく、何を言ったかという論理・根拠で勝負しているから短期的には誹謗中傷で溢れても中長期的には正論にたどり着いており軽視してはいけない」
「スポンジメディアは直ぐに嘘がばれる場所だから、決して自分で書き込まず、あくまでも彼らの疑問に対して真摯に丁寧にトリプルメディアを通じて回答をしていくべき」
と説明をさせていただいています。

これのどこがやらせ・ステルスマーケティングなのでしょうか?

最後にゲエムノセカイについてです。上記当社の運営ポリシーからもお分かりいただけると思いますが、こちらもやらせ・ステルスは一切ありません。また、ゲエムノセカイについては各サイトを長年運営してきた方がいらっしゃいますので、万が一にも当社が「やらせ・ステルス」を依頼したところで無視されるか脱退されるのが落ちです。

mk2サイトに投稿された方であればご存知だと思いますが、mk2のレビュー審査は驚くほど厳格です。詳しくはこちらを見ていただけると分かると思いますが、徹底してやらせ・ステルスを排除する為の仕組みと、そのための手間(実は全件目視チェックされています)をかけて運営されているのです。無論、その網をかいくぐってやらせ投稿をしてくる輩がゼロであるとはいえませんが、それはかなり難しいと言うのが実情です。

以上が本件に関する当社の見解、立位置です。

長文お付き合いを頂きありがとうございました。まだ何かご疑問な点などがございましたらお気軽に当社問い合せ窓口までお問い合わせください。

連絡先: info@willvii.co.jp      
個人情報取り扱い規定: http://www.willvii.co.jp/privacy.html

*:2chの商業利用は制限があります。

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米国クチコミ規制から「食べログ」問題を考えてみる(何が問題か)

2012年01月16日 | 考察

「食べログ」に嘘のクチコミ投稿を行う事業者の問題についての考察第三回です。今回は、表題にある通り、米国クチコミ規制から見た時に「何が問題視されるのか」について考察を行いたいと思います。

【米国規制の整理】

まず米国の規制に関する米国の専門家(Andy Sernovitzさん)の考察からご紹介しましょう。(原文がリンク切れのため筆者の了解を得て私が翻訳した記事にリンクしています)

ソーシャルメディア関連の投稿はスポンサーの付いた広告メッセージと見なされ、投稿者が以下の条件を満たす場合、FTCにより規制されます。

  • マーケターもしくは第三者から報酬(現金もしくは現物)を得ているか
  • マーケターと継続した関係があるか
  • 商品を公の場で評価するクチコミマーケティングプログラムに参加しているか
  • 同様の商品もしくはサービスを定期的に得ているか、もしくは将来的に得る予定があるか


そして、規制の対象となった場合に果たすべき責任としては、以下の4つの条件があるとしています。

  1. 推薦広告は実際の経験に基づいていなければならない。
  2. ソーシャルメディア活動において情報開示と真実性を義務付ける。
  3. 発言モニターし、誤った記述は訂正すること。
  4. ソーシャルメディア方針を作成したり、トレーニングプログラムを実施すること。


【現状の整理】

今回の問題では、

  • やらせ業者、又はやらせ業者委託先がやらせ委託店舗に好意的なクチコミを執筆。その内容を同店舗が事前に確認
  • 運営会社やユーザーにヤラセであることが分からない様に、やらせ業者は上記のクチコミを食べログに投稿して、食べログ内の店舗ランキングを上げる


となっています。

【米国規制で考えると:何が問題か?】

上記の現状の整理だけでは見えてこない点もあるため、ここは推測も含めてとなりますが、

1. 推薦広告は実際の経験に基づいていなければならない。
果たして食べログに投稿した方が実際にその店で食事をしてみたのでしょうか?もし、実際に食事(体験)をせずに投稿したのであればその時点でアウトです。

2. ソーシャルメディア活動において情報開示と真実性を義務付ける。
食べログ運営会社に分からない様に投稿している以上は、そのヤラセ投稿は店舗からの委託を受けて行っていることを伏せている可能性が高いでしょう。その場合もアウトです。

3. 発言モニターし、誤った記述は訂正すること。
投稿の内容は事前に店舗を含めて確認をしているようですから、ここは行っていると思われます。

4. ソーシャルメディア方針を作成したり、トレーニングプログラムを実施すること。
この点は公開情報からは見えてきません。ただ、2を満たしていない以上は4も実施していない可能性が高いと思われます。

次回は、「それではどうすべきだったのか?」について解説をしたいと思います。

米国クチコミ規制から「食べログ」問題を考えてみる(誰が問題か)


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米国クチコミ規制から「食べログ」問題を考えてみる(誰が問題か)

2012年01月10日 | 考察

「食べログ」に嘘のクチコミ投稿を行う事業者の問題、その中でも今回は誰が問題かについての考察しますが、考察を始めるにあたって、念のため初めに書いておきたいことがあります。

これからの分析はあくまでも米国の規制が適応された場合という話であって、現在の日本でどうかとは別だということです。私は米国の規制と同様の規制を日本でも導入すれば良いと思っています。それは(完璧であるとは言えないかもしれませんが)、米国の基準に沿った形で事業を展開していることからお分かり頂けると思います。

しかし、そうではない会社・方々を否定、非難するものではありません。当社が信じている方向、方法が絶対的善であると各所に押し付けるつもりもありませんし、その権利があるとも思いません。なぜならば、そうした会社・方々も日本の法律、つまりは日本の民意に反している訳ではないからです。

さて、上記の前提を理解して頂いたうえで、更に細かい話ですが正確に理解いただくために、もう一つ解説をしておきたいことがあります。それはネット上に散見される意見とは違って米国においても「ヤラセ」「ステルス」を明文として禁止する法律はないということです。

各所で言われている米国のクチコミ規制は、正確には法律ではなく「推奨広告と証言広告の利用に関する運用ガイドライン」です。FTC(Wiki:Federal Trade Commission・連邦取引委員会・アメリカ合衆国の独占禁止法および消費者保護法の運用を行う機関)が、ソーシャルメディア上の「ヤラセ」「ステルス」行為に関して、既存の消費者保護法をどう解釈するのかを公開したものです。(2009年10月5日更新)こういった点は正確であることが大事だと思いますので念のため。

さて、長い前置きでしたが、本論に入りたいと思います。

米国FTC「推奨広告と証言広告の利用に関する運用ガイドライン」は、以下の条件を満たすものを推奨・証言広告として規制しています。

  • 合理的な関係性の推測がオーディエンス側に期待できない
  • オーディエンスが表現者の主張がその表現者の意見や意思や発見や体験に基づくものであると思う可能性が高い
  • 口頭、文面、推奨マーク付与等、表現方法は問わない

そして、

  • 規制される主体は推奨者・証言者と広告主
  • 規制する行為は全ての商品、サービス、企業、産業を対象とする推奨、証言広告


となっています。

この視点をもって現状を整理・考察してみましょう。

【現状の整理】

今回テレビや新聞報道なので明らかになっているのは、

  1. やらせ事業者は複数いてカカクコム(食べログ運営会社)は関与していない
  2. やらせ業者、又はやらせ業者委託先がやらせ委託店舗に好意的なクチコミを執筆。その内容を同店舗が事前に確認
  3. 運営会社やユーザーにヤラセであることが分からない様に、やらせ業者は上記のクチコミを食べログに投稿して、食べログ内の店舗ランキングを上げる
  4. 食べログ内のランキングに応じて、ヤラセ業者は委託先から報酬を受け取る
  5. カカクコムはこうしたヤラセクチコミが投稿されていることを発見。現時点で39業者を特定。今後はサイトの監視を強化するとともに、提訴などの対応を取ることを表明

ということです。(事実誤認があったら申し訳りません。ご指摘頂けますと幸いです。)

【米国規制で考えると:誰が問題か?】

上記の認識が正しいとすると、ヤラセレビューに関与しているのは、委託した店舗、ヤラセを行った事業者で、カカクコムは当事者としても代理店としても関与していませんので、食べログユーザーともどもその被害者という構造です。

よって、上記米国ガイドラインの視点からは、カカクコムに非がある話には全くなりません。一部で発表や対策の遅れについてカカクコムを非難する声も見られましたが、(気持ち話わかるものの)カカクコムも被害者なので、(サービス品質の問題は別にして)、クチコミ規制の観点からは責めるのはどうかと思います。

一方で今回の行為は同規制でも「推奨・証言広告」に分類されますし、飲食サービスの「推奨・証言広告」も規制の対象ですから、ヤラセを提案、実施した事業者だけでなく、そうした提案を採用、委託した店舗も罰則の適応対象者として認められることになると思われます。

さて、次回は(何が問題とされるか・どうすれば良いのか)について書きたいと思います。

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米国クチコミ規制から「食べログ」問題を考えてみる(はじめに)

2012年01月06日 | 考察

「食べログ」に嘘のクチコミ投稿を行う事業者の問題が昨日新聞、ネットに加えて主要な報道番組でも取り上げられました。こうした「ヤラセ」投稿や広告であることを秘匿した形での広告(ステルスマーケティング)は、何か事件があるたびに問題視されるのですが、残念なことに数カ月もしないうちに風化してしまい、対策にまで到達してきませんでした。

しかし、今回は正月明けでニュースがあまりないという背景もあってか、今までに以上にマスメディアにこのニュースが取り上げられています。是非こうした報道を背景として実りある議論が各所で行われて実行力ある対策設立へと向かうことを願っています。

そして、私も自分が起業した会社がこうした領域に関係している以上は願っているだけでなく何らかの言動を起こすべきと思います。その一歩として、現状を整理した上で、当社も順守しているクチコミマーケティングに関して世界有数の厳格な規定である米国のクチコミ規制の観点から、「何が問題なのか」「誰が罰せられるのか?」「どうしていれば良かったのか」について今日から2-3回に分けて書いてみたいと思います。

【参考】
米FTCの広告ガイドライン改訂
米FTCの製品レビュー・ブログ規制考察:第一回
米FTCの製品レビュー・ブログ規制考察:第二回
米FTCの製品レビュー・ブログ規制考察:第三回

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クラウド時代の家電のキーワードは?

2011年12月26日 | 考察

gmail、Googleカレンダー、更にはiCloudのような一般ユーザーが使うハードと密接に連携したクラウドサービスが登場してきたことで、本田雅一氏や西田宗千佳氏が著書で書かれている通り、家電を含むクラウドに繋がる商品の価値は大きくクラウド側にシフトしていくことはその通りだと思います。

こうなるともう家電メーカーは、Wintel時代のPCメーカーのように、ひたすら価格競争に走らされ、ほとんどの価値をサービス側に吸い上げられる下請け的存在になることを想像される方もいると思います。

しかし、ここで忘れてはいけないことがあります。それは人、特に今回のクラウド化による影響を大きく受ける一般消費者は「実質価値」に対してお金を払うのではなく、「実感価値」に対してお金を払うということです。そして、人は五感で感じられるもの以外には価値を実感しにくいという特徴があるのです。

そのため、
・クラウドサービスは価値を実感しにくい
・手で触れることが出来るハードウェアは価値を実感しやすい
のです。

そして、私はここに家電メーカーの活路があると思います。例え同じサービスを体験するハードでも「持つ喜び」については十分に差が出せますし、結果一定以上の付加価値を確保することもできると思います。

それは特に常時身に付けるタイプや、所有・使用している姿を他人に見られる頻度が高いモバイル機器では顕著なものとなるでしょう。そうでなければ、「時を計る」と言う同じサービスを提供する「時計」の値段がここまで変わるわけがありません。

ビジネスモデルや戦略を論じる上でサービスが重要なことは事実です。しかし、人を魅了し高いお金を始めに出していただけるものは、ハードです。サービスの時代と言うバズワードにのって、ここの原点を粗末にしてはいけません。

クラウドの時代だからこそ再度ハード。実感価値を軽んじない。これが家電のキーワードではないでしょうか。

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