政治・社会 

なぜ手配犯は大阪へ逃げるのか- ゲンダイネット(2012年1月16日10時00分)

  97年から14年間、大阪府内に潜伏していたオウム真理教の平田信(46)と、斎藤明美(49)。95年から2年間は、福島、宮城など東北を転々としていたが、「人混みの方が紛れやすい」と大阪に逃亡したらしい。

  しかし、人混みに紛れるなら人口880万人の大阪より、1300万人の東京の方が都合がいいはず。そういえば、リンゼイさん殺しの市橋達也も整形手術をし、大阪に逃げていた。日本赤軍のリーダー重信房子も大阪で逮捕された。

  演歌や2時間ドラマでは、北に逃げるのが相場なのに、なぜ揃いも揃って大阪なのか。県民性の研究家「ナンバーワン戦略研究所」の矢野新一所長はこう言う。

 「逃亡犯は、東京より大阪の方が潜伏しやすいはずです。大阪人は“お上”に対する反発が強いから、わざわざ『怪しい男がいてるで』と警察に協力しません。それに他人に対してオープンだから、知らない人が周囲にいても気にしない。なにより、大阪府警は捜査が甘いですからね」

  かつて大阪府内の教団施設にいたことがある平田信は、そうした土地柄を知っていたのではないか。

  そもそも、逃亡犯には「西に向かいたい」という無意識な心理も働いているらしい。心理学博士の鈴木丈織氏が言う。

 「陸上トラックもそうですが、人間は左回りに動くことを好みます。そして閉塞感のある山よりも、開放的な海や人の出入りの多い港に希望を見いだしやすい。また、寒い東北では気持ちが沈みがちですが、温暖な西に行くと気分が高揚し、よし逃げ続けるぞ、という心理も活発になる。逃亡犯にとって、東北や東京よりも西へ向かうほうが理にかなっているといえます」

  警察は逃亡犯を捜すなら、捜査員を西へ向かわせた方がいい。

 (日刊ゲンダイ2012年1月13日掲載)



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