2011年11月21日 21時23分 更新:11月21日 23時46分
JR東海は21日、リニア中央新幹線の沿線各県に1駅ずつ設置する中間駅の設置費用について、駅本体の設置費用を全額同社が負担する方針を表明した。これまで、中間駅の設置費用は全額地元負担を求めていたが、同日東京都内で開いた沿線6県代表との協議の場で、同社の山田佳臣社長が方針転換を表明した。沿線6県は即答は避けたが歓迎する意向で、14年度着工予定のリニア中央新幹線計画は、実現への最大のハードルをクリアする見通しとなった。
東京-大阪間に設置する中間駅は6駅。神奈川、奈良の2県は地下駅で山梨、長野、岐阜、三重の4県は地上駅。設置費用は地下駅約2200億円、地上駅約350億円で、6駅合計で約5900億円と見込まれている。
協議後に会見した山田社長は「個別各県との値切り交渉では話がまとまらない可能性があるので、考え方自体を転換することにした」と説明した。
JR東海の東京-大阪間の負担額は、従来想定の8兆4400億円から9兆300億円に増えるが、同社は建設費用の削減や運営費の圧縮を図り、開業時期は予定通り、東京-名古屋を2027年、東京-大阪を45年とする考え。
ただし同社が負担するのはホームや出入り口、改札設備など駅の基本装備だけ。営業専任職員は置かず、極力簡素なつくりとする。駅前広場やアクセス道路など駅周辺設備については「県全体の発展につながる地域行政の問題」として、沿線各県の費用負担を求めた。
沿線6県は、駅本体の設置費用をJR東海が負担することを基本的に歓迎しつつ、周辺設備の整備費用の負担問題も含めて地元に持ち帰って沿線市町村や議会などと協議する方針を表明。同社の方針を正式に受け入れるかどうかは、改めて返答する意向を伝えた。【三島健二】