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永井、愛弟子・宏朱を「一生背負って走る」 (2/2ページ)

2012.1.17 05:08
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永井、愛弟子・宏朱を「一生背負って走る」

主を失った坂井宏朱さんのロッカー。整備用のイスが片隅に置かれ、工具箱には花が供えられていた=船橋オートレース場(撮影・今井正人)【フォト】

  • 坂井さんの愛車「ポジティブ」のハンドル回りには、「立ち上がり開ける」など自身の課題が書き込まれていた
  • 「今日は勝たなければいけないと思った…」。最終レースを制した永井大介は、泣きながら坂井さんへの思いを語った
  • 12Rで1着となった永井大介(右の8番車)。選手は左肩に喪章をつけて臨んだ

 悲劇から一夜明けた16日、船橋オートレース場では午前8時30分から坂井さんの事故現場である1コーナー付近で神事の追悼式が行われた。選手や関係者ら約150人が喪章をつけ、坂井さんの冥福を祈り、黙祷を捧げた。選手は左肩に喪章をつけてレースに臨んだ。

 師匠の永井大介選手は、坂井さんのロッカーの前で目を真っ赤にしていた。「つらい…」。言葉を詰まらせながら第一声を発した後は涙が止まらない。

 「ご両親にも申し訳が立たない。一生こいつ(坂井)を背負って走っていきます。あの時、俺のレースを見なければこんなことにはならなかったのに…」

 永井が08年大みそかのスーパースター王座決定戦(埼玉・川口オートレース場)を制した時の雄姿に憧れて、OLからオートレーサーへの道を選んだ坂井さん。44年ぶりの女子レーサーとして注目を浴び、永井も熱心に指導してきた。それだけに、“詫び”ともとれる言葉が続いた。

 永井はオートレース界の第一人者で、本人にも自覚はある。先輩たちの励ましもあり、この日最終12レースに出走し、力強い勝ちっぷりで今節の初勝利を挙げた。ロッカーに引き揚げてくる時も目は赤いままだった。

 報道陣には「今日は勝たなければいけないと思った。周りのみんなもそんな思いで走っていたからね」と気丈にコメントしたが、いったん腰を下ろした途端に再び涙があふれ出し、「坂井にも見せたかったけどね」と声を震わせた。

 きょう17日の優勝戦は、坂井さんと同期(31期)の平成23年度の最優秀新人・青山周平(27)と初対決。「坂井も見てると思うから勝ちたいな」。姿はなくても坂井さんからのエールは心に響いている。永井は、真っ先にゴールを駆け抜けることだけを胸に挑む。

(紙面から)



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