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伊豆高原にある茶屋宿 花吹雪にインタビューに伺いました。答えて頂いたのは向谷店長です。お若くて非常に聡明な方という印象を受けました。
まずは、簡単に茶屋宿 花吹雪の概要を説明します。伊豆高原駅から徒歩13分で花吹雪に到着します。道路に面したのれんをくぐると「花吹雪」の約3,000坪の森が広がり、そのなかに、それぞれ趣向をこらした4つの宿泊棟(「白翁」、「日本の色」、「風姿」、「森のうさぎ」)、3つの食事処(「緑陰亭」、「花屋敷」、「雲上亭」)、倶楽部ハウス、7つの温泉風呂(「檜湯殿」、「サンパヤテレケ」、「ヒュレヒュレイセポ」、「露天風呂 鄙(ひな)の湯」、「黒文字湯と露天風呂」、「織部湯」、「志野乃湯」)が点在しています。
・敷地が広く自然に囲まれている。
・花吹雪倶楽部という会員組織がある。
・泊食分離の料金体系としている。
・サービス料を頂かない。スタッフは客室にはチェックイン時以外には立ち寄らないためプライバシーを確保できる。布団もお客様が自由に準備できる。
・7つの24時間100%源泉かけ流しの貸切温泉がある。
・外来入浴だけの利用も11:00〜14:00に限り可能です。
・社員の方を案内役とする朝の散策会が開催されている。
詳細はホームページでご覧ください。
http://www.hanafubuki.co.jp/
■歴史
オーナーの市川信吾氏が、28年前の昭和55年6月に創業されました。昭和13年生まれの市川氏は、早稲田大学卒業在学中から光文社で女性誌の編集者として3年ほど仕事をされています。その後、フリーの雑誌編集者を経て、昭和47年にテレビの子供向けアニメ番組などを主な収入源とする企画者104というプロダクションを創業します。経営は順調でしたが、安定性の低いビジネスに不安を感じ、昭和55年に350坪の土地に和食を出す料理茶屋と客室7室と温泉1つで茶屋宿花吹雪を創業されました。
平成2年までには、敷地面積を約1,000坪まで広げ、客室も13室へ拡大しています。平成3年には、客室棟の一つを壊し、新たな和食レストラン、料理茶屋花座敷を作られました。平成6年には、客室棟の風姿棟を作られました。平成7年には、花吹雪倶楽部ハウスを新設されました。平成11年には、宿泊棟である森のうさぎを新設されました。平成14年には、花童棟を白翁棟に改装されました。
■コンセプト
「別荘のような宿」を創業以来のコンセプトとされているそうです。
参考にされている旅館や情報は特にないそうです。情報を取り入れすぎると真似になってしまうためだそうです。「森の中に抱かれるような宿をつくり、そこで自分なりの“日本”を再現したいと思いました」とオーナーの市川氏も語っている通り、伊豆高原の歴史や風土、また広く伝統的日本の非常に高い文化性を見つめなおし、それを旅館のサービスとして表現しようとされてきたようです。その結果として、創業当時としては相当ユニークであった、泊食分離やサービス料を頂かないという形式を、慣習にとらわれる事無く実現されています。
コンセプトが明確で、自分達が信じるサービスを提供している結果、ユニークなサービスにつながり、他旅館との差別化がはかれている気がしました。
■黒文字
インタビューをしている間中、素敵な香りがしていました。それが、現在花吹雪様が力を入れている「黒文字」の香りだそうです。館内の黒文字湯でも黒文字の木を使われています。
また、家に帰っても黒文字の香りを楽しめるように様々な商品(シャンプー、コンディショナー、ボディソープ、エッセンシャルオイル、飲料、キュウリ漬け等)を開発されています。花吹雪様は蒸留装置も、自社で作っておられるそうです。世界の人々にも「日本にも黒文字という素敵なアロマがある。」と思ってもらえるようにする事が目標だそうです。それにより、伊豆高原の土地の木である黒文字を広く知って頂く事ができ、伊豆高原全体の発展にもつながると考えられています。
我々も早速エッセンシャルオイルを購入して試してみました。ヒノキのようなスッキリした香りを楽しむ事ができますので、値段分の価値は充分にあると感じました。友人夫婦にもプレゼントしたのですが、非常に気に入ってくれたようなので、多くの方が気に入る匂いなのかもしれません。
こちらのHPでも特集されていました。
http://www.aromageur.com/2006/0611/feature.html
こちらで購入する事ができるようです。
http://www.1pinya.jp/article_top.php?cmd=hanafubuki
■花吹雪の会員組織
会員組織は平成2年にスタートしています。会員になる事で、室料の割引サービスや会員用レンタカーの貸し出しを行っています。有効期限は一年間ですが、有効会員は3,500〜4,000人程度です(平成15年データ)既存の会員を大切にする事で、リピート客が半分近くを占める
程になっています。(非会員のリピーター含む)
■伊豆高原という地域に対しての想い
オーナーの市川氏も向谷店長も、伊豆高原という地域に貢献したいという並々ならぬ想いがあると言う事が伝わってきました。地域の発展なくして旅館の発展もないと考えられています。由布院のように、地域ぐるみで地域発展させるための活動をしていく足がかりを得ようと努力されているそうです。とはいえ、由布院の真似事をするつもりはないそうです。オーナーの市川氏は「土地の光を観ることが観光だ」と語っています。これは、土地の個性を光らせる事が地域発展につながるという事を意味されているようです。
その考え方を実現するために、上記の伊豆の黒文字の普及に力を入れたり、お風呂に使う石も伊豆石という土地の石を使ったり、地域発展を進めていく同志を探したりされているそうです
。もちろん料理も土地のものを主に使われています。
伊豆高原の「芸術の森 散歩マップ」(http://www.izuko-gen.com/)という地図は、たった一人の地元の方が主導して、旅館などに協賛を得ることで作成する事ができたという例より、たった一人の行動でも地域に影響を与えられると市川氏は信じているようです。
オーナーの市川氏の理念、また、向谷店長を始めとする高い志を持つ従業員の方々がいるのを見て、きっと地域のしがらみも飛び越えて伊豆高原地域の発展をリードする事が出て来ると感じました。花吹雪様の想いが、地域全体に行き渡ることを心から願っております。
参考文献:旅館物語 大野修 著 柴田書店
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