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2012年01月17日

チェルノブイリよりも放出量は多く、世界で初めて大都市が放射能汚染を受けた〜NHK海洋汚染から

 昨日は、NHKスペシャル「シリーズ原発危機」知られざる放射能汚染〜海からの緊急報告〜
が放映されました。かなり練り込んだ番組だと思われます。ニュースでの報道と随分と異なり、放射能の被害をきっちりと抑えている気がします。

NHKスペシャル「シリーズ原発危機」知られざる放射能汚染〜海からの緊急報告〜から


 おそらくすぐに消されるでしょうから、途中の画面で気になったところを書き抜きます。

まず、福島県沖20キロ地点で
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事故前は、0.03-0.04 それが 0.07
この値は、現在の熊本(0.09-0.12)よりも低いです。

そして、事故当初の原子力安全保安院の会見
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 海とか海草などの海洋生物に取り込まれるまでには相当程度薄まると考えられる。・・これがウソなのは、まともな科学者なら全員知っています。

そう言えば、こんなスライドを産業医科大学は作っていました。
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この番組を見て、一体どういう評価をするんでしょうか。
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 この海で漁をしていた漁師が
「これはごみだべ。ゴミにしかなんねぇべ。ねこもくえねえし、こんなもの」
と語っていたのが、本当に印象的です。そして、この次、驚くべき発言をしています。

漁師から、いつ頃になったら漁が再開できるのかという質問に対して、
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 少なくともチェルノブイリで2−3年かかったからここも同じくらいか、でも出た量がもっと多いんでもっとかかるかもしれない
 ついに本当の話が出ました。チェルノブイリよりも放出量ははるかに多いのです。ツイッターからの情報ですが、次のような情報

http://twitter.com/#!/dr_chasiba/status/154406601736982528
@dr_chasiba 放射線取扱主任者定期講習会(法定義務のもの)での講義では放射性物質の放出量がチェルノブイリを超えたのでレベル7以上と評価されたと専門家集団の前で説明があった。文科省が義務化している講習会での話なので文科省の公式見解と理解すべきでしょう。
posted at 2012.01.04 12:41:20


 放出量の訂正はあったのでしょうか。私は最近あまりニュースを見ていないので、訂正発表がもしかしたらあったのかもしれませんが・・

 そして、ひどいのは2−3年で漁ができるようになるかもしれないという返答。チェルノブイリはもう25年経っています。あのまわりで何か農産物が取れたとして、日本人が買いますか?それが答えです。もちろん、漁師の方もわかっていて、
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このままでは絶対収束しない。これでおちつくなんてことはまずねぇから
といわれます。

 群馬県のワカサギで紹介しましたが、8月の時点ですでに暫定規制値を超えています。そして、この地域
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0.17μSv/hrで汚染はそれほどひどくないといっていますが、この値は立派な高汚染です。そこの湖が放射能が高くなるのは当たり前です。311以前なら、こんなごまかしが通用したとは思いますが、視聴者はもう騙されないでしょう。

そして、恐ろしいのは、チェルノブイリの汚染推移
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30年近く経っているのに、捕食魚はいまだに10,000Bq/kgという高レベルの放射能に汚染されてしまっています。なぜ、これが2−3年でどうにかなるというのでしょうか。そして、この除染など不可能なのは、議論の余地はありません。いくら、生活に必要であってもそんな人間側の事情は一切考慮しないのが、放射能なんですから。

そして、
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福島第一原発の事故というのは世界で初めて大都市圏が放射能汚染を受けたという経験
とおそろしいことをさらりと言ってのけています。その通りなんです。何千万も人が住む場所で、こんなにも放射能汚染を受けてしまったのは、世界で初めてなんです。それを理解しているでしょうか。

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そして、この図は、どれだけ河川が汚染されているかを示しています。
たったの1623Bq/kgですよ。これでも大変な汚染なのに、環境省は、1000Bq/kgの汚泥をコンクリートに用いても、何の影響もないから、セメント業界にどんどん受け入れろと押しつけています。

そして、東京湾の汚染がもっともひどくなるのは、2年半後
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ガレキを首都圏で燃やして、その灰を東京湾に埋め、さらには放射能の灰が河川から東京湾内に流れ込む。このような都市で、2020年にオリンピックを招致できると本気で考えているんでしょうか。

◆関連ブログ
セシウムは日本全国に降り注いだ2011年08月30日
2福島 新築マンションで高放射線量012年01月15日
タグ:P
posted by いんちょう at 16:37 | Comment(0) | 原子力

2012年01月15日

福島 新築マンションで高放射線量

福島 新築マンションで高放射線量1月15日 18時55分
去年7月に新築された福島県二本松市の賃貸マンションの室内で、1時間当たり1マイクロシーベルトを超える放射線量が測定されました。二本松市や国は計画的避難区域に指定された浪江町の砕石場の石が床のコンクリートに使われたことが原因とみて詳しく調べています。
このマンションは、福島県二本松市にある鉄筋コンクリート造の3階建ての賃貸マンションで、去年7月に完成し、12世帯が入居しています。二本松市が高校生以下の子どもを対象に行っている積算の放射線量の調査で、このマンションに住んでいる子どもの値が3か月間で最大で1.62ミリシーベルトと高かかったことから、先月、室内を詳しく調査しました。その結果、1階の室内の床上1メートルの高さで、1時間当たり最大で1.24マイクロシーベルトと、付近の屋外の2倍近くの高い放射線量が測定され、原発事故で出たセシウムによるものと確認されました。一方、2階と3階は、0.1から0.38マイクロシーベルトで、比較的低かったということです。このマンションでは去年4月に行われた1階の床の工事の際、計画的避難区域に指定された浪江町の砕石場の石がコンクリートに使われたということです。この砕石場では原発事故のあとも一部の石が屋外に放置されていたということで、二本松市は石が原発事故でセシウムに汚染されたことが原因ではないかとみて県や国とともに調査を進めています。二本松市は、このマンションの1階の住民に対し、引っ越してもらう方向で協議することにしているほか、2階と3階の住民からも意向を聞くことにしています。また、二本松市や国などでは、同じ砕石場の石がほかの建物でも使われていないか確認することにしています。

