夕焼けポスト



 サンタルチア城より


  夢の中で手紙を書いてくれたら、
  夕暮れ時だけ姿を現す夕焼けポストに届きます。
  夕焼けポストの管理人は、
  夕暮れ時だけ筆を走らせます。
  あなたの夢の中に、その返事がきっと届くはず。


 

 (お便り)

 私の悩みは、お酒が飲めないことです。
 本当に飲めないんです。
 酎ハイでも、コップに半分も飲むと、100m全力疾走した後のように動悸が激しくなり、
 顔も真っ赤になって、このままだと死ぬんじゃないかと思うくらいの苦痛なんです。
 お酒を飲むなんて、何かの罰ゲームとしか思えません。

 だから私は、明川さんがお酒の素晴らしさを語るたびに、切ない気持ちになります。
 お酒が飲めない自分は、ものすごく人生を損してるんじゃないか?と思えるんです。
 お酒が飲めなくても人生を楽しむ方法はあるのでしょうか?

                                         (月ノヒカリ)




 (返事)

 これは本当の気持ちなのですが・・・
 ボクはお酒が飲めない人がうらやましいのです。
 15才で一人暮らしになったもので、
 お酒もまたその年齢で始めてしまいました。

 名古屋の大曽根というところにあるラーメン屋さんで、
 生まれて初めてビールを一本飲んだのです。
 笑いが止まらない状態になって、
 店員さんが不安そうにこちらを見ていたのを今でも覚えています。

 そう。
 笑いが止まらなかったのです。
 ボクはどちらかというと、
 心の寝室の雨戸がいつも閉じているタイプの人間です。
 放っておくと、暗いことばかり考えてしまう。
 その雨戸を開けてくれるのが、お酒だったのかもしれません。

 でも、お陰でその日から、
 お酒を手離せない人間になりました。
 一時は依存症だと医師に言われたこともあり、
 強制的な断酒を自らに課すこともあります。
 (実は今がそうで、これで5日ほど断ちました)

 まあ、自らの心でお酒なしの生活もできるのですから、
 それほど重症ではありません。
 酒癖もそう悪い方ではないと思います。
 ひたすら明るくなるか、時々落涙するかのどちらか。

 ただね・・・。
 人生の何割を、お酒を飲む時間と二日酔いの復活タイムに費やしてきたんだろうと。
 半分ぐらいかな。
 お金もそうです。
 これまで、新宿ゴールデン街に寄付してきたお金だけで、
 一戸建ての家が建つほどです。
 
 人生にもしもはないと思いますが、
 もしボクがお酒を飲まない、あるいは飲めない人だったら、
 こんなにも不安定な生活の底で、
 闇空のシリウスを眺めることもなかったかなあと思うのです。

 ただ、そうなると、
 詩を書いたり、道化師になっていたかどうかもわかりませんね。
 ボクはお酒を飲む道化師で、
 それでいいと言ったら、まあ、それでいいのです。

 ボクはあなたは強い人だと思いますよ。
 お酒なしで、いつも明確な言葉で、
 自分の思うところ、考えるところをアピールしている。
 そういう人は、まばゆい。

 結局のところ、
 お酒を飲む飲まないということもそうですが、
 人はその人の人生しか生きられないのだから、
 他者の価値観と比較して何かを考えることは、
 あまり意味がないかもしれませんね。

 とはいえ・・・
 憧れます。
 飲まない人生。
 プルーストの物真似ぐらいはできたに違いない。

 あなたはあなたの表現のなかで、
 薔薇の香りにも似た陶酔を得て下さい。
 飲みながら応援しています。

 あるいは、
 一滴だけ焼酎を垂らすお湯割りを、
 作ってしんぜよう。


 

 

 
 (お便り)

