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◆猫の乳腺腫瘍

乳腺腫瘍は雌猫に特に多く発症する、腫瘍の中でも3番目に多い種類の腫瘍です。
どんな種類の猫でも発症しますが、とくにシャム猫に多いとされています。
この腫瘍の発症年齢は平均11歳前後(幅2?23歳)と高く、高齢の猫では危険な病気のひとつになっています。
猫の乳房は、乳首と乳汁を分泌する乳腺から構成され、普通5対あります。乳腺は胸部から下腹部にシート状につながり、血管やリンパ管で各々が連絡しています。
乳腺腫瘍はこの乳腺上に発症します。

乳腺腫瘍には良性と悪性(癌)があります。
猫の乳腺腫瘍の70?90%は悪性であると言われています。(96%という説もあります。)
乳腺腫瘍に限らず、腫瘍は早期診断、早期摘出が最も効果的な治療と言われています。
猫のおなかをなでていて、固いものが触れるように思われたら、とりあえず病院で検査を受けたほうがよいでしょう。
手術について不安を持つ場合もあると思いますが、現在は昔と比べて麻酔の技術などもはるかに進歩しているようですので、ちゃんとした病院なら危険性はほとんどなくなっているようです。
常時、腫瘍の手術をたくさん行っていると思われる病院を見つけることができれば、より安心して手術を受けることができるでしょう。
乳腺腫瘍は高齢の猫がかかりやすい病気であるため、病院によっては手術を勧めないことがよくあるようですが、腫瘍が悪性の場合、早期に摘出をしないと浸潤(腫瘍がまわりに根をはってひろがってしまうこと)や転移(他の臓器などに腫瘍が散らばってしまうこと)をしてしまって、摘出が不可能になってしまうので、よほど猫の体調に不安がある場合以外はしこりが小さいうちに摘出してしまったほうがいいと思います。

初回の発情前に避妊手術を受けていれば乳腺腫瘍の発症率を7分の1に抑えることができると言われています。(はじめの2?3回の発情のうちにという説もあります。)
猫に仔を生ませる予定がなければ、予防のため早めに避妊手術をしてあげることを強くお勧めします。

◆症状

乳腺腫瘍はほとんどの場合、おなかの表面にあるしこりとして発見されます。
初期のしこりはとても小さなもの(米粒大)で、気をつけて触らないとわかりません。
しこりが次第に大きくなって1cmくらいになってくると、少しさわっただけでも指先に触れるのでわかります。
乳腺腫瘍は腫瘍が相当大きく(5cm以上に)ならないと、全身に影響を及ぼすような症状はあらわれません。
また、かなり大きくなっている場合でも、他の臓器への転移や内臓への圧迫がないかぎり、痛みはほとんどないようです。(だるさや食欲の減退はあるようです。)
しこりの大きさが5cmをこえるころには、おなかの皮膚がやぶれて腫瘍が露出するようになります。そうなると血や膿によって腫瘍部分が悪臭を放つようになります。(末期にはほとんどこの状態になると考えていいと思います。)
猫ではほとんどの腫瘍が悪性で、乳腺部に腫瘍が発見されたときは既に肺や内部臓器に転移していることも多いとされています。 乳腺腫瘍はしこりが小さいうちはほとんど症状があらわれないため、ついそのままにしてしまいがちですが、腫瘍が大きくなって、特に皮膚が破れてしまったあとの状態は、猫と飼い主双方にとってとても悲惨なものとなります。(病院ではここまでのことは教えてくれません。)

◆診断方法

ほとんどの場合、まず獣医師や飼い主によって、乳腺部に小さなしこりを認めることで発見されます。
しこりは、一般的には少なくとも直径1?数cmくらいにならないと探すのは難しいようです。
触れてみると周囲の組織と限界がはっきりして、固いのがわかります。(こりこりした感じです。)
注意深く、乳腺を胸から下腹部まで、軽く指先の腹でなぞるようにして調べると、早く発見できます。
長毛の猫では、乳腺部が毛に被われ、腫瘍の発見が遅れる傾向があるので気をつけてください。

しこりの診断方法として、しこりの一部を細い針で吸引し腫瘍部分の細胞を検査するバイオプシー(生検)という方法がありますが、この方法ではしこりがたしかに腫瘍であり、悪性の可能性がある、という程度しかわかりません。また、しこりの摘出がすでに決定している場合には、この検査は省かれることが多いようです。検査自体は針を一瞬刺すだけですので、猫への負担はほとんどないようです。
しこりがほんとうに悪性の腫瘍であるかどうかは、しこりを摘出した後に詳細な検査(病理組織検査)を行うことでしかわかりません。(病院内でこの検査を行えるところはほとんどなく、外部に委託する場合が多いようです。)

◆治療法

乳腺腫瘍は小さくても、発見できるときは元の腫瘍細胞が何十回も分裂してできた塊であり、腫瘍約1グラム当たり1億個もの腫瘍細胞を含んでいるといわれています。
また、良性の腫瘍であっても後で悪性になる例もあります。
これらの理由から、乳腺腫瘍は可能な限り早く診断して、治療することが必要です。

治療方法は、人間の乳がんと同様に、猫でも摘出手術が原則です。
しかし、発症する猫は高齢であることが多く、他の病気を持っていたり、既に腫瘍が転移して手がつけられない状態の場合もあるため、手術前には血液、尿、レントゲンなどの詳しい検査が必要です。(この検査にけっこうお金がかかります。)
内臓に明らかに転移していたり、他に重要な病気がある場合は手術ができないことがあります。

乳腺腫瘍の手術後の猫の生存期間に影響を与える条件が3つあることが知られています。

ひとつはその腫瘍の大きさです。
腫瘍の大きさが2cmで36ヶ月、2?3cmで24ヶ月、3cmを超えると6ヶ月と言われています。(あくまで統計的なものです。)

ふたつ目の条件は、手術で腫瘍周囲をどれだけ大きく切除できるかという問題です。
たとえ腫瘍が1cmの大きさであったとしても、猫の乳腺腫瘍の場合は片側の乳腺全てを切除するなど、可能な限り大きく取り除くことが根治する鍵であると言われます。
乳腺腫瘍は乳腺という畑に蒔かれた種のようなものですので、畑自体を根こそぎ取ってしまうことが理想的だということです。
病院によってはしこりを最低限小さく摘出するところも多いようですが、腫瘍が悪性の場合この方法だと根の部分が残ってしまい、再発や転移の可能性が高くなります。(ただし、傷口が小さくてすむので飼い主は喜ぶそうです。)
できるかぎりしこりのまわりを大きくとると、傷口はかなり大きくなりますが、腫瘍の怖さをよくわかっている病院なら、この方法を勧めると思います。
乳腺を全部摘出する手術はそれなりに大きな手術になりますので、猫の体力などを考えてお願いするほうがいいでしょう。
ですが、腫瘍の危険性を考えるとこの方法も考慮しておいたほうがよいのではないかと思います。
腫瘍の初期で体力があるうちにこの手術を行っておけば、再発しない確率はかなり高くなるはずです。

最後の条件は、切除した組織を病理組織学的に検査したのちにわかる癌細胞の悪性度です。同じ癌でも特にたちの悪い癌細胞もあればまだマシなものまで様々です。たちの悪い細胞から成るものほど根治は難しくなるので、その判断のためには、手術後の腫瘍を検査に出すことが必要です。
悪性の腫瘍の場合、手術後1年間の生存率は、腫瘍組織をすべて切除できたとしても、54%だそうです。(我が家の猫の場合)

最近では、猫の乳腺腫瘍は摘出手術後に化学療法(抗癌剤治療)を行うと結果がよいということが証明されているようです。

◆我が家の猫の経過5/15更新

'04年春頃におなかに小さなしこりを発見しました。
'05年1月にインターネットでたまたま近所に腫瘍専門の先生がいることを知り、診断を受けました。
'05年2月に採血、血液検査の結果、手術が可能ということなので、手術を決意しました。しこりの大きさは1cm以上になっていて、ちょっと大きいと言われました。
手術直前1cmのしこりのほかに小さなしこりがみつかり、同時に切除することになりました。避妊手術も同時にしてもらうことにしましたが、切除した子宮が異常に腫れているため、しこりといっしょに検査に出してもらいました。
細胞検査の結果、しこり2つと子宮すべて悪性腫瘍でした。子宮は腫瘍の境界ぎりぎりでの切除だったため、転移の可能性があるとのこと。このような場合、1年以内の生存率は54%であると告げられました。
抜糸後、抗癌剤投与についても説明されましたが、腫瘍がぎりぎりですがきれいにとれていると思われること、また金銭的な理由から、消炎鎮痛剤と犬猫用D-フラクションを処方してもらいました。
'05年12月、新たなしこりが1つみつかり切除しました。
'07年04月、新たなしこりが2つみつかったため、右側乳腺の切除をしました。
一番怖れていた子宮からの転移はありません。
新たな腫瘍ができてしまうのは、乳腺が残っているかぎりある程度はしかたがないとのことです。
我が家の猫についての詳しい経過については「診療診療」も参考にしてみてください。