マンションの3階に住む50代の男性は「高い放射線量の中で寝泊まりをして生活していくのは心配です。何とか放射線量を下げる方法はないのか対策してもらいたい」と話していました。このマンションでは1階の共有部分の廊下でも、1時間当たり1マイクロシーベルトを超える比較的高い放射線量が測定されていて、浪江町から孫を連れて避難している住民の女性は「測定された放射線量をみて驚きました。孫もいるので安心して暮らせる状況ではないですね」と話していました。

マンションに使われた砕石を出荷した福島県浪江町の砕石場を経営する会社の社長はNHKの取材に対し、「震災後の去年3月下旬から営業を再開し、計画的避難区域に指定された4月下旬までのおよそ1か月間に、主に災害復旧用に福島県内の土木会社を中心におよそ20社にすでに砕石してあった2900立方メートルほどを出荷した。このうち県内の生コン会社に出荷したものがマンションの建設に使われたと聞いている。砕石の多くは簡易式の屋根のついた場所で保管していたが、一部は野ざらしになっていたものもあった。結果的に迷惑をかけてしまい申し訳ない気持ちだ」と話しています。

建材の流通などを所管する経済産業省によりますと、今回のような砕石場の石の出荷については、東京電力福島第一原子力発電所の事故以降も、放射性物質などの基準は設けておらず、業者への指導などは行っていないということです。これについて経済産業省は「砕石場では山の表面だけを削り取るわけではないので高い放射線量が測定されることは想定していなかった」と話しています。また、マンションのコンクリートに使われた石を出荷した福島県浪江町の砕石場からは、3月下旬から計画的避難区域に指定された4月下旬までの間に、福島県内のおよそ20の生コン会社や建設会社に石が出荷されたことを確認しているということです。経済産業省は、国土交通省や地元の自治体と連携して同じ砕石場の石がほかの建物にも使われていないか確認を急ぐとともに、福島県内のほかの砕石場についても出荷先などを調査することにしています。


 牛から放射能がでた時に、稲わらだけに罪をかぶせました。それと同じことを恥ずかしげもなく、NHKが公式発表を何の解釈もせずにたれ流しています。

まず、この記事

やはり後手に回った放射能汚泥建築資材で都内に15万トン流通か
 週刊ダイヤモンド(4月16日号)が明らかにした下水汚泥の放射能汚染と、それが建築資材などとして流通する問題が今月、最悪のかたちで現実のものとなった。
 福島県が1日、汚泥焼却後に生成され、セメントなどに再利用される溶融スラグから1キログラム当たり最大44万ベクレル超の高濃度セシウムを検出したと発表、東京や茨城など各都県でも同様の発表が相次いだ。
 東京都では3月25日に採取した汚泥から、放射性物質の総量を示す「全β放射能値」で同17万ベクレルを検出。都内の震災後の汚泥総量、約21万トン(5月17日現在)のうち7割、約15万トンがセメントや建築資材としてすでに流通したことが、本誌の取材でわかった。都は搬入先の業者を把握しているが、使用された建築現場までは不明だ。
(中略)
「大きな問題になる。備えておくように」──。
 震災から間もない3月下旬、あるセメント業界幹部は、経済産業省幹部に内々に呼び出された。下水汚泥を含む福島県のリサイクル用廃棄物が、放射能に汚染された可能性を明かされたという。
(略)
 中央と地方が責任をなすりつけ合うなか、“被害者”であるセメント業者は、「国は下水汚泥のリサイクルを推進しておきながら、無責任に過ぎる」と憤る。
(略)
(「週刊ダイヤモンド」編集部 宮原啓彰)


EX-SKF-JPさんのブログ記事から
放射性物質含む汚泥、セメント材に使用
 福島県郡山市の県中浄化センターの汚泥から高濃度の放射性物質が検出された問題で、汚泥がセメント材として栃木県内などに出荷されていたことが3日、わかった。
 住友大阪セメント(東京)によると、汚泥は栃木県佐野市の栃木工場でセメント原料として再利用されていた。同工場でのセメントの生産・出荷を中止した。
 福島第一原発事故後に使った汚泥は928トンに上り、栃木をはじめ群馬、茨城県などに出荷していた。
 汚泥から放射性セシウムが1キロ・グラムあたり2万6400ベクレル検出されている。
(2011年5月3日23時06分 読売新聞)


 コンクリートは汚泥問題です。それをなぜ,採石場の問題にすり替えているのか。もう、みんな知っている内容なのになぜNHKが指摘しないのか。不思議でなりません。

真偽は不明ですが、次のようなまとめサイトもあります。
環境省は、数か月前に既に8千ベクレル以下の焼却灰をコンクリに使うことを認めていた。(8千ベクレル以上は「石棺」に)でも、実際にコンクリ会社は汚染灰は使っていなかった。ゼネコンからの反発が強かったし、なにより売れないから。しかし、汚染された灰はどんどんたまり、自治体も下水処理公社も途方に暮れている。それを解消するために、8千ベクレル以下であればセメントで希釈して処理をしろ、とすべてのコンクリ会社に行政通達を出した。通達を出したのが「原子力対策本部」に変わっているのも、裏事情があるかもと。

Twitter経由で情報をいただきました。恐ろしい内容が書かれています。
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特に恐ろしいのが健康への影響評価(書き抜きます)
国土交通省のホームページにおいて、「福島県内の下水処理副次産物の当面の取扱いに関する考え方について」という報道発表資料が公開されており、この資料(PDFファイル)のP.5−P.6の「福島県内の下水処理により発生する脱水汚泥を再利用して生産されたセメントによる放射線の影響評価について」(原子力対策本部)で放射線の影響評価が行われています。
放射能濃度が1000Bq/kg(クリアランスレベルの10倍)のセメントを使用して製造されたコンクリートの床、壁、天井で囲まれた居住空間における被ばく線量は0.36mSv/年と評価され、これは平常時に原子力施設が公衆に与える被ばく限度である1mSv/年を下回るものであり、健康への影響が起こることは考えがたいとしています。* 国土交通省のホームページ
「報道・広報」→「報道発表資料」→「平成23年5月」
<2011年5月12日>
「福島県内の下水処理副次産物の当面の取扱いに関する考え方について」
http://www.mlit.go.jp/report/press/city13_hh_000125.html

なんと日本政府は、1000Bq/kgのセメントを利用しても、全く問題ないと公言しています。なぜ、NHKは採石場に罪をなすりつけるのでしょうか。まず、この通達をかんがれば、だれでも汚泥に頭がいきます。

環境省が8000Bq/kgは、全く安全と言っているのは、ご承知の通り。しかも、NHKであからさまなウソをついている。あなたの使っている生コン、大丈夫ですか?そして、あなたのマンションは、新築ではないですか?

