タイの年明け
年明けのバンコクに入った。1月は流石に気温は低い。と、云っても30度はあるのだが。朝方で25度程度の「さむさ」ではあるけれど、タイ人にはやっぱり冬、しきりにさむいという言葉が聞かれる。
洪水からの復旧も本格化している。一部低地で若干の水が残っている場所もあるが、工業団地はどこにも水は無い。あの膨大な水が嘘のように乾燥の季節になったが、生産活動がまともな姿になるにはまだ数か月掛かる。とてつもない災害だったのだ。
タイにどの程度部品生産の市場が戻るのかは分からない。再発のリスクを読み込めば、代替え生産での折角の分散を元に戻さないメーカーも沢山出ることだろう。不確定要素が多すぎ、我々も生産力は半分程度しか復旧させず、市場の様子を見ることにした。
リーマン以降、生産力はニーズに対して明らかに過剰であった。結果、設備稼働率の維持のために、皆が無定見な低コスト受注に走る傾向が強まってしまった。洪水はその意味でちょうど良い調整機会になるだろう。どの企業も従前の生産力にまで戻すつもりはなく、それはとても賢明な判断だ。
ユーロの危機は根が深く、一気の破綻の可能性が残っている。アメリカも中銀が幾らドルを供給しても、銀行はマネーゲームに使うばかりで実体経済に流れてこない。
倫理性を失くした金融資本主義は必ず破綻する。まともな製造の育成でなく、FXや株、国債のようなものに消えていくマネー。それはギャンブル中毒者の世界で、他の何かではない。イスラム銀行のような対極が、きっと次の時代には彼らを駆逐するだろう。
慎重に、堅実に。金融資本が思想を持たない状況はまだまだ続き、今年の経済にはリーマン以上のマイナス・インパクトもあり得る。過剰な生産力を持たないでいるのが、やはりベスト。
川口
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