 最近、お一人様という言葉がある。
 私もその言葉には、他人事に思えない。
 何故なら、いまだに独身である。
 いまだに相手がおらず、かといって、数少ない昔からの友達や、寿退社した後輩みたく、自ら婚活に励んでいるわけでもない。 現在も、何もしていない。
 いずれか誰かと結婚したいとは思うけど。正直自分に自信がないのである。
 外見も内面も自信がない。それと最近年を感じる。トイレが近くなる。
 そんな私は、1人で過ごす日が多い。
 だから、将来が心配だ。
 無縁仏かなと思う。
 いずれか家族もいつか去る。友達という人達は、子供の頃にいた。
 しかしながら。学生時代に、いじめにあったこともあり。親友だなと信じていたら、かげぐちを言われていたこともあったこと もあり。お金を返してもらえないこともあったり。
 そんなことがあるから、すごく傷つき、自ら友達をひっしで作ろうとはしなかった。
 友達と呼べる人を信用しないわけではなく 。
 なんでも素直に話してしまう癖がありながらも。
 やはり他人がよくわからずに、友達とは何なのかよくわからない。
 そんな私は、大人の年齢だがこれからどう友達をつくろうかと思うし、友達がほしいと思いながらも、傷つきたくないと、自ら 積極的に遊びにさそうわけでもなく。話かけられても、トイレを気にしてどこもいけない。昔は、そんな悩みなかったな。
 正直いうと、ドリアンさんに、本当の友達とは何か?友達とは何か?どんなものか?友達の作り方、傷つかない生き方、人と比 べない過去にとらわれない哲学を本に出して売ってほしいなと夢あります。
 いまだに1人行動が多い私。将来、お一人様が他人事に思えずいる。
 最近テレビでやっていた。亡くなった方々の物を片付ける業者さんがいるそうだ。
 その番組を見て、切なく思う。
                                               匿名希望より



 (返事)

 またもや、友だちのことで。
 あるいは一人でいることの。
 周囲とは少しずれてしまっている自分。
 もうずっと昔のことなのに、まだかさぶたすらできていない傷。
 いや、もしかしたら、ないものねだり。

 傷つかない生き方・・・。
 それはないと思うよ。
 傷つかないって、それは生きていないということだと思う。

 ボクは書棚の中に友達が何人かいる。
 紙に埋もれて、普段は眠っている。
 頁に光が届いた時、
 やあ、と顔を出してくれる。

 ボクは多摩川や野川の岸辺に友達がたくさんいる。
 今は木枯らしに堪えているが、
 (姿さえ消しているが)
 春になると、
 やあ、と顔を出してくれる。

 ボクの友達はつまり、今、生きているか生きていないかはあまり関係ない。
 そういうの、越えちゃっている。
 生きていた事実があればいい。

 人間であるかどうかもあまり関係ない。
 命あるものなら、佇まいがあるでしょう。
 木でも、鳥でも、虫でも。
 佇まいがあるものには言葉がある。

 それを聞く。
 聞くことでつながっている。

 もちろん、今生きている人間の友達もいる。
 そんなに多くないかもしれない。
 本当、数人。

 大切な人たちだけど、
 話し掛けてくる木とどちらが大切かと問われれば、
 ボクにはよくわからない。

 
 


 (お便り)

 20代の頃から友だちが1人も居ません。正直毎日寂しいし哀しい!
 どうやったら友だちが出来る様になるでしょうか?
 アドバイス宜しくお願いします。

                          HN:話し相手は壁と天井




 (返事)

 時々のお便り、ありがとうございます。
 さて・・・友だち。

 あなたに近付きたいと思う雰囲気をあなたが持っていれば、
 理屈を考えることもなく、人は集まってくるでしょう。
 あなたがその逆の雰囲気であれば、自ずと人は離れていくでしょう。

 ただ、それだけのことのような気がします。
 ボクはその両方の空気を持っているので、
 たくさんの人に微笑まれたこともあれば、
 たくさんの人が去っていったこともあります。
  
 その経験から、気のきいたことが言えればいいのですが、
 ボクも人付き合いに関しては不器用で、
 こうしたら人に好かれるよ、なんてとても言えません。
 その方法がわかれば、ボクも知りたいぐらいです。

 それでも、一人では生きていけないのは確かで、
 人はみな何らかの働きをもって、
 世の中のどこかに立っています。
  
 いや、俺は一人で豆腐を売って生きていくからいいよ。
 たとえばそんなふうに思ったとしても、
 大豆やにがりを買う時は卸業者との付き合いができますし、
 ラッパを鳴らしながら街を歩けばいつしかお客との付き合いができるものです。
 そうじゃないと、仕事は成り立たない。

 友だちになるかどうかはわかりませんが、
 人と出会う機会を増やす方法はあります。
 それは、自分の仕事を作り上げていくことです。
 どんな分野の仕事であろうと、
 必ず人とのつながりができる。

 それで、もしあなたが、他人に対して許しのある人であれば、
 何人か、お酒を飲むぐらいの知り合いはできるでしょう。
 結果、その人たちの中から友だちが生まれるかもしれないし、
 あるいはできないかもしれない。

 でも、悶々としているなら、
 友だちがなぜできないのかを考えるより、
 あなたの仕事をこの社会で打ち立てることです。
 それがすべての始まりになります。

 

                                管理人 ドリ
  
  
  
 


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