◆関連ブログ
セシウム牛−県境に近い浅川町からも2011年07月14日
セシウム牛は要全面マスク域で飼育中だった・・2011.7.13
セシウム牛−いったい、なにが本当?2011.7.11
原発周囲の牛から高濃度放射性セシウム検出2011.7.10
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posted by いんちょう at 21:16 | Comment(8) | 原子力

2012年01月13日

放射能と人体(10)安全デマのキモ−実効線量係数とは(250万アクセス)

 放射能安全デマの教典−産業医科大学の放射線学入門から
・・このスライドは本当に良くできています。どのようなトリックを使って、素人を騙すかというスライドばかり。ある程度勉強して、知識が増えましたら、このスライドを見て、一体どこがだましのポイントかを見れば、御用学者に騙されなくなります。一例を1Bqをラドン、セシウム、プルトニウムで考えるで紹介しています。
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 これを見ると、たとえ15,020Bqで汚染された野菜を食べたとしても、全く問題ないかのように書いてあります。どこがおかしいかわかりますか?

かつてあったと言われる経済産業省のホームページ「原子力情報ナビ」から

 内部被曝も外部被曝も、受ける放射線量の値が同じであれば影響も同じです。
 人間が自然界から受けている外部被曝は、一年間で宇宙線から0.39mSv、大地からは0.48mSvです。食物を通じて体内に入ったカリウム等による内部被曝は約0.29mSvです。このほかにも空気中のラドンなどの吸入によって平均1.26mSv程度の放射線を受けています。


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ここによれば、閉鎖されたとのこと。一体、なぜこの情報がもっとも必要な時期に閉鎖されるのでしょうか。おかしいですね。

内部被曝の脅威 ちくま新書(541)
から
 ここで強調しておかなければならないのは、以上のモデルの場合、人間の肉体を直径30センチメートルの肉球と仮定し、放射線は全て外部から浴びると仮定されており、体内からの被曝は全く考慮されていないことである。また、シーベルトに関しては計器によって測定できる値ではなく、過去の研究に基づいて計算される。その計算は実は仮定で成り立っており、その仮定がどこまで現実と合致しているのか、実は未だによくわかっていないのだ。内部被曝を正確に測る計器はまだ存在していないこともあまり知られていない。

内部被曝−その評価と治療方法から(市川定夫先生の講義)
実際にはあの言えば彼らはね、すべての核種もわかってるみたいな言ってるけど、ほんとにどこまで飽和点がどこなのかということまでわかってる。つまりさっきも言ったようにどういう核種がどこにどういうふうに入るかわかってるなんてのは数えるほどしかないのよ。
ある程度わかってるのがヨウ素でありストロンチウムでありセシウムでありコバルトであると。マンガンもややわかってる。だからほかあと亜鉛だとか何とかいろんなものセリウムとかタリウムとか全然わかってないのがいくらでもあるのよ。
で彼らが評価してるというのはわかってるものについて評価してる、わからないものについては一切除外してるからね


 それを知った上で、上記のスライドで掲げた「実行線量係数」なるものを見てみます。この値が、低すぎるためにBqをSv換算した時に、健康被害が起きないという根拠になっているようにしか思えません。この係数を調べてみました。

続研究日誌モンテカルロ から
ベクレルからシーベルトへの変換:実効線量係数は誰が決めたのか
一体全体、この係数はどうやって決めたんだろうか?こういう疑問が出てくるのは当然だと思う。(とはいうものの、政府機関やマスコミ、さらには多くの変換プログラムやネット上の情報サイトでは、この係数を鵜呑みにして利用しているようだが....というか、正確に鵜呑みにしてくれればまだしも、誤用している場合も多々見られる。)この情報を探り当てるのが、実は一苦労だった。

最初にヒントになったのが、文科省の委託事業(天下り事業?)の公益財団法人原子力安全研究協会(似たような天下り団体がたくさんあるような気がする...)の運営する緊急被曝医療研修のホームページにあった文。それによると、ICRPなる国際機関が存在し、そこで最初の議論があったらしい。日本の政府関係省庁/団体は、(若干の修正はあるとしても)基本的には、ICRPの結果を引用しているだけのようだ。

(緊急被曝医療研修のホームページから)
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他の調べものをするため、ネット検索していたら、カナダ政府の健康庁(正式な名称は知らないが)のホームページに、ICRP Pub.72の結果の写しがあることを発見。さっそく、読んでみることにした。しかし、この表の写しが、またの混乱を助長しそうな書き方で閉口してしまった。(というか、私は実際混乱した。)

その理由は、このICRPの表には、化合物別の値が書いてなくて、その代わり年齢別の値が書いてあったからだ。それは、3ヶ月、1歳、5歳、10歳、15歳、そして成人の6パターンで、ヨウ素131の欄を見ると、成人の場合は吸入摂取は0.0074 (μSv/Bq)となっていて、これは文科省の委託事業(公益財団法人)のホームページと同じ値だった。経口摂取という欄はなく、代わりに外部被曝の場合の値が書いてあった。(これは単位も違うし、日本政府はこの値は完全に無視しているように見える。)

(カナダの値)
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 どうやら、ICRPで定めたものは、吸入摂取しかないのでしょうか。(この方のブログを読んで見たのですが、考察が途中で終わっています。)そもそも、どのような元素も化合物の状態によって、吸収率は全く異なるはずです。それを、ひとつのやたらと低い係数を用いて、しかも外部被曝も内部被曝もSvが同じなら影響は同じと言い張る。これは一体どういうことでしょうか。どなたか、この根拠となる数字のありかを教えていただけますと幸いです。私には英語力がないので、ここまでしか調べられませんでした。
 福島県庁に電話した時のことを思い出します。県庁の方は「内部被曝もシーベルトで議論しなければ、何の意味もない」と言われていました。体内での挙動さえはっきりしない物質の人体に対する影響が、Svで簡単に表され、しかも小数点以下何桁もの発がん率がびしっと出てくる。
 私にはマジックのようにしか思えません。
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人体はわからないことばかりと思っていましたが、放射能に関しては本当に良く研究されているのですね。衝撃を受けました。

