2012年1月11日
大阪府は4年後に国から交付税をもらわない不交付団体になる――。松井一郎知事が昨年末に掲げた目標に、早くも「黄信号」がともっている。府市統合で無駄を減らし、経済も活性化して税収も増えるとのもくろみだが、実現にはいまの倍近くの税収が必要。府の財政担当者からは「とても無理」と悲鳴があがる。
■税収確保が課題
昨年12月27日、大阪府市の事業統合や政策一元化をめざす統合本部の初会合で、府市の特別顧問に就いた堺屋太一・元経済企画庁長官がこう提案した。「まず統合本部の大目標を掲げるべきだ。大阪は不交付団体にならないと」
松井氏は「(府市で支出を)4千億円削り、あと4千億円は税収を上げる。これで道筋が見えてくる」と応じ、二重行政の解消で浮いた財源を投資に回し、税収を上げて4年以内に不交付団体をめざすと表明した。堺屋氏は「そういう乱暴さが必要」と賛成。
橋下徹大阪市長も「大阪ぐらいの都市は不交付団体にならないと。国からのお金に頼らない自立を目標に掲げたい」と同調し、国に交付税のあり方の見直しや税源移譲も求めていく考えを示している。
突然打ち出された目標に、財政政策を担当する府幹部は驚いた。現在、47都道府県のうち不交付団体は東京都だけ。市町村でも58自治体しかない。新年度予算案さえ560億円の財源不足が見込まれるなか、府総務部は「震災の影響などで税収は減っている。不交付団体をめざすなんて絶対無理」(幹部)。すぐに資料を作成し、松井氏に説明した。