福島県二本松市の新築の賃貸マンションの室内で、屋外より高い放射線量が測定され床のコンクリートから放射性物質が検出された問題で、このコンクリートには、計画的避難区域に指定される前に出荷された浪江町の砕石場の石が使われていたことから、経済産業省は、この砕石場から石が出荷されたおよそ20の土木会社などの流通ルートも調査することにしています。
この問題は、去年7月に完成した福島県二本松市の賃貸マンションの1階の室内で、1時間当たり最大で1.24マイクロシーベルトと、付近の屋外より2倍近く高い放射線量が測定され、床のコンクリートから放射性のセシウムが検出されたものです。このコンクリートには、原発事故を受けて、計画的避難区域に指定される前に出荷された浪江町の砕石場の石が使われていましたが、この砕石場は、浪江町の中でも、特に放射線量の高い地区にあり、石の一部は原発事故のあと野ざらしで保管され、福島県内の土木会社などおよそ20社に出荷されたということです。経済産業省は、この砕石場から出荷された石の詳しい流通ルートを調べています。また、計画的避難区域には、石材を取り扱っていた事業所がほかにも6つあるということで、経済産業省は同じように出荷されたケースがないか調査することにしています。
屋内で高い放射線量が測定された二本松市のマンションを施工した建設会社の営業部長は、NHKの取材に対し、マンションのコンクリートに使われる石が放射性物質で汚染されているという認識はなかったと答えました。この中で建設会社の営業部長は「震災前の去年2月に、生コンクリートの会社から届いた資料で、浪江町の石が使われることは確認した。震災後にマンションを建てる際には、むしろ強度の方に注意を払っていて、まさか放射線が問題になるとは思っていなかった。生コンクリートの放射線に関しては、建設会社が測定する決まりはなく、国からの通知もなかった。マンションの住民への今後の補償は、国などと相談し、早く結論を出したい。何十年もつきあいがあり、信用している会社から国の安全基準に基づいた生コンクリートを使って建設したもので、非常に戸惑っている」と話していました。