◆関連ブログ
1Bqをラドン、セシウム、プルトニウムで考える2011年12月26日
内部被曝−その評価と治療方法2011年10月10日
◆放射能と人体シリーズ
放射能と人体(9)ICRPと低線量被曝−科学的に証明する気はない2012年01月09日
放射能と人体(8)ブラブラ病以外の被曝症状とは?2011年12月22日
放射能と人体(7)放射能安全神話の根拠2011年12月17日
放射能と人体(6)病理組織から見る内部被(200万アクセス) [2011/12/04 15:40]
放射能と人体(5)環境放射能は内部被曝の指標 [2011/11/20 21:06]
放射能と人体(4)内部被曝と外部被曝 [2011/11/17 22:24]
放射能と人体(3)核の本質−内部被曝 [2011/11/14 23:21]
放射能と人体(2)・・核分裂生成物 [2011/11/08 21:44]
放射能と人体(1)・・放射能とは。
タグ:放射能
posted by いんちょう at 22:20 | Comment(12) | 原子力

2012年01月11日

除染とはなにか

 財務相 除染迅速化に支援表明1月11日 17時51分
安住財務大臣は、東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う放射性物質の除染作業などを視察するため、福島県広野町を訪れ、住民の帰還のため、できるだけ迅速に除染を行う必要があるとして、予算措置などの支援策を講じる考えを示しました。
安住財務大臣は、就任後初めて福島県を訪れ、原発の事故以来、大多数の住民が町の外に避難している広野町で、放射性物質を取り除くための除染作業の様子を視察しました。そして、安住大臣は、広野町の山田基星町長と会談し、山田町長が、ことし4月にも住民の帰還を呼びかけたいとして、国として迅速に除染を進めることや、財政面での支援を求めたのに対し、安住大臣は、できるかぎりの支援を行いたいという考えを示しました。会談のあと安住大臣は、記者団に対し、「広野町で住民の皆さんが帰ってこられる環境を作ることができれば大きな起爆剤になると思うので、除染作業のスピードアップを図る体制を作っていきたい。予算面だけでなく、人手の手配など、国が後押しできることがあれば行っていきたい」と述べ、予算措置などの支援策を講じる考えを示しました。


 原発事故の収束すらまだなのに、除染を先に言う。これは、火山が噴火しているのに、車の洗車を早くやりましょうと言っているようなものです。何の意味もありません。除染が困難な理由については、既に紹介していますが、大きく2つあります。

1・・セシウムの反応性の高さ

放射性セシウムの恐怖 前編『除去を諦めたロシア』 から
 チェルノブイリ原発事故では大量の放射性セシウムを含む放射能が飛散した。放射性セシウムは非常に反応しやすい物質で、常に他の元素と結合した状態で発見されている。IAEAが行った環境影響調査結果では、「屋根材やコンクリートにも容易に結合している」と報告がされている。

2・・セシウム濃度の低さ
ベクレル・質量換算から
Cs-137 質量数 137 半減期 30年
崩壊定数(sec-1): 7.33e-10
崩壊定数(day-1): 6.33e-5
崩壊定数(year-1): 2.31e-2
1g 当たり放射能(Bq): 3.22e+12
1Bq 当たり質量(g): 3.11e-13


チェルノブイリ 強制避難エリア(148万Bq/m2)基準で考えてみましょう。

148万Bq/m2 = 148 0000 x 3.11 x e -13 = 0.00000046 g = 0.46μg /m2

食卓塩1粒 = 0.1mg = 100μg

セシウムと食塩では質量数が違いますがまあ、細かい話は置いておいて、

・塩 1粒を 1リットルの水に溶かして、その塩水10ccを 1m2に散布

それを除染するのに等しい(それよりもはるかに難しいのは、反応の強さを見れば分かります。)労力がかかります。

以上2つが米ソをはじめとする核大国が、放射能除染をあきらめた理由です。

翻って日本ではどうでしょうか。
福島県伊達市

『住民の方はそんな格好してませんので。環境省、厚労省はマスクとか言ってますが、まあ、その辺は皆さんでよろしくご判断ください。』

そして、この近辺を地盤とする代議士は、

「外国のメディアがマスクをしている人ばかりを撮すことによる風評被害はあると思います」

浪江町での自衛隊の除染 2011.12.8
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 こちらでは、全面マスクのフル装備。一体この装備と軽装のボランティアとどこが境目になるんでしょうね?

 そして、本日のツイッターから
@A1271: @nobuitou8869 飯舘村役場除染のその後:自衛隊の方が苦労して除染して下さった役場の石畳のその後、直後(12/20)の線量は1.57μSV/h、12月29日は2.87μSV/h、今日(1/10)は3.26μSV/h。だから無駄だと言ったのです。
posted at 11:27:26


 一体何のために除染をしているのでしょう。

◆関連ブログ
放射性セシウム除染が困難な理由(70万アクセス)2011年09月01日
放射性セシウム除染が困難な理由(2)2011年09月02日
福島除染ボランティアと入市被爆2011年11月09日
posted by いんちょう at 21:50 | Comment(10) | 原子力

2012年01月09日

放射能と人体(9)ICRPと低線量被曝−科学的に証明する気はない

 低線量被曝について、12月28日にNHKで放送されました。まとめサイトはこちら
低線量のリスクをめぐる議論は、実は1980年代後半から始まっていました。基準の根拠となっていた広島・長崎の被爆者データがこの頃修正されることになったのです。それまで原爆で1000ミリシーベルトの被曝をした人は5%ガンのリスクが高まるとされてきました。
それが日米の合同調査で、実際はその半分の500ミリシーベルトしか浴びていなかったことがわかったのです。半分の被曝量で同じ5%ということは、リスクは逆に2倍になります。しかしICRPは低線量では半分のまま据え置き、引き上げないことにしたのです。
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なぜ低線量のリスクを引き上げなかったのか。私たちは議論に関わったICRPの元委員に取材することにしました。調べてみると、ある事実がわかりました。当時の主要メンバーは17人。そのうち13人が核開発や原子力政策を担う官庁とその研究所の出身者だったのです。
その一人、チャールズ・マインホールド氏。アメリカ、エネルギー省で核関連施設の安全対策にあたっていた人物です。電話での交渉を重ねて、ようやく私たちの取材に応じました。チャールズ・マインホールド氏、1970年代から90年代半ばまでICRPの基準作りに携わってきました
低線量のリスクを引き上げなかった背景には、原発や核関連施設への配慮があったといいます

