勝毎ジャーナル
KACHIMAI
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夢を持てる教育

平等に教育受ける権利保障して

あきらめず1票投じる

親の離婚や家計悪化に悩む生徒たち
「学費助成の増額など進めてほしい」

 「若者は好んで政治に無関心なのではない。われわれ大人が考える機会を与えていないだけ」。帯広北高校教諭の橋爪恒雄さん(31)は熱っぽく語る。前回の総選挙の際、国語の授業で「模擬選挙」を企画、生徒を各党に分けて演説させて、実際に投票させたところ、大熱戦になった。

 自身も政治に深く関心を持っている。「何もせず、文句を言うのは簡単。だが、自分の思いを政治に反映することができるのは選挙しかない。将来、夢を持てる教育にしていくためには諦めてはいけない。自分も親になって余計に感じる」。選挙では毎回、各党の政策を見ながら1票を投じる。今回も忙しい合間を縫って、どの候補に投じようか考えている。

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「生徒に本気でぶつかる」ことが信条。生徒が夢を持てる教育が実現してほしいと願う
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 和歌山県出身。大学卒業後、同校の国語教諭となった。今年で9年目。現在は「中堅の柱」(伊藤建夫校長)として、3年生の担任のほか、通称「橋爪会」と呼ばれる大学進学者対象の小論文指導を担当、剣道部とダンス部の顧問も務める。また、生徒会の顧問として、管内の生徒会のネットワーク作りに奔走、忙しく充実した日々を送る。

 ただ最近、やりきれない気持ちになることがある。経済的なことを理由に授業料を滞納する家庭が増えているからだ。私立高の学費は公立高より高く、所得が少ない場合、奨学金もあるが、それでも授業料を滞納する家庭は年々増加。ここ1、2年で保護者や生徒と経済面の話をする割合が増えたようにも思う。

 成績が優秀にもかかわらず、両親が離婚して厳しい経済状況のため、「弟が進学するかもしれない。自分は働いて家にお金を入れなければならない」と、大学進学を諦めた女子生徒。別の生徒は母1人で家計を支えていたため、昼食も食べられず、毎日のようにやってくるサラ金の取り立てに「もう学校に行けない」とおびえ泣いていた−。

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 「『衣食足りて礼節を知る』といわれる。しかし、現在の不況が教育を受けたくても受けられない状況にしている。多くの先進国では、奨学金の無償化が当たり前。日本も最低でも教育基本法の『平等に教育を受ける権利』を保障するよう、学費助成の増額などを進めてほしい」と訴える。(佐藤いづみ)(03.11.06)=おわり=


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