東日本大震災の際、東京都町田市の大型量販店「コストコ多摩境店」の駐車場のスロープが崩落して10人が死傷した事故で、運営するコストコホールセールジャパン(川崎市)が「建築確認を行った設計図とは異なる方法で施工された」と町田市に説明したことがわかった。同社が5月中旬から設計会社に調査を依頼し、判明したという。
市によると、建築確認を行った段階の設計図では、立体駐車場とスロープの床は一体だった。だが、施工段階ではその間に排水溝が設けられ、別の構造になっていたという。同社は市に「本体駐車場とスロープに対し、別々の力が働いた可能性がある」と説明。この施工の問題が事故につながった疑いがあるという。
店舗は2002年に完成。事故後、市は建物の構造計算書などを調べたが、建築基準法上の違反などは確認されなかった。
この事故では2人が死亡し、8人がけがを負った。崩落したスロープを支える柱とはりの接合部6カ所が破断しており、その接合部の金属製プレートが壊れたと見られるという。耐震基準以下の震度5弱で崩落し、設計や施工に問題があった可能性もあることから、市や警視庁はコストコ側の調査を注視している。