マインホールド:原発や核施設は、労働者の基準を甘くしてほしいと訴えていた。その立場はエネルギー省も同じだった。基準が厳しくなれば核施設の運転に支障が出ないか心配していたのだ。

マインホールド氏は自らも作成に関わったという、エネルギー省の内部文書を取り出しました。1990年、ICRPへの要望をまとめた報告書です。低線量のリスクが引き上げられれば、対策に莫大なコストがかかると試算し、懸念を示していました
 マインホールド氏はアメリカの他の委員と協力し、リスクの引き上げに強く抵抗したといいます。

マインホールド:アメリカの委員が低線量では逆に引き下げるべきだと主張したのだ。低線量のリスクを引き上げようとする委員に抵抗するためだった。
その後ICRPは、原発などで働く労働者のために特別な基準を作ります。半分のまま据え置かれていた低線量のリスクをさらに20%引き下げ、労働者がより多くの被曝を許容できるようにしたのです。
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マインホールド:労働者に子供や高齢者はいないので、リスクは下げてもよいと判断した。科学的根拠はなかったが、ICRPの判断で決めたのだ。


つまり、ICRPは科学的に証明する気は全くありません。単に政治的に決める期間に過ぎないと言うことです。

 一方、我が国の被曝にかんする第一人者はドイツ誌とのインタビューで、次のように述べています。
山下:100mSvでも大丈夫だから心配いらない、などとは言っていません。ただ、100mSv未満ではがん発症率の上昇が証明できていない、と話しただけです。これは広島、長崎、チェルノブイリの調査から得られた事実です。

 ICRPには、科学的に証明する気が一切無い(成書を読めば、ICRPの成り立ちからすぐにわかります)のですから、証明できるはずはありません。

 そして、

のp.158から
 数年前、私は放影研からの追跡調査を拒否したことがあった。すると、日本人所長から丁寧な再依頼の手紙が届いた。ABCCは現在、日米共同の研究所になっていること、チェルノブイリの原発事故ほか世界に貢献していること、自分も被曝書であることなどが書かれていた。わたしはその中の「私自身も被ばく者です」という言葉に心を動かされて調査に応じた。
 ところごその後、来日したチェルノブイリの子どもたちとともに過ごす機会があり、依頼、チェルノブイリに関心を寄せて何冊かの本を読んだ。事故の被害を大きくしたのは、事故後に現地調査を依頼された各国調査団の中で、「この程度の放射能は案ずるに及ばない」といった日本人研究者たちの見解をソ連政府がもっとも信頼したからであったという。 ABCCに協力した日本人の中には「悪魔の飽食」で知られる731最近部隊の医学者があったとも言われている。

 この、放影研・私のところにも恐るべき手紙をよこしてきています。

 そして、この放影研は、

がん以外の疾患による死亡として、研究を発表しています。
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 放射能の被害で怖いのは、一般的にいわれているガン よりも、むしろ心血管系の突然死ではないかとも考えています。(統計的に有意とは言えないのかもしれませんが、若年の突然死の報告が増えています)なぜ、山下氏は「ガン」のみ着目しているのでしょうか。そして、チェルノブイリで犯した誤りを、恥ずかしげもなく繰り返そうとしているのでしょう。

最後に、1991年に出版されていた本(今回新版)を紹介します。ICRPなどの放射能安全評価がいかにデタラメであるかが、克明に書かれています。

この本のp.158から
 第7に、ICRPのリスクの考えからは、リスクを「容認」するものにはどこまでもリスクが押しつけられる。この結果、とりわけ社会的に弱い立場にある人びとに放射線の被害が転嫁されることになる。原発で働く労働者の場合も、被害の告発が即解雇につながるような弱い立場にある下請けの労働者に被曝は集中し、被害もまた深刻なものとなる。ウラン鉱石が採掘されるアメリカやカナダのインディアン、オーストラリアの原住民、南アフリカの黒人なども同様である。原子力の施設が建てられるところは、大部分が経済的、社会的に差別れてきたちいきである。原子力産業は経済的な遅れにつけ込んで、札びらで頬をたたいて、、現地の住民に被曝のリスクを受忍せよと迫る。それらの人びとに被曝を強制した上に、被害が表れると、自分たちで過小評価しておいた放射線のリスク評価を用いて、「科学的」には因果関係が証明されないからその被害は原発の放射能が原因ではない、と被害を切り捨てる。
 今おこなわれていること、そのままではありませんか。

 この本も、是非ご一読ください。

(参考)受忍せよとしているリスク(産業医科大
2012010904.jpg
この大学は、一体だれのために仕事をしているのでしょうか。(聞くまでもないですね。産業医科大学なんですから)
◆関連ブログ
若年死亡(20歳以下)のまとめ2011年12月14日
100mSv安全の根拠-原爆の知見を信用しますか?(60万アクセス)2011年08月27日
残るか去るかは住民自身が判断しなくてはなりません。-山下俊一2011年08月21日
フィルムバッジを持つということ(放射線管理の長い手)2011年06月25日

◆放射能と人体シリーズ
放射能と人体(8)ブラブラ病以外の被曝症状とは?2011年12月22日
放射能と人体(7)放射能安全神話の根拠2011年12月17日
放射能と人体(6)病理組織から見る内部被(200万アクセス) [2011/12/04 15:40]
放射能と人体(5)環境放射能は内部被曝の指標 [2011/11/20 21:06]
放射能と人体(4)内部被曝と外部被曝 [2011/11/17 22:24]
放射能と人体(3)核の本質−内部被曝 [2011/11/14 23:21]
放射能と人体(2)・・核分裂生成物 [2011/11/08 21:44]
放射能と人体(1)・・放射能とは。
タグ:放射能
posted by いんちょう at 22:37 | Comment(11) | 原子力

2012年01月08日

1Fのブローアウトパネルに注目する

 1Fのブローアウトパネルについて、ツイッターで情報が得られましたので、ここでまとめておきます。

2011-3-11 自衛隊撮影 経産相 福島第1原発の蒸気放出作業を指示
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赤外線では、ブローアウトパネルは外れているようにも見えます。(温度が違うのでしょうか)

