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被災のイチゴ赤々と 相馬の観光農園再開

平野復興相(奥)とともにイチゴ狩りを楽しむ地元の保育園児ら

 福島県相馬市沿岸部の和田観光苺(いちご)組合(山中賢一郎組合長)は15日、本年度のイチゴ狩りの営業を始めた。東日本大震災による津波でハウスが流されるなど先行きが危ぶまれたが、被害を免れた地区で苗を育てるなどして再開にこぎ着けた。山中組合長は「相馬の農産物ブランド復興の一歩にしたい」と語った。
 組合のイチゴ園は農家13戸が参加し、1988年に開園。約100棟のハウスで「章姫」「さちのか」などを栽培し、年間約3万人が来場していた。しかし、津波でハウスの半数が流されたほか、総面積3ヘクタールのうち1.5ヘクタールが海水を被り栽培ができない状態に陥った。
 昨年4月には在庫分のイチゴを販売する臨時直売所を開いたが、福島第1原発事故による風評被害で価格は急落。それでも、被害が軽微だった農家7戸に声を掛け、再起を目指してきた。
 福島県の放射性物質検査によると、園内のイチゴからセシウムなどは検出されていない。組合はインターネットで結果を公表し、安全性のPRに努める。娘と来園した相馬市の主婦荒由加理さん(39)は「今はどうしても食材に気を使う状況。検出されないと聞き、娘にも安心して食べさせられます」と話した。
 組合は今後、畑作から水耕への切り替えなど生産体制の再構築を図る。山中組合長は「今、沿岸の農家はがれき撤去などで収入はあるが、その後の見通しが立たない。今回参加できなかった農家がいつでも戻れるよう、準備しておきたい」と言う。
 この日は平野達男復興対策担当相も来園し、地元の保育園児とイチゴ狩りに参加。「相馬は非常に空間放射線量が低い。国も地域ごとのデータを明らかにし、風評被害防止へ努力したい」と述べた。


2012年01月16日月曜日


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