2009-07-16 01:43:19

「90点以上を出せるような人たち」をいかに大企業からベンチャーに移すか

テーマ:人事
友人と飲んでいて、次のような話を聞いた

「いい大企業だと、人材がごろごろしていて、90点以上は当たり前で、92点か93点か、というところで勝負している」
「だから、92点を出して93点の人に負けてしまうと、35歳とかすぎて、ずっとくすぶってしまうことになる」



つくづく、日本は人材のアロケーションがおかしい国だと思う。

大企業とはいえ、エキサイティングな仕事の機会、自分の力を伸ばせる仕事の機会は限られている。
なのに、「90点以上を出せるような人たち」は、こぞって大企業に入り、居つづけ、
そういった乏しい機会を奪い合う。

一方、ベンチャーでは、
「90点以上を出せるような人」ならば、実力を伸ばせる機会がたくさんある。
「いい人さえいればできるのにね」というプロジェクトが、そんな人をいっぱい待っている。

だが実際には、ほとんどのベンチャー・中小企業では、
「中途でよい人材を獲得するのが難しいから」と言って、
ほとんどのベンチャー・中小企業が、新卒採用に力を入れざるを得ない。

日本のベンチャーの最大のボトルネックは、
起業数の少なさよりも、資金調達手段の乏しさよりも、
ベンチャー全体に供給される「90点以上」の人材の少なさだと思う。

ここでは、ベンチャー「全体」に供給されるっていう点が大事。
「はてな」とか、すごい人材があつまると言われるベンチャーは個別にある。
だが、全体のパイが少ない場合、少数のベンチャーが目立ったとしても、
他のベンチャーとのゼロサムゲームに勝っているに過ぎない、
つまり、日本全体としては何の解決にもなっていないのでは、と思う。


若者の人口が減っている = 国として老いかけている
という実態があるのにもかかわらず、
つまり、限りある人材資源を有効に活用しなければいけないにも関わらず、
日本の中での人材配分の構造は、機能不全を起こしている。

ここをどうにかしないと、日本の明るい未来は描きにくい。



「90点以上を出せるような人たち」が、なぜ、
1点、2点の差を争わざるを得ない大企業にとどまり、
90点以上を出せること自体が評価される中小企業・ベンチャーに来ないのか。



このイシューは僕に大きな疑問を持っているし、
どんなイシュー分解があるのか知りたいし、
解決策が何であるか、そして自分として、特にレアジョブとして何ができるのかを知りたい。

コメント

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1 ■無題

人材は宝ですからね。


僕はこの夏一旦プレーヤーに戻りますが、実績を積んだら一つの部ランディングで「東大出身者」のみで構成された保険屋集団を組成しようと目論んでいます。


実現したら面白いかもです。

ベンチャーに中途の人材が入りにくいのは、90点以上の僅差の争いに慣れすぎてしまっているからでしょう。

日本の高等教育を受けた人間は常に一定以上の評価を得ることを求め、それ以外の選択肢を知らないのでベンチャーという選択肢を見る機会もないのではないでしょうか。
その方が競合が少なく勝てる要素も多いと思うんですけどね。

長文になりましたがまとめると、


僕や加藤さんはたぶんまだまだレアな存在ですw

2 ■無題

>90点以上を出せること自体が評価される中小企業・ベンチャーに来ないのか。

これはつまり同じ従業員として雇われることを考えると大企業の従業員の方が小さな会社のそれよりよいという事で、ブランドであったり、安定であったりだと思います。
金持ち父さんじゃないですが、これはどちらもE、エンプロイー、従業員ですからそういうことです。一方ベンチャーを自分が始めた人はひらめきがあって始めたわけでベンチャーをやろうと思ってはじめられるものでもなかなかないと思います。はじめたその人は、Sのクワドラントセルフエンプロイメントですね。その人は結構です。自分がトップですから。
つまりベンチャーにいっても従業員どまりなのか、はたまた幹部候補になれるのかなどによってかわると思います。いくらつとめてもワンマン会社では実力が正当に評価されない場合は多々あります。一方大会社では人数が多いため、数値化されて差は分かりやすいです。
何しろトップのビジネスにおけるヒラメキとその競争力が認められる、さらに昇進の機会これがあれば魅力的ではないかと思います。
自分も一応Sクワドラントに属します。