◆我が家の猫に処方された薬5/15更新

乳腺腫瘍ではアガリクスを処方される病院がわりと多いようですが、我が家の猫(ちび太)を診てくださっている病院の先生はアガリクスは薬として認可されているものではないので、必ず効くとは言えないという考えです。

我が家の猫の場合、手術前の検査で腫瘍の転移が認められず、腫瘍摘出後の検査の結果、腫瘍がぎりぎりきれいにとれていることもあり、抗癌剤は使わずバキソという消炎鎮痛剤を1日1包あたえることになりました。
バキソは元々は人間の関節炎の薬として開発されたようですが、炎症を抑える効果から腫瘍が大きくなるのを抑えることができたという臨床例があるようです。
身体状態が悪くなって、もう抗がん剤が使えなくなった犬や猫によく処方されているようです。
薬の副作用としては、胃があれて嘔吐することがあるとのことですが、いまのところそのような症状はありません。
少量の粉薬として処方されており、その中に胃薬も混ぜてあるとのことです。

そのほか、免疫力の向上のため栄養補助食品である「犬猫用D-フラクション」をあたえています。(けっこう高いです。)
これは原材料がマイタケ抽出エキスであることから、アガリクスと同等の効果が期待されるものであると思います。

以上の薬と食品は、どちらも与えたから必ず再発が抑えられるというものではありませんが、餌に混ぜて与えることができるため、猫に比較的負担がかからないという理由で継続してあたえることを決断しました。
悪性の乳腺腫瘍はつまりは癌ですので、これが絶対に効くという薬がないというのは、人間の癌に特効薬がないのと同じことだと思っています。

◆処方された薬の成分・作用等

我が家の猫に処方された薬について紹介します。元々人間用の薬ですので、人間用の説明になります。薬の説明についてはおくすり110番・・病院の薬がよくわかるに書かれている内容を参考にしました。
成分/製品名/他 作用 副作用
ピロキシカム/バキソ/解熱鎮痛消炎剤/オキシカム系/持続性抗炎症・鎮痛剤 一般的な作用としては、炎症をしずめて、腫れや発赤、痛みなどの症状をおさえます。熱を下げる作用もあります。
炎症や発熱を引き起こすプロスタグランジン(PG)という物質の生合成を抑制します。プロスタグランジン(PG)の合成酵素「シクロオキシゲナーゼ(COX)」を阻害することによります。
間接的に胃をあらすことがあります。重症化することはまれですが、胃潰瘍など消化性潰瘍にも念のため注意が必要です。とくに高齢の人、また長期使用時には気をつけてください。
人によっては発疹ができたり、喘息発作を起こすおそれがあります。アレルギー体質の人や、もともと喘息のある人は注意してください。
そのほか、腎臓や肝臓の働きが悪くなってくることがあります。リウマチなどで長期に使用する場合は、定期的に肝機能や腎臓の検査、また胃の検診を受けるとよいでしょう。
すべて人間の場合。


◆その他の治療法について 5/15更新

乳腺腫瘍の治療については、飼い主さんの間でもさまざまな意見があり、とてもここにすべてを書くことはできません。特に免疫療法や食事療法については、私の勉強不足もあり、納得いく情報を提供する自信がありませんので、いまのところは割愛させていただきます。
「乳腺腫瘍にかかった猫ちゃんたち」のリンクをたどると、乳腺腫瘍の治療について活発に意見交換をしている掲示板などもありますので、そのような場所で情報交換をし、それぞれの飼い主さんが納得いく形で、一番いいと思われる治療を選択するのがよいと思います。

◆乳腺腫瘍についてのリンク集

児玉どうぶつ病院 腫瘍についての豊富な記事があります。
たまの伝言 猫のガンについての総合的な情報があります。
長良動物病院 病気と予防について に写真つきの記事があります。
津山動物病院 症例報告 に写真つきの記事があります。*
ペットの健康研究会 乳腺腫瘍についての記事と漢方相談を受け付けています。

◆乳腺腫瘍にかかった猫ちゃんたち

猫の乳腺腫瘍レポート 経過が年表形式でまとめられています。 5/4更新
猫の乳腺腫瘍闘病記 経過が年表と図入りで詳しくまとめられています。 5/4更新
☆ぐるみゃん☆ 乳腺腫瘍の猫ちゃんの話があります。 5/4更新
千聖犬の毎日 乳腺腫瘍の猫ちゃんの闘病日記があります。 5/4更新

◆その他のリンク

HAL'S BAR 犬の乳腺腫瘍手術の経過が漫画になっています。

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