東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 速報ニュース一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

さらば初代のぞみ “鉄仮面”300系 3月引退

2012年1月16日 13時53分

写真

 東海道新幹線の初代「のぞみ」号として一九九二年にデビューした300系車両が三月、引退する。六四年開業時の0系、二代目の100系はすでに現役を退き、今の主流は高速性、環境性を兼ね備えたN700系。二〇二七年の東京−名古屋間開業を目指すリニア中央新幹線で走るL0(エル・ゼロ)系車両の開発も進み、高速鉄道技術の進化は続く。 (鎮西努)

 「寂しいですが、二十年間お疲れさまと言ってあげたい」

 JR東京駅の新幹線ホーム。東京第二運輸所助役の高塩博幸さん(49)が出発する300系を見やりながらつぶやいた。

 二十年前の九二年三月十四日。この日朝六時十二分、記念すべき「のぞみ」の初列車が東京駅に向け、新大阪駅を出発した。300系車両のデビュー。二十九歳の若手運転士だった高塩さんは運転を任された。「加速が心地よく、運転しやすかったのを覚えています」

 車掌業務で車内を検札して回ったときのこと。小学生の男の子がちゃめっ気たっぷりに「望み通り、乗れました」と声を掛けてくれた。「楽しみにしてくれていたんだって伝わってきました」

 初列車を運転したのは四人だけ。高塩さん以外はベテランで既にJR東海を定年で去った。高塩さんも今は現場を離れ、後進を育成する立場にある。「300系と一緒に歩んできた。初列車を運転できたのは誇りです」

    ◇

 アルミ合金を初採用した軽量型で、最高時速は従来の二百二十キロから二百七十キロと一気に速くなった300系。東京−新大阪間をそれまでより十九分短い二時間半で結んだ。

 先頭車両の鼻先がずんぐりした0系、100系からデザインを一新。空気抵抗を減らすため、車両最前部の傾斜を緩やかにした顔つきは「鉄仮面」と呼ばれ、鉄道ファンの人気を集めた。

    ◇

 車両の揺れを減らした700系、電力消費量を300系より25%低減し、さらに揺れが少なくなったN700系に続き、JR東海では六百六十億円を投じ、ブレーキ性能を高めたN700Aの開発が進む。一三年度末までに十三編成を投入し、すべての東海道新幹線に占めるN700系、N700Aの割合が七割に達する。

 最高時速が五百キロを超すリニア車両の実用化も近づいてきた。L0系は横幅、高さともN700系の九割程度でひとまわり小さい。東京−名古屋間の八割が地下トンネルを通るルートのためコストや工法を考慮し、スリム化する。山梨実験線で計測した時速五百八十一キロは世界最速。二度の試験走行での最速達成は寸分たがわぬ地点、到達時間だったといい、実現すれば高速鉄道は新たな時代に入る。

(東京新聞)

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo