■経常益1.5%押し下げ
東京電力による企業向け料金の引き上げは企業収益に重くのしかかる。デフレが続くなか、企業はコストの増加分を消費者に転嫁しにくい。SMBC日興証券の試算によると、今回の東電の値上げは、全上場企業の経常利益を1.5%押し下げる要因になる。産業界の反発は強く、一部の企業は自家発電の増設や独立系電力事業者への乗り換えで「東電離れ」を検討し始めた。
自動車業界では乗用車の平均的な工場では年間10億円前後の電気料金がかかるとされ、東電管内では1工場あたり年間1億~2億円のコスト増になる。東電管内には日産自動車や富士重工業、ホンダなどが工場を持つ。
群馬県などに工場を持つ富士重は年間の電力コストが工場や事務所を含めた会社全体で数億円増えるという。同社は群馬の2工場で自家発電設備を導入し、使用電力の半分を賄っている。今夏には本工場(太田市)にも導入する。
ホンダも埼玉県に建設中の新工場に大規模な太陽光発電設備を設置する。自家発電は東電からの買電に比べ割高だが、節電努力との組み合わせでコスト増を抑制する。
■東電よりも割安
化粧品のコーセーは主力の群馬工場(群馬県伊勢崎市)に、7月をメドに数億円を投じて自家発電装置を導入。ピークの使用電力の約半分を賄う。今回の値上げで東電からの購入より自家発電の方が割安になるという。
値上げを嫌い、東電管外への生産移管を検討する企業もある。
電炉大手の東京製鉄はH形鋼を生産する宇都宮工場(宇都宮市)で、夜間の電気料金が2011年12月時点と比べ約4割上昇する見通し。東鉄は「夜間電力の使用などで協力してきたにもかかわらず、一律の大幅な値上げは非常に遺憾」とし、仮にこの幅の値上げが実行されれば、生産の一部を西日本に移管することも検討する。
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