昨年7月末に首都圏で集中豪雨が発生した際、急流にのみ込まれた市民を救出しようとして殉職したとされた義務警察(兵役の代わりに警察に勤務する警察官)の故チョ・ミンス首警をめぐる美談捏造(ねつぞう)疑惑に対し、京畿地方警察庁は全面的に再捜査に着手した。そうした中、故チョ首警が助けようとしたという市民のカンさん(58)が、テレビ朝鮮の単独インタビューに応じ、「当時、私は5時間も(あふれた水の中で)孤立していたが、米軍がロープを投げてくれて、救助された」と語った。
警察は、昨年7月に韓国中部地方が集中豪雨に見舞われた際、米軍第2師団のキャンプ・モービル(京畿道東豆川市)周辺で孤立していたカンさんを救おうとしてチョ首警が殉職したと発表した。しかし、実際には「現場を守れ」という上官の指示に従った結果、避難が遅れて急流にのまれ命を落としたにもかかわらず、警察がこれを「市民を救った英雄」に仕立てあげたのではないかという疑惑が持ち上がっている。
カンさんは、これまで当時の状況をきちんと明かさなかった理由について「みんな私の息子のようだったから。チョ首警が国立墓地に埋葬され、補償金も受け取ったと聞いて、それで気持ちの整理ができた」と語った。
これと関連しテレビ朝鮮は10日「故チョ首警が殉職した当日、京畿道北部を管轄する京畿地方警察庁第2庁の治安監(警視監に相当)クラスの幹部ら6人が、東豆川警察署の署長室で、チョ首警の殉職を美談にする会議を開いた」というある警察関係者の証言を報じた。この警察関係者は「当時の会議で、ある幹部は対外広報を担当し、別の幹部は警察職員にかん口令を敷くなど、全てが仕立て上げられ始めた」と語った。
なお、関係者らはこうした疑惑を強く否定している。当時、東豆川警察署の署長室にいたある幹部は「遺体処理の問題や遺族への補償問題などを話し合っただけで、捏造は決してなかった」と語った。