経団連が12年春闘に臨む経営側の指針「経営労働政策委員会(経労委)報告」で、「定期昇給の延期・凍結も含め、厳しい交渉を行わざるを得ない」と、業績悪化の企業では定昇維持が難しいとの見方を示すことが14日、分かった。23日に公表する。昨年の春闘では「定昇維持の交渉を行う企業が大半」と定昇維持を容認していたが、東日本大震災や円高の影響で方針を転換する。一方、連合は定昇維持を求めており、12年春闘の最大のテーマになりそうだ。
経労委報告では「わが国企業はリーマン・ショックから緩やかな回復に転じつつあったが、震災が発生し、電力供給制約、円高、欧州債務危機など厳しすぎる試練が続いている」と指摘。労働側の要求を「企業の危機的な経営環境に対する認識が甘いと言わざるを得ない」として、対決姿勢を明確にする。
連合は12年の春闘方針で「賃金カーブ(定昇)の維持」を求めており、労働者の給与総額を「1%を目安に引き上げる」よう求める。一時金についても「水準の向上をはかる」としている。
経団連は定昇を抑えると同時に、「国内雇用の維持や雇用の創出」を重視する考えを表明する。【川口雅浩】
毎日新聞 2012年1月15日 11時17分(最終更新 1月15日 12時04分)