汚染建材問題で、経済産業省は17日、砕石などの建材について放射性物質の基準を新設するための検討を始めた。枝野幸男経産相が同日の記者会見で「基準が必要かどうか、関係官庁と緊急に相談したい」と述べたことを受け、政府の原子力災害対策本部などと協議する。
政府は昨年5月、福島第1原発事故の影響でセメントの原料となる下水汚泥から高い放射線量が検出されたことを機に、セメントの放射線量を1キロ当たり100ベクレル以下にするとの基準を設けた。しかし、セメント同様コンクリートの原料となる砕石は「高線量が測定されたという報告がなかった」(経産省)として、基準は作られていなかった。
具体的な基準は、現在進めている汚染砕石の流通状況や放射線量の調査結果を踏まえ、議論する見通し。【松田真】
この問題に関する賠償に関し、東京電力の広瀬直己常務は17日、「原因が明らかになった段階で損害賠償の対象になるのであれば、しっかりやっていかなければいけない」と述べた。広瀬常務は「相当因果関係があるかがポイント」とした。
また、原子力損害賠償を所管する文部科学省の担当者は「個々のケースごとに、関係法令で対応することになるだろう。対応できない場合は文科省などが設置した原子力損害賠償紛争解決センターを使う可能性はある」としている。【野田武】
毎日新聞 2012年1月17日 20時34分(最終更新 1月17日 20時43分)