コニカミノルタについて
画像提供:コスモ石油
太陽熱発電とは鏡を利用し太陽光を集め、その熱で蒸気を発生させてタービンを回転、発電する発電システムです。
このタービンを回転させて発電する方法は火力発電や原子力発電と同じシステムで、大規模発電に適しています。また、蓄熱により24時間発電が可能で、エネルギー変換効率も高いため、次世代発電システムとして注目を集めています。
従来の石油等のような枯渇資源を利用した発電とちがい、太陽熱発電は環境汚染が生じないクリーンエネルギーとして、現在欧米では多数の建設計画が進められており、2020年以降、急速にシェアが拡大していくと考えられています。
この未来を見据えたエネルギー開発にコニカミノルタはアラブ首長国連邦のアブダビで、アブダビ政府系機関(MASDAR-ADFEC)、コスモ石油、東京工業大学、三井造船とともに取り組んでいます。
注:テラは1兆、推計及び予測値 出典:ドイツ航空宇宙センター
今回のプロジェクトでは、太陽熱を集める方式として「ビームダウン式集光太陽熱発電」を採用。これは、地上の鏡と上空の中央反射鏡で太陽光を2回反射させ、熱を集める方法です。地上におかれた鏡はヘリオスタットミラーと呼ばれ、太陽を追尾し光を塔の鏡に反射。次に塔の鏡、中央反射鏡で光を再反射させ、地面に設置された蓄熱材に太陽の熱を集めます。
この方式は集光能力が高く、蓄熱材の扱いが容易になるなど、従来の方式に対してメリットがあると期待されています。
そして、この太陽熱発電の要である、中央反射鏡の開発をコニカミノルタオプトが担当しています。
地上に設置した鏡(ヘリオスタットミラー)から太陽熱が集まってくる中央反射鏡は、太陽光の30倍以上のエネルギーを受けます。一般的に普及している金属ミラーを使用すると反射率が悪く、光を吸収してしまうため、鏡の表面が200度以上に上昇してしまいます。また、風速20メートル以上の強風が風圧となって鏡にのしかかります。ビームダウン式を採用するには反射率が高く、風圧にも耐えられる新しい鏡の開発が不可欠です。
この難度の高いソリューションの提供がコニカミノルタのミッションでした。
コニカミノルタでは、レンズ技術で培った「誘電体多層膜ミラー」を応用し、光エネルギーを熱として無駄にしない反射率98%以上の中央反射鏡の開発に成功しました。
これにより、紫外線から赤外線まで幅広い波長の光で高い反射率を得ることができ、中央反射鏡の発熱を防ぐことができます。この技術は、カメラの反射防止コートなど薄膜技術を転用したもので、腐食等の耐環境性に優れているという利点もあります。