【我慢ならない】野田内閣は前代未聞の“無能内閣”!冷凍庫のごとく先送り凍結

2012.01.12


野田内閣の面々。危機に目をつぶり、先送りする「冷凍庫内閣」と命名された【拡大】

 民主党政権は、国民を期待だけさせて裏切り、日本を危機に陥れている。

 鳩山由紀夫内閣は発足直後、70%近い支持率を誇っていた。それだけマニフェストで掲げた改革への期待感が高かったわけだが、鳩山氏は普天間基地移設問題で「腹案がある」と豪語しながら何もできず、日米関係を壊した。8年間で12億4500万円という子ども手当を受け取りながら、「母が言ってくれれば良かった」と母親のせいにした。連日の愚挙妄言に国民はあきれ果てた。

 後任首相の菅直人氏は市民運動出身で口はうまかったが、リーダーシップも統治能力もない、ひどい政治家だった。尖閣沖漁船衝突事件では中国への弱腰外交に終始し、東日本大震災では、危機管理の基本も理解せずに現場に介入し、福島原発事故で放射性物質を全国に拡散させる原因をつくった。北朝鮮との不可解な関係も取り沙汰された。

 3代目の野田佳彦首相は、現パナソニック創業者の松下幸之助氏が設立した松下政経塾1期生というので、国民も「やっとまともな…」と期待したが、人事で完全に裏切られた。

 「党内融和」という名の下に、戦後日本の青少年教育を歪ませた「日教組のボス」を幹事長に、マルチ商法業界支援の議連会長を務めた人物を国家公安委員長兼消費者担当相に、「防衛は素人」と公言する人物を防衛相にしたり…。菅内閣は「極左内閣」と分かりやすかったが、野田内閣は、党内各グループの協力を得るため、適材適所とは程遠い、バラバラの布陣を敷いた。これほど無能で統一の取れていない内閣は見たことがない。

 マスコミは「どじょう内閣」などと命名していたが、私は「冷凍庫内閣」だと思った。マニフェストを凍結し、いまそこにある危機には目をつぶり、消費税増税以外はすべてを先送りにする内閣だ。壊れた日米関係をどう立て直すのか。中国の軍事的台頭にどう対応するのか。核やミサイルを持つ北朝鮮の権力移譲にどう対処するのか。野田首相の考えはまったく見えない。

 そもそも、野田首相は円高対策として、財務相時代に総額4兆5000億円、首相になってからは最高10兆円規模とされる単独介入を行い、事実上失敗している。この政治的責任はどうなったのか。税制も財政も金融も素人なのに、財務省主導で、デフレ下での消費税増税に突き進み、「不退転の決意」「ネバーギブアップ」などと強弁している。

 民主党政権誕生後の2年4カ月で、ロシアは北方領土にメドベージェフ大統領が訪問し、対空ミサイルを配備した。中国は尖閣諸島を含む東シナ海への野心をあらわにし、韓国は竹島の海上基地化を着々と進めるなど、日本の領土や領海、領空が危うくなっている。「日本の民主党は安全牌だ」とナメられているのである。

 「外患誘致」という犯罪がある。外国と組んで国家を攻撃・転覆させようとする行為であり、刑法第81条で「死刑」と規定されている。極論かもしれないが、このままでは民主党政権には「日本を滅ぼし、国民を属国の民に貶めた、万死に値する政権」という歴史的審判が下りかねない。

 ■佐々淳行(さっさ・あつゆき) 1930年、東京生まれ。54年、東大法学部卒業後、警察庁入庁。以来、半世紀にわたって治安・外交・防衛・危機管理の最前線で活躍し、東大安田講堂事件やあさま山荘事件では陣頭指揮に当たった。77年に防衛庁出向し、官房長、防衛施設庁長官を歴任。86年、初代内閣安全保障室長に就任し、89年、昭和天皇大喪の礼を最後に退官。その後、新聞やテレビなどで鋭い論評を展開し、2007年に正論大賞を受賞する。著書に「ほんとに 彼らが日本を滅ぼす」(幻冬舎)など。

 

注目サイト