2011年11月17日 12時56分 更新:11月17日 13時38分
大分県別府市で昨年、温泉旅行に訪れた女性看護師が殺害された事件で、大分地検が強盗殺人罪などで起訴した大分市出身の安藤健治被告(33)の取り調べを、すべて録音録画していることが17日分かった。法務省が拡大を模索する「全面可視化」の流れに沿った。日本弁護士連合会は「統計は取っていないが、裁判員裁判対象事件で全面可視化が明らかになったのは聞いたことがない」としている。
起訴状によると、10年8月31日、大分県別府市明礬の市道山中で、温泉旅行中だった神戸市の看護師、横手宏美さん(当時28歳)の首を絞め、頭を殴るなどして殺害し、財布などが入ったバッグを奪ったとしている。起訴内容を認めている。担当弁護士によると、録音・録画は被告の了承を得て始め、これまでに計数十時間、DVD14枚に及ぶという。
大阪地検特捜部の証拠改ざん・隠蔽(いんぺい)事件を受け、最高検は今年2月以降、取り調べ可視化の試行を次々と打ち出した。8月には当時の江田五月法相が可視化の運用拡大を検事総長に指示している。大分地検は5月、裁判員裁判対象の強盗傷害事件で取り調べの一部を録音・録画したDVDを証拠として提出したが、全面可視化によるDVDの証拠提出はこれまでなかった。【田中理知】