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〈3月12日(土)〉福島第一原子力発電所=12日、福島県大熊町、本社ヘリから

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An aerial picture dated March 12, 2011 shows Tokyo Electric Power Co.'s Fukushima No. 1 nuclear power plant in Fukushima Prefecture, northern Japan, after it was hit by a powerful earthquake. Part of nuclear fuel rods was exposed to air. According to the Nuclear and Industrial Safety Agency, radiological scientists detected cesium, a radioactive material contained in nuclear fuel rods, around the plant's No. 1 reactor.したから4枚目
3月12日には、ブローアウトパネルは開いていないようです。

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Earthquake and Tsunami damage, Japan-March 13, 2011: This is a satellite image of Japan showing damage after an Earthquake and Tsunami-Dai Ichi power plant, Japan. (credit: DigitalGlobe)

オリジナル
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Earthquake and Tsunami damage-Dai Ichi Power Plant, JapanEarthquake and Tsunami damage, Japan-March 13, 2011: This is a satellite image of Japan showing damage after an Earthquake and Tsunami-Dai Ichi power plant, Japan. (credit: DigitalGlobe)
3月13日には、ブローアウトパネルは開放されています。

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Earthquake and Tsunami damage-Fukushima Dai Ichi Power Plant, Japan
Earthquake and Tsunami damage, Japan-March 14, 2011: This is a satellite image of Japan showing damage after an Earthquake and Tsunami at the Dai Ichi Power Plant, Japan. This image was collected at 11:04am local time, 3 minutes after an explosion. (credit: DigitalGlobe) www.digitalglobe.com

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Earthquake and Tsunami damage-Dai Ichi Power Plant, JapanEarthquake and Tsunami damage, Japan-March 14, 2011: This is a satellite image of Japan showing damage after an Earthquake and Tsunami-Dai Ichi Power Plant. This was taken at 11:04am local time, 3 minutes after an explosion. (credit: DigitalGlobe) www.digitalglobe.com
http://www.flickr.com/photos/digitalglobe-imagery/5526481182/sizes/o/in/set-72157626248178510/

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Earthquake and Tsunami damage Dai Ichi Power Plant, Japan
Earthquake and Tsunami damage, Japan-March 14, 2011: This is a satellite image of Japan showing damage after an Earthquake and Tsunami at the Dai Ichi Power Plant, Japan. (credit: DigitalGlobe)

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Earthquake and Tsunami damage-Dai Ichi Power Plant, Japan
Earthquake and Tsunami damage, Japan-March 16, 2011: This is a satellite image of Japan showing damage after an Earthquake and Tsunami at the Dai Ichi Power Plant taken at 9:35am. (credit: DigitalGlobe) www.digitalglobe.com

地震翌日の3月12日には、ブローアウトパネルは全号機閉鎖されており、1号機の爆発後は2号機のみ開放されています。3、4号機溶接説を少なくとも否定はできません。この写真で見る限り、ブローアウトパネルは、地震で外れたわけではなさそうです。なぜ、2号機のみ開放したのか、東電の説明はあるのでしょうか。

◆関連ブログ
2012年01月01日
ブローアウトパネルの補強でフクシマは、爆発した?
posted by いんちょう at 19:33 | Comment(0) | 原子力

2012年01月07日

1F-4号機を再度分析する

 1F-4については、色々な意見がありますが、どれも推測の域を出ません。ある場面では正しく思えても、その他の公開情報と比較すると矛盾が出てくる。こういった内容ばかりです。正月に次の配信がありました。

元日の地震で福島原発のタンク水位低下か
 東京電力は2日、福島第1原発4号機の使用済み燃料プールからあふれた水がたまるタンクの水位が1日に低下し、燃料プールにつながる隣接プールへ流出する水の量が増えたのが原因とみられると発表した。1日午後2時半ごろ起きた地震が影響したとみている。燃料プールの水位に変化はなく冷却は続けた。
 タンクの水位は1日午後、急速に低下した。東電は、燃料プールの水位が隣接プールより高く、地震で通常より流出しやすくなったと推定。タンクの水位低下に相当する減少量と、隣接プールの水位上昇に相当する増加量がほぼ一致した。隣接プールに水を張ると、タンクの水位低下は収まった。
 当初は、燃料プールの冷却に使っている配管から水が漏れている可能性も考えられたが、漏えいは確認されなかった。(共同)
 [2012年1月2日21時15分]


How did the General Electric (GE) Mark 1 BWR reactors create such a world-wide tragedy?から
2012010701.jpg
おわかりでしょうか、一番右側がスキマーサージタンクです。

 おそらく,地震でEの状況だったゲートが、ずれて燃料プールの水が原子炉ウェルの方に流れてしまったと東電は説明しているのでしょう。
2012010702.jpg

念のため、東電のプレス発表の控え
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 この4号機の定期検査、実はぎりぎりでした。

Happy20790:@onodekita 燃料は全部SFPに移動済みでした。オペフロはシュラウド交換工事やってて炉内構造物の撤去が終わって5日後に炉内の水抜く予定でした。工程遅れてたから良かったけど炉内の水抜きが終わっててSFPやDSPゲート壊れたとしてたら日本は終わってたかもしれません。 [http://twitter.com/Happy20790/status/135362602422386688]

 炉内の水が無くなっていたら、4号機のプールは本当に終わってましたね。それはたしかです。

4号機のプール

 これを見る限り、全ての燃料は一応健全性が保たれています。ここから、大量の放射能が飛散したとは思えません。

3号機が爆発して、4号機が爆発する前の衛星写真
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4号機を拡大します。
2012010709.jpg海側の北半分側から、白煙のようなものが立ち上っているのがおわかりでしょうか。

そして、建物の海側からの写真
2012010706.jpg

 たしかに北側の面の損傷の方が激しい。上記白煙と一致します。

ところが、このオペフロの調査
2012010707.jpg
 もし燃料の破損があったのならば、もう少し線量が高くなってもおかしくありません。4号機の海側に象の足があるとしたら、こんな値ではすまないと思われます。私が、ざっと見たところでは4号機室内の線量については、他に言及しているところが見あたりませんでした。

 以上から、私が考えているのは次の通りです。
・4号機のプールは今のところ健全であるし、3月に燃料プールそのものが爆発したとは考えられない。
・ぼろぼろの建屋の最上階に大量の水をたたえたプール、構造物があるのは、耐震上非常に不安定である。ただちに、使用済燃料を含めて撤去するべきである。(燃料は健全なので、可能)
・地震の度に、肝を冷やすことになる。燃料プールにひびが入って、水が漏れだしたらどう対応するつもりなのか。収束宣言を出すのが早過ぎることは、このプール一つをとってみても明らかなはなし。

 ちなみに、使用済燃料・新燃料は、これだけ放置されています。
2012010708.jpg
 まさか、新燃料は、別のプラントで再度使おうとして、処理が遅れているわけではないですよね?

