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オペラ歌手白石敬子さんのニューイヤーコンサート、20回目開催へ/藤沢

2012年1月13日

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14日に20回目のニューイヤーコンサートに臨む白石さん=藤沢市辻堂元町

14日に20回目のニューイヤーコンサートに臨む白石さん=藤沢市辻堂元町

 世界的なオペラ歌手として上り詰めた白石敬子(ひろこ)さん(66)が藤沢市で続けるニューイヤーコンサートが14日、節目の20回目を迎える。8年前に末期がんの診断を受け、闘病生活を送る。コンサート前は一時、抗がん剤を断って準備に没頭する。故郷に新年の演奏会を根付かせたいとの意志が、余命宣告をはねのけている。

 20年前。ピアニストで指揮者の夫隆生さん(66)とともに藤沢市でニューイヤーコンサートの開催を呼び掛けた白石さんは、音大の世界最高峰とされるウィーン国立音大を最優秀首席で卒業し、数多くの世界的コンクールで入賞。1976年、日本人で初めて、世界屈指のオペラハウスとされるウィーン国立歌劇場の専属歌手として舞台に立った。

 開拓者として負うものは大きかった。「この人、本当に歌えるのか」。冷ややかな視線は、1年後には変わっていた。「礼儀や真面目さも評価されて『日本人は素晴らしい』って」。世界最高峰の舞台に専属歌手として6年間立った。35歳でフリーとなり、欧州各国の舞台に主役で出演した。

 40歳で生活の拠点を出身地の藤沢へ移した。日本に残した母が気掛かりだったからだ。

 15歳で父を亡くした。藤沢市立中学校の教諭だった母が、一人娘を育て上げ世界へ羽ばたかせてくれた。

 70歳を過ぎたころから、母は家の至る所にウィーンの連絡先の電話番号が書かれた紙を貼るようになった。

 2006年、95歳になった母をみとった。

 自身も患っていた。04年、医師から末期の進行性大腸がんと診断され、「手術してもあと5年、もつかどうか」と告げられた。

 転移が続き、何度もメスを入れた。抗がん剤の副作用と必死に闘った。「だるく、食べられず、熱がでる。特にこの3年くらいは、一番強い薬を使っているので本当に厳しい」。昨年は1、3、9月と3回の手術に臨んだ。

 毎年10月から2カ月間に限っては、医師に従わず抗がん剤を断つ。ニューイヤーコンサートのためだ。

 10月には自身のデビュー45周年ソロリサイタルにも臨む。首をすくめるようにして、また、ほほ笑んだ。「来年もやるわよ」



 隆生さんが代表を務める湘南室内合奏団の創立20周年記念演奏会ニューイヤーコンサートは、藤沢市民会館(同市鵠沼東)で、14日午後2時開場。白石さん夫妻のほか、国内の一線のプロが舞台に立つ。全席自由席で3千円。問い合わせは市みらい創造財団電話0466(23)2415。


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