政治【主張】田中防衛相発言 「年内着工」方針は正しい2012.1.18 03:14

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【主張】
田中防衛相発言 「年内着工」方針は正しい

2012.1.18 03:14 主張

 米軍普天間飛行場移設に伴う埋め立て問題で、田中直紀防衛相は着任会見で「具体的期限を設けるという話ではない」と語り、先に「年内着工」の可能性に触れた発言を事実上撤回した。

 田中氏は15日のNHK番組で「年内に着工できるかが当面の手順だが、県民に納得してもらえなければ進まない」と述べた後、地元の反発や野党の批判を浴びたことが背景にあるとみられる。

 だが、日米合意に基づく移設の迅速な履行は野田佳彦政権の対米公約で、日米同盟の空洞化を防ぐ上で最重要課題でもある。日本の安全を預かる防衛相が年内着工をめざすのは当然で、発言撤回はそもそも無用だった。田中氏はぶれずに全力を投じてもらいたい。

 日米合意の柱は「世界一危険」とされる米海兵隊普天間飛行場を沖縄県名護市辺野古に移設し、日米の抑止力を維持しつつ地元負担を大幅に削減することにある。

 平成8年以来17年越しの宿題であるだけではない。中国軍の海洋進出や北朝鮮の核・ミサイル開発が進む中で、普天間移設を要とする在日米軍再編の緊急性は日増しに高まっている現実がある。

 にもかかわらず、自民党政権下で進められた埋め立て工事に伴う環境影響評価は民主党への政権移行で頓挫し、ようやく昨年末に影響評価書が県側に送られた。

 2年余の迷走と不決断がもたらした遅延と同盟の信頼喪失は重大であり、その反省に立てば年内着工でも遅いくらいである。

 田中氏は安全保障に経験不足とされ、失言問題で参院で問責決議を受けた一川保夫前防衛相の轍(てつ)を踏むまいとしているのだろうが、地元を説得して早急に着工をめざすのは間違っていない。

 同じ番組で移設問題を解決しなければ「世界に信用されない」と語ったことにも留意したい。その意味で野田首相が17日、年内着工という認識を「共有していない」と語ったのは、政府の移設推進の意思を後退させるような誤った印象を地元や米国に与えかねない。あってはならないことだ。

 移設実現には、仲井真弘多県知事らへの説得が大切なこともいうまでもない。田中氏は近く沖縄県を訪ねるが、野田首相も速やかに現地へ足を運ぶことだ。国家の安全と日米同盟の実効性を確保するため、政府・与党は一丸となって早期達成に取り組むべきだ。

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