では、最終的にどうしたらいいのかは、1号機メルトダウン−私的収拾案・おすすめをご覧ください。私が昨年の5月に書いた記事ですが、今でもこの方法しかないと思っています。
◆関連ブログ
4号機が3号機からの水素で爆発?2011年11月10日
1F-4オペフロの状況2011年06月30日
幸運だった1F-4プール2011年06月29日
1F-4号機の謎(建屋崩壊)2011年04月22日
福島原発4号機の燃料プール補強工事2011年06月09日
1号機メルトダウン−私的収拾案・おすすめ2011年05月14日

posted by いんちょう at 19:27 | Comment(2) | 原子力

2012年01月04日

2011年(平成23年)12月の注目記事

2011年末で約230万アクセスとなりました。いつもありがとうございます。

恒例?の月間注目記事の一覧です。
  1. 白血病入門(2)初期症状と血液データの読み方 2011/08/23
  2. 奇形動植物のまとめ2011-08-07
  3. 吉田所長、病気療養のため移動、後任は高橋毅氏2011-11-28
  4. 放射能と植物(2)異常な成長 2011-12-24
  5. 気になる症例のまとめ
  6. 若年死亡(20歳以下)のまとめ2011-12-14
  7. 東京の不動産事情を考える2011-12-05
  8. 放射能と人体(6)病理組織から見る内部被(200万アクセス)2011-12-04
  9. 放射能と一緒に移動する人たち2011-12-02
  10. 東京の方からの匿名投書−高校3年生の急死と運動部学生の体調不良 2011-12-17
  11. セシウムたばこ−セシウム吸いますか、それともやめますか2011-9-12
  12. 東電時代の思い出
  13. 熊本でもキメラ植物 2011-12-18
  14. 福島原発は、こんなに広い・・2011-12-06
  15. 自分の龍は経験を食べて大きくなる−ブータン国王のスピーチ2011-11-19
  16. フクシマからはストロンチウムは出ていない−文科省2011-11-30
  17. 福島県へ旅行に行きましょう! 2011-12-19
  18. 私の購入したガイガーカウンター2011-12-08
  19. 放射能汚染土壌で農業をすることとは・・2011-12-11
  20. 拒絶する病院、バカにして騙すクリニックもある・・ 2011-12-18
  21. 「除染はボランティア」「値上げは権利」・・東電社長 2011-12-23
  22. 昔−竹槍、今−高圧洗浄機2011-12-03
  23. あさこはうす へ手紙を出そう。 2011-12-21
  24. 放射能を必要以上に怖がることは「エセ科学」=カルト宗教-新聞論説から2011.8.29
  25. 放射能と人体(8)ブラブラ病以外の被曝症状とは? 2011-12-22
 ほとんどが12月にアップした記事となりました。

今月のアクセスは99カ国から
2012010401.jpg ■関連ブログ
2011.11月の注目記事 2011.12.01
2011.10月の注目記事2011.11.01
2011.9月の注目エントリー2011.10.1
2011.8月の注目エントリー
2011.7月の注目エントリー他2011.8.3
6月の注目エントリー2011.7.2
posted by いんちょう at 23:15 | Comment(2) | 原子力

2012年01月03日

日本の原発立地状況

 以前、福島と他の原発の配置を比較したブログを書きました。この際に比較したのは、福島第一、第二と柏崎、浜岡でした。それ以外の原発はどうなのか・・正月休みもありましたので、Googleで調べてみますと、やはりそれなりの収穫がありましたので、まとめてみました。

まず、日本全国の原発
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北から、時計回りに紹介します。

泊原子力発電所(北海道電力)
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 比較的整然

大間原発(電源開発)−建設中
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衛星写真が不鮮明でよくわかりません。この地図とも比較してみましたが、ぴんと来ず・・

東通原発(東北電力)
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整然

女川原発(東北電力)
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敷地面積の影響でしょうか、原子炉とタービン建屋が海岸線と平行(通常は垂直)に設置されています。そして、2号機、3号機でしょうか?この配置もかなりおかしい。通常こんな配置はしないはずです。

福島第一原子力発電所(東京電力)
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福島第二原子力発電所(東京電力)
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福島原発はいずれも海岸線に平行にそして、タービン、原子炉建屋は海岸線と垂直に整然と配置されていることがわかります。これが理想的な機器配置のはずです。

東海第二原子力発電所(日本原電)
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 これも女川と同じように、原子炉建屋、タービン建屋が海岸線と平行に配置されています。地盤の問題でしょうか。

浜岡原子力発電所(中部電力)
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  行儀の悪さは、一番。砂浜で港湾すら作ることができない地盤なのだと考えられます。最悪ですね。首都圏も近いですし。

伊方原子力発電所(四国電力)
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 非常に狭い敷地に3基建てています。廃棄物処理にもっとも困っている原発だと聞いた記憶があります。そもそも、四国の左上にある細長い半島に建設されており。断層上にあると言っても良いほどだと、建設関係の人に聞いた記憶があります。

川内原子力発電所(九州電力)
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 まともな配置だと思います。港湾もありますし、とりあえずは大きな問題はなさそうです。

玄海原子力発電所(九州電力)
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 港湾どころか狭い半島に無理矢理建てた原発。手前の原発で事故があったら、半島奥の原発にアプローチすることすら不可能でしょう。なぜ、このような発電所の設置許可がおりたのか、私には不思議です。

島根原子力発電所(中国電力)
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 3号機は建設中でしょうか。1,2号機の配置はまともなようですが、3号機は2方向を海に囲まれていますが、これで大丈夫なのですか?埋め立てた土地ではないでしょうが、かなり不自然な印象を受けます。フクシマ後には、とても認められない建設状況でしょう

