政権と軍部の間で緊張した関係が続くパキスタンで、最高裁判所が、ギラニ首相を法廷侮辱罪で訴追する可能性を明らかにし、政権は、軍部に加え司法とも対立を深め、一段と苦しい立場に追い込まれています。
パキスタンでは、去年10月、ザルダリ大統領が、軍によるクーデターを恐れてアメリカ政府に協力を求めるメモを送ったのではないかという疑いが明るみに出て以来、政権と軍部の間で緊張した関係が続いていて、軍のクーデターが実際に起きる可能性まで取りざたされています。こうした中、パキスタンの最高裁判所は、16日、ザルダリ大統領が1990年代に問われた汚職や不正蓄財など過去の罪について再び審理するとした裁判所の決定を、ギラニ首相が拒んでいると発表しました。そのうえで、ギラニ首相が審理再開に必要な手続きを拒否し続けた場合、法定侮辱罪で訴追する可能性を明らかにし、首相に対して19日に最高裁判所に出廷し、決定に従わない理由を説明するよう命じました。ザルダリ大統領とギラニ首相は、大統領に対する過去の罪が再び問われれば、政権基盤が揺らぎかねないとして審理の再開を拒んできました。しかし、政権は、軍部に加え、司法とも対立を深める形で、野党からは退陣要求が強まっており、一段と苦しい立場に追い込まれています。