裁判員制度:最高裁大法廷が「合憲」初判断 覚醒剤事件で

2011年11月16日 19時51分 更新:11月16日 20時5分

 裁判員制度が憲法に反するかどうかが争われたフィリピン人女性による覚せい剤取締法違反事件の上告審で、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允長官)は16日、「公平な裁判所での法と証拠に基づく適正な裁判は十分保障されており、憲法に違反しない」として合憲との初判断を示した。その上で被告の上告を棄却する判決を言い渡した。15人全員一致の判断。懲役9年などとした1、2審が確定する。

 被告弁護側は、裁判員裁判が「下級裁判所の裁判官は内閣で任命する」(憲法80条)などに違反するなどとして、実刑判決の破棄を求めていた。

 大法廷はまず、刑事司法への国民参加の合憲性について「憲法の基本原理や刑事裁判の諸原則、憲法制定の経緯などを考慮して判断すべきだ」と指摘。陪審制や参審制が定着している欧米の実情や、国内でも戦前に一時、陪審裁判が行われていた経緯を踏まえ、「刑事裁判に国民が参加して民主的基盤の強化を図ることと、憲法の定める人権保障を全うしつつ適正な刑事裁判を実現することは相いれないものではない」と述べた。

 その上で、制度を憲法の各条文に照らし、「憲法は、国民の司法参加を禁じているとは解釈されない」と判断。裁判員裁判について「裁判官と、中立性の確保に配慮された裁判員で構成されている。裁判員の判断は必ずしも法律的な知識が不可欠とは言えない。刑事裁判の諸原則の保障は裁判官に委ねられている」と結論づけた。

 上告したのはフィリピン国籍のパークス・レメディオス・ピノ被告(45)。1、2審判決によると09年5月、覚醒剤約2キロの入ったスーツケースを密輸した。「覚醒剤と知らなかった」と訴えたが、1審・千葉地裁の裁判員裁判は懲役9年、罰金400万円の実刑とし、2審も控訴棄却した。【石川淳一】

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