高浜原子力発電所(関西電力)
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 狭い敷地に無理矢理建てています。左側の原子炉には山側からアプローチする道などありません。一基に何かあったら、全部道ずれとなります。まともな港湾もなく、一体どのように海水を取水しているのかさえ、この写真だけでは評価ができません。

大飯原子力発電所(関西電力)
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 さらにひどいですね。人が住めないような半島の山を切り開き、むりやり原発としたのではないでしょうか。

高速増殖炉もんじゅ(動燃)
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 港湾と原子炉とが不自然に離れています。これも何らかの問題のある土地でしょう。ここに何かあれば、日本のとどめとなりますね。

美浜原子力発電所(関西電力)
2012010117.jpg
 この発電所は恐れ入りました。長い橋で企業棟と発電所が結ばれています。地震でこの橋が陥落してしまったら、一体どのようにして復旧などをするつもりなのでしょうか。

志賀原子力発電所(北陸電力)
2012010119.jpg
 港湾が無く、取水棟?とおもわれる建物が、1重の防波堤に保護される設置してあります。強度など大丈夫なのでしょうか。不思議な配置です。

柏崎刈羽原子力発電所(東京電力)
2012010125.jpg
 この発電所については、柏崎はアリ地獄の砂丘に造られていたで分析しています。じばんはかなりよわく、危険な原発の一つです。

 日本の原発は数が多く、一つ一つ細かく分析はしていません。しかしながら、福島原発が整然としており、地盤の良いところに建てられていたかは、この写真を見ていただくだけでもある程度理解していただけるのではないかと思います。

◆関連ブログ
行儀のいい原発、悪い原発2011年10月12日
あさこはうす へ手紙を出そう。2011年12月21日
柏崎はアリ地獄の砂丘に造られていた2011年10月16日
タグ:1F
posted by いんちょう at 21:36 | Comment(7) | 原子力

2012年01月02日

核の真実を理解するための副読本−なぜ地震と津波でこれほど広大にして長期にわたる被害を出すような施設があそこにあったのか・・

 新年から、4号機使用済燃料プールのニュースが流れました。福島では、汚染された野菜が売れないことを「風評被害」と称し、健康被害は起きないと「専門家」のみならず、あまり勉強されたとは思えない人体の専門家まで、口を揃えて説明しています。
 この程度の放射能で、××のような症状が起きるはずはない。

 なぜ、こういったことが起きるのか。不思議でならない人も多いはずです。しかも、我々は唯一の被爆国です。私も常々考えてきました。

 色々な出来事を本当に理解するには、その分野の基礎をしっかりと理解する必要がある。どの分野であってもある程度のレベル以上になるためには、避けては通れない道です。目に見えて楽しい応用ばかりを追い求めても、それは「砂上の楼閣」であって、何かあればすぐに倒れてしまいます。


この本もまた図書館で見つけました。2週間では読みこなすことができず、購入しててもとに置いてあります。

 まず、日本語版、池澤夏樹氏の前書きから

 2011年3月11日に福島第一原子力発電所で何が起こったのか、不明なことはまだまだ多いが、事故の実態はある程度まで明らかになってきた。
 しかしわかったのは"how"に対する問い、つまり事故が医科に起こったかという過程に関する問いへの答えであって、"why"つまりどういう理由でそれが起こったかを説明するものではない。
 事故への過程ならば地震と津波から数日間の話だ。しかし、事故の理由を問うのは、なぜ地震と津波でこれほど広大にして長期にわたる被害を出すような施設があそこにあったか、その点を問うことと同じである。そこには長い過去がある。我々はこの惨憺たる結果を生むに至った原因を一番最初までさかのぼってみなくてはならない
 話の始まりはヒロシマとナガサキで暮らしていた人びとの上に落とされた原爆である。核エネルギーという新しい技術の開発にかかわった科学者と技術者は、自分たちが作ってしまったものの威力におびえた。戦争が終わった段階で全てを無に帰してしまいたいと思ったものもいた。
 しかし、一度作ってしまったものを消滅させることはできない。
 そう言う時期に「核エネルギーの平和利用」が提案された。関係者は心の内なる罪悪感を手伝って、その実現に力を貸した。一見したところ悪魔と思えた子が天使を連れてきたと知って喜んだ。
 しかし実際にはこの双子は二枚の仮面をかぶった一つの人格だった。どうやっても切り離せないのだ。天使は実は悪魔だった。そこのところを隠蔽して育ったから、原子力にカンするテクノロジーは秘密の多い、非民主主義的で市場原理にも反する、ひどく不健全な育ち方をした。
自分たちの倫理能力を超える者に手をつけてしまった人間たちの苦悩と敗北のあとを著者とともに辿って欲しい。


 この本は、ステファニー・クックにより2006年に米国で出版され、2011年11月に日本で出版されました。著者は、序章の最後にこう記しています。

 原子力に未来はあるか
 本書では、核エネルギーの開発が期待はずれに終わった過程とその理由を詳しく掘り下げるとともに、起こりうる未来図を描き出す。その鍵となるのは、軍事面と民生面の関係、すなわちどちらかが発端となってもう一方に影響を及ぼす現状である。そこには原子力発電が考え得る最善の手段だからではなく、政治的な思惑が働いていることが多い。そのため危険性や費用に関する現実離れした想定がまかり通り、拡大を防ぐセーフガードが実効性を持たなくなってしまった。
 世界はまだ破壊されていない。けれども原子力産業がここまで大きくなった以上、将来の保証はない。これから語られるのは様々な失敗の話であり、その理由と結果である。


 脱原発運動の表層だけではなく、その本流をとらえて自分なりに咀嚼することで、いわゆる安全デマに左右されることがなくなります。。この書が、今のタイミングで日本で出版されることは、本当に信じられません。

 この本が真実であるかどうかは、関連ブログで紹介いたしました著書と比較ください。登場人物その他が、縦糸、横糸を織りなすようにぴったりとおさまるはずです。調べれば調べるほど、つながってくる。それこそ、真実であることの証明に他なりません。

◆関連ブログ
放射能と人体(7)放射能安全神話の根拠2011年12月17日
タグ:推薦本
posted by いんちょう at 23:59 | Comment(10) | 原子力
ブログ全体の目次は、こちら