3 ■Re:無題

>airさん

なるほど、入社後のキャリアパスの不明確さ、というのがベンチャーのひとつ問題、ということですね。勉強になりました。ありがとうございます。

4 ■Re:無題

>津崎桂一さん

なるほど、まったく別の選択肢を選ぶことに不慣れな人がほとんど、ということですね。これは、教育の問題ということもできますが、教育そのものを変えなくても、多くの人がベンチャーを選ぶという選択肢をとることになれば、さらにより多くの人がベンチャーを選ぶ可能性がある、ということですね。
まだまだキャズムを超えていないということですね。勉強になりました。

5 ■無題

単純にベンチャーと人材の「出会い」が無いだけなんじゃないかなぁ。

ただ、大抵ベンチャーの要員確保って人づてだし、人づてで行ってみたら社長が山師的な雰囲気で、大企業な人はそういう人に慣れていなくて「なんか怖い」となってしまうことはあるかも。

つーわけで90点出せる大企業な人のうち20%-30%くらいは良い行き先さえあれば出たがってると思う。数字の根拠は無いですが。

6 ■無題

90点以上を出す能力と、(比喩的ですが)0点から1点を作り出す能力は相当異質なのでは?

それと、91点か92点かで勝負する世界のほうが生涯賃金は統計的に高いですよね。
むしろ「ベンチャー」とか言っている企業の最大の弱点は「いい人」がいないと回らないビジネスモデルしか構築できていない点にあるのではないでしょうか。それに対し、「誰がやっても大丈夫」的なビジネスモデルを構築している企業に魅力を感じるのは経済的合理性があるように思いますが。

7 ■初めまして

初めまして。
私も全く同感です。
もっと優秀な人材がベンチャーに入ってきて欲しいと思います。

8 ■Re:無題

>KSさん

ありがとうございます。ほんとそうですよね。

>takeshiさん

そうですね、ざっくり僕もそういう気がします。その人たちにいい出会いを提供できる場があればいいんですよね。

>shumeiさん

「誰がやっても大丈夫」的なビジネスモデルを構築している企業が、優秀な人を高いお金出して雇うのは、経済的合理性がないんです。。。 で、ベンチャーが優秀な人を雇うには、高いお金を出せるべきなんですが、そのお金はキャッシュとしての給与と、ストックオプションのような将来的な成果報酬に分かれます。 現状、ストックオプションは非常に過小評価されていると思っています。

9 ■なるほど

どうしたら大企業から中小企業・ベンチャーへ人材がもっと移るようになるのでしょうね。

日本人の国民性からいって、そのような成功事例がたくさんでてくると、変わるかもしれないですね。

成功していらっしゃる方は、ブログやSNSでどんどん情報発信してほしいですね。仕事はこういうふうに変わりましたとか、給料はこうなりましたとか。
そういうのまとめたサイトってあるのでしょうか。

10 ■はじめまして

この問題、日本という国の未来を考えるにあたり、最も大事な問題じゃないかと思っています。触発されて思わず記事を書きましたので、ご参照ください。
http://www.f-quest.com/fquest/blog/2009/07/31/%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E4%BC%81%E6%A5%AD%E3%81%8C%E3%80%81%E5%A4%A7%E4%BC%81%E6%A5%AD%E3%81%AE%E5%84%AA%E7%A7%80%E3%81%AA%E4%BA%BA%E3%82%92%E7%8D%B2%E5%BE%97%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AB%E5%BF%85%E8%A6%81%E3%81%AA%E3%81%93%E3%81%A8
いろいろな角度・視点からのアプローチがあるのでしょうが、まずは「出会いたいのに出会えていない」部分をなんとか解決したいですね。

11 ■Re:はじめまして

>笠木さん

ありがとうございます。拝読いたしました。まさにその方面から切り込まれる事業をなさっていらっしゃいまして、ドキドキしました。一度ご飯いかがでしょうか。

12 ■Re:なるほど

>シュンスケ (Sean)さん

ベンチャーの社長の成功事例はたくさんあるのですが、
中途でベンチャーに行った人の成功事例はたくさん見ませんね。。。

というか、
「ストックオプションでこんだけもうけました」
という記事ってのは、何か少しおかしい気もするので、そこらへんの感覚も影響しているのかもしれません。。。。

ただ、何らかの形での共有は絶対に必要だと思います。

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