いつも旬なサービスを提供してくれる、村上総裁が「食べログ」の「ステマ」を分析するサービス「ステログ」をリリースした。リリース後、僅か30分で3万PVに到達する人気サービスとなっている。
但し、最終的な判断は「皆さん自身」で判断して欲しい。また、Facebookやtwitterのアカウントでログインし、この「ステログ」の評価に対して「賛成」か「反対」か投票出来るような仕組みがあれば、より公平な評価が出来るのでは無いだろうか。今後の改善を期待したい。
■消費者庁の見解では「法規制は難しい」
今回のステルスマーケティング騒動は、飲食店の口コミレビューサイトである「食べログ」に、口コミのやらせ業者が存在することが明らかになったのが騒動の発端だ。
本来ならユーザの自然な口コミによって、美味しい店は更に人気に、不人気な店はクレームを基に改善を行うというのが、本来のあるべき姿であった。しかし、不人気な店が「ヤラセ業者」を使い、あたかも人気店のように振る舞う。当然、そのレビューを信じて訪れたユーザは、納得行かない気持ちになって帰っていく。そういった消費者の不利益にならないよう、ついには消費者庁まで動き出した。あまりにも現状で乖離している場合には、『景品表示法』に照らし厳正に対処するとのことだが、現状ではこういったヤラセを法で規制し根絶するのは難しいという見解だ。
■インバウンドマーケティングはステルスマーケティングの温床になるのでは無いか?
偽りの情報で消費者、又は取引先をあざむく行為は何も「ヤラセ業者」に限ったことでは無い。あるスタートアップに関するセミナーでこんなことを説明していると耳にした。
「スタートアップに大切な物は”スピード”。そのため最先端であることを世の中に知って貰うことが大切。そのためには、経験が無くてもプレスリリースを出すこと。それによって、勘違いするメディアは存在する。メディアに取り上げられれば、その分野でトップのように振る舞うことが出来る」
確かに、誰でも初めは未経験であり、新しい分野では「誰もが初心者」だ。スタートアップという分野では時にはこういったことも必要になる時があるのだろう。しかし、言葉は悪いかもしれないが、こういった行為はメディアを利用して「世間」を欺いているとも言えるのでは無いだろうか。
これと同じようなことを最近感じることがある。「インバウンドマーケティング」だ。インバウンドマーケティングとは、ソーシャルメディアをフル活用するのだが、宣伝や営業は控えめにし、顧客にとって「役立つ情報」を発信し、それによってソーシャルメディアでリンクが貼られ、検索結果も上昇し、「与えることで、与えられる」を実践するマーケティングだ。
一方的なメッセージを送り続ける従来の広告と異なり、顧客にとってもメリットのある、素晴らしいマーケティングテクニックだ。しかし、一歩間違えば、「セルフやらせ」の温床になりかねない。例えば、ブログによる「専門性アピール」によって「専門家」として認知されるために日々コツコツとブログを更新する人達が居る。勿論そこで書く記事の大半は、その人が自分の職業や学校で学んだことをベースに書いていることだろう。
しかし、中には、前述したスタートアップのように「未経験なのに、経験者」のように振舞う人も現れるのでは無いだろうか。また、ソーシャルメディアによって影響力を持った人、あるいは企業が、自社にとって有利なサービスがあたかも「これから主流になる」ように振るまい、本来あまり魅力的で無い製品やサービスを顧客に提供するといった可能性もあるのでは無いだろうか。
ヤラセ業者を使い、好意的なレビューを掲載して貰う行為。自らのメディアでベテランのように振る舞う行為。どちらの行為も、消費者、あるいは取引先を欺いているという点には変わりないのでは無いだろう。
■大切なのは「目利き力」
ソーシャルメディアが普及したことで、ネットは多様性に満ちている。1つの事実に対して「正しい」と言う人も居れば「間違っている」という人も存在する。そして、人は見たい物を「真実」だと思い込む。ソーシャルメディアは友人の繋がりや、自分で「厳選してフォローした」人達だからという思い込みによって、自分が見えている物を「真実」だと思い込む傾向は強くなる。
やがて、「真実」では無く「事実」を正確に教えてくれるシステムが完成するかもしれないが、今の所、そういったシステムは存在しない。これから、スマートデバイスの普及と共に、ソーシャルメディアが生活に浸透していくことを疑う人はもはや少ない。
目に見える真実が事実であるかを判断する「目利き力」が今後益々重要になるだろう。
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