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事件
シー・シェパード提訴 「本丸」で奇襲作戦
米反捕鯨団体、シー・シェパード(SS)を法廷に引きずり出そうと、調査を行う日本鯨類研究所が決めた米連邦地裁への提訴は、日本側が長らく温存してきた切り札の一枚であり、SSがオーストラリアで捕鯨妨害の準備に全神経を注いでいる最中に、手薄になった本丸で行う“奇襲作戦”でもある。(佐々木正明)
今回、NPO法人としての本拠である米ワシントン州でSSを訴えることには、日本政府の強い意向が働いている。政府はこれまでもSSの暴力を法的手段で縛る手段を模索してきたが、関係国は米国や豪州などの反捕鯨国でしかなく、「アウェー」での審理は、むしろ日本側を劣勢にするとの読みがあった。
流れを大きく変えたのが今年初め、マルタの水産業者がSSを相手取り英国で起こした損害賠償訴訟だった。業者はクロマグロを囲ったいけす網を切断され、約70万ポンド(約8500万円)の損害を被ったが、第1審判決は全面的にSSの非を認め、7月にSS船が英国に寄港した際にも、供託金没収のための差し止め措置も実施し、反捕鯨国でも「司法判断は別物」との期待を日本側に抱かせた。
SSの近年の資金力拡大も、待ったなしの状況を生み出した。米有料チャンネル・アニマルプラネットのシリーズ番組「鯨戦争」が海の英雄に描き出すことで、SSには多額の寄付金が転がり込むようになった。
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