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実在する企業の未公開株の購入を持ち掛け、投資家3人から現金4800万円をだまし取ったとして、那覇検察審査会が詐欺罪で強制起訴すべきだと議決した投資会社の白上敏廣代表(58)=南城市佐敷=について、那覇地裁から検察官役に指定された弁護士が20日、同罪で在宅起訴した。指定弁護士によると、白上被告は「だますつもりはなかった」と起訴事実を否認しているという。
起訴状によると、白上被告は2002年4~5月、県内の男性3人に対して、上場予定がない株について「有望な株で、近く上場予定。上場後は株価が3~5倍になる」「特別に譲ります」などと言い、3人から計4800万円をだまし取ったとされる。
那覇地裁に起訴状を提出した天方徹弁護士は「法廷で事実関係を明らかにするには補充捜査をする必要がある」との考えを示した。また、同審査会の議決で1人の事実について、時効成立の可能性が指摘されていることには「証拠上、時効が明らかでない限り起訴する義務がある。海外渡航歴などを照会し、弁論などを経て免訴となる可能性もある」と話した。
同事件では、今年3~4月に県警が詐欺容疑で白上被告を2度逮捕したが、那覇地検はいずれの事件も嫌疑不十分で不起訴とした。投資家らの申し立てを受けた検察審査会が6月11日に起訴相当を議決。那覇地検が再度、不起訴としたため、審査会が再審査し、7月1日に2度目の起訴議決をしていた。強制起訴を可能にした昨年5月の改正検察審査会法に基づく強制起訴は、兵庫県明石市の花火大会事故と、尼崎JR脱線事故に続き、全国3例目とみられる。
[ことば]
強制起訴 検察審査会が行った「起訴相当」議決に対して、検察官があらためて不起訴または期限内に処分を行わなかった場合、検察審査会は2度目の審査をする。その結果、起訴すべきだと議決(起訴議決)した場合、裁判所が指定する検察官役の弁護士が起訴すること。2009年5月施行の改正検察審査会法で新たに取り入れられた仕組み。検察審査会は有権者の中からくじで選ばれた市民11人で構成され、検察官の不起訴処分